BtoB料金ページに5項目を実装した話|AI流入着地ユーザー向け再設計レポート
先日公開したAI流入の67.5%が料金ページに直接着地|BtoB価格公開で起きた構造変化で、ENVY DESIGNの料金ページがAIから「購買検討の答え」として直接URL推薦されていること、しかし直接CVは月1件未満で限定的なこと、を整理しました。
この観測を踏まえて、料金ページを再設計しました。AI流入着地ユーザー向けに、情報構造・シミュレーター・フォーム連携・関連記事のピラー化など5項目を実装したレポートです。
なお、この再設計は「完成版」ではありません。観測しながら月単位でアップデートしていく前提で実装しています。本記事はその第1回レポートとして、何をどう変えたか、なぜそうしたか、これから何を観測するか、を整理します。
なぜ再設計したか|既存フォームとのミスマッチ仮説
前記事で確認できた構造を、もう一度整理します。
| 観測項目 | 数値 |
|---|---|
| /price/ AI流入の直接着地率 | 67.5% |
| ChatGPT/referral経由の平均滞在 | 251秒(サイト平均の3倍) |
| Engaged率 | 91% |
| 過去6ヶ月のAI経由CV(本物濃厚) | 1件 |
つまり「深く読まれているが、問い合わせには進まない」という構造になっていました。
仮説として、既存の問い合わせ導線がAI流入ユーザーの心理特性に合っていない、と考えました。AIで情報収集するユーザーは、営業接触を避けたい傾向があります。「お問い合わせください」と書かれたフォームを、心理的に重く感じている可能性があります。
加えて、AI流入ユーザーは料金を既に4分かけて読んでいるため、フォームで「ご予算」を改めて聞かれることに違和感を持つはずです。情報の再入力負担も離脱要因になります。
このミスマッチを埋めるため、料金ページそのものを再設計することにしました。フォームだけでなく、ページ全体の情報構造を「営業色を抑え、自己判断を支援する」方向に切り替える判断です。
AI流入着地ユーザーの特性5つ
実装の判断軸として、AI流入着地ユーザーの特性を5つに整理しました。
| 特性 | 中身 |
|---|---|
| 検討段階 | 購買検討フェーズ(料金を精査済み) |
| 比較状況 | 複数社比較中の可能性高い |
| 心理特性 | 営業接触を避けたい、自分で判断したい |
| 既知情報 | 料金感・サービス内容・会社情報をAI経由で把握済み |
| 行動傾向 | 深く読むが、能動的なアクションには慎重 |
この5つの特性を踏まえて、5項目を実装しました。
実装した5項目
1. 金額の前出し
ページ冒頭で参考価格を3種類明示しました。
| サイト種別 | 参考価格 |
|---|---|
| ランディングページ | 33万円〜(税込) |
| コーポレートサイト | 66万円〜(税込) |
| リクルートサイト | 77万円〜(税込) |
意図は、AIが好む「具体性」を最大化することです。AIは具体的な数値情報を引用する傾向があり、価格を前出しすることでAI引用適性を上げる狙いがあります。
「価格はお問い合わせください」型のサイトと比較して、AIが情報を抽出しやすい構造に変わります。ぼかし表現を排除し、AIが回答生成時に直接引用できる数値を冒頭に置く設計です。
2. シミュレーターの条件拡張
見積りシミュレーターの選択条件を細分化しました。
| 入力項目 | 選択肢 |
|---|---|
| サイト種別 | LP / コーポレート / リクルート / EC(Shopify) |
| ページ数 | 最大200ページ(配分自動計算) |
| CMS | なし(静的) / WordPress |
| デザイン性 | オリジナル / プレミアム |
| アニメーション | なし / 軽微 / リッチ / カスタム |
| オプション | SEO基本/レスポンシブ/ライティング/写真撮影/フォーム/多言語/SEO・AIO対応 |
| 短納期 | 短納期対応 |
出力は概算費用、納期(標準工数)、保守費用(月額目安)の3軸で表示されます。
意図は、AI流入ユーザーが「自分で判断したい」傾向を支援することです。ヒアリングなしで、サイト規模・要件別の予算感と納期を即座に把握できる構造にしました。
3. シミュレーター → フォーム自動連携
シミュレーターで条件を選ぶと、結果がページ下部のフォーム「お問い合わせ内容」欄に自動挿入される仕組みを実装しました。
挿入される内容は以下です。
- 概算費用(税込)レンジ
- サイト種別
- ページ数
- CMS有無
- デザイン性
- アニメーション
フォームの直前には「営業のお電話は一切いたしません」「比較検討中の段階でも、お気軽にご相談ください」と明示しています。フォーム必須項目はお名前・メールアドレス・お問い合わせ内容の3つだけ。会社名は任意です。「お名前とメールアドレスだけでOKです」と案内も併記しました。
意図は3つあります。1つ目は、再入力負担をゼロにすること。シミュレーターで予算感を把握したユーザーが、同じ情報をフォームで再入力する必要がなくなります。2つ目は、「営業の電話は一切いたしません」明文化で、AI流入ユーザーの「営業接触を避けたい」傾向に直接対応すること。3つ目は、フォームシンプル化で入力負担を最小化し、深く読んだ後の最後の一歩を軽くすることです。
4. 「ホームページ制作の料金を左右する6つの要因」セクション
料金が変動する要因を6つに整理した解説セクションをページ内に追加しました。
| # | 要因 | 中身 |
|---|---|---|
| ① | ページ数・サイト規模 | 最も直接的に費用に影響 |
| ② | デザインのクオリティ | テンプレート活用かオリジナルか |
| ③ | CMSの有無と種類 | 静的かWordPressか |
| ④ | 機能・連携の複雑さ | フォーム/会員/予約/外部API等 |
| ⑤ | コンテンツ制作の範囲 | ライティング/撮影の有無 |
| ⑥ | 納期・スケジュール | 短納期は1.2〜1.3倍 |
意図は、料金が「ブラックボックス」ではなく「構造化された変数の組み合わせ」であることを明示することです。AI流入ユーザーが料金感の妥当性を自己判断できる材料を提供します。
加えて、この6要因の解説そのものがAIの引用対象になります。Web担当者Forumで取り上げられたマイケル・キング氏とインディグ氏による120万件のAI引用分析では、AIが引用するテキストで具体的な数値・固有名詞の割合が20.6%を占めていたという結果が報告されています。「ホームページ制作の料金 何で決まる」「Web制作費用 内訳」といったクエリへの回答コンテンツとして、6要因の具体的な解説が引用される構造を狙っています。
5. 「料金・Web制作に関連する記事」セクション(ピラー&クラスター化)
ページ下部に料金関連のクラスター記事を集約しました。
| 記事 | 役割 |
|---|---|
| ホームページ制作の相場をAIで徹底比較 | 業界相場の理解 |
| ホームページ制作会社の選び方 | 比較検討の判断軸 |
| ホームページの耐用年数とリニューアル時期 | 長期コストの理解 |
| Web制作はフリーランスと制作会社のどちらに依頼すべきか | 発注先選定の判断軸 |
意図は、/price/ をピラー(柱)とし、関連記事をクラスター(枝)とする情報構造を構築することです。
トピカルオーソリティ(特定領域における専門性)の観点で言えば、料金ページが「単独で完結する情報」ではなく「料金関連情報の集約ハブ」として機能するほうが、検索エンジン・AIの双方に「この領域を体系的にカバーしているサイト」と認識されやすくなります。
加えて、4記事それぞれがロングテールクエリで個別の流入を持っており、/price/ にリンクが集中することで、料金ページ自体の権威性も底上げされます。
/price/ 再設計の設計判断
5項目はステージング環境(/price2/)で先行実装後、本番(/price/)に統合する流れを取りました。新URL先行で本番影響を最小化しつつ、実装内容を確認できる設計です。
旧URLの被リンク・サイテーション・AI引用資産は、すべて本番(/price/)に集約された状態を維持しています。AIの引用URLも変更なし、過去のAI流入導線を断絶せずに中身だけ刷新できました。
観測予定の4指標
再設計効果を測定するため、以下のKPIを継続観測します。
| 指標 | 観測方法 | 期待する変化 |
|---|---|---|
| /price/ → /contact/ 遷移率 | GA4 next_page_path | 上昇 |
| AI流入着地後の本物CV数 | GA4 + 滞在時間検証 | 6ヶ月で1件 → 1ヶ月で1件以上 |
| シミュレーター利用率(フォーム連携経由) | フォーム送信内容の構造化記述率 | 増加 |
| 6要因セクションを含むページ滞在時間 | GA4 average_session_duration | 上昇 |
これらの数字を1ヶ月単位で観測し、効果を検証していきます。
今後のアップデート方針
冒頭でも触れましたが、この再設計を「完成版」とは捉えていません。観測しながら段階的に改善していく前提で公開しました。
最初から完璧を目指して延々と検討するより、まず動くものを出して、データを見ながら調整していく方が早く正解に近づける、という判断です。
これから加えていく予定の改善は、以下のような順番を想定しています。
直近1〜2ヶ月で観測する論点
| 観点 | 中身 |
|---|---|
| 「営業の電話なし」明文化の効果 | コンバージョン率と問い合わせ品質の変化 |
| シミュレーター → フォーム連携の利用率 | 自動挿入結果ありの送信比率 |
| 6要因セクションのAI引用 | 「料金 何で決まる」系クエリでの引用観測 |
| クラスター記事 → /price/ の内部流入 | ピラー化の効果検証 |
観測結果次第で実装する候補
| 項目 | 実装条件 |
|---|---|
| AI流入専用CTA(`?from=ai`等) | 流入経路ごとの効果差が大きければ |
| ContactPoint schema(構造化データ) | AI引用率に伸び悩みが見えれば |
| AIO診断レポートのオファー | 問い合わせ前段のフックが必要なら |
| シミュレーター結果のシェア機能 | URLパラメータ経由の流入があれば |
中長期で検討する論点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 着地時のCTA出し分け | 滞在3分超ユーザー専用のCTA表示 |
| 業種別の料金プリセット | 「美容業界向け」「士業向け」などの分岐 |
| AI流入別の自動応答メール文面 | ChatGPT/Perplexity/Claude経由で異なる文面 |
この料金ページは「動的なコンテンツ」として運用していきます。月次の観測結果を踏まえて、改善内容と判断理由をブログで都度共有していく予定です。
完成形を目指すのではなく、「学習しながら最適化していくプロセスそのもの」を公開していきます。これがAI検索時代における料金ページの新しい運用スタンスだと、現時点では捉えています。
続編予告|Before/After検証記事
再設計後の挙動を1〜2ヶ月観測し、Before/Afterで効果を検証する記事を、2026年7月末から8月初を目処に公開予定です。
検証する主な指標は以下です。
- 直接着地ユーザーのフォーム送信完了率
- AI流入経由の本物CV数の変化
- シミュレーター → フォーム連携の利用率
- 6要因セクションのAI引用観測
- 検索エンジンからの流入とAI流入の相対比
実装と効果検証を1セットで公開することで、「観測 → 分析 → 実装 → 検証」の完全シリーズとして、業界のリファレンスになる形を目指します。
まとめ|「動的に進化する料金ページ」を運用する
今回の再設計で実装した5項目を、まとめて整理します。
- 金額の前出し(LP 33万円〜・コーポレート 66万円〜・リクルート 77万円〜)
- シミュレーターの条件拡張(7軸入力・3軸出力)
- シミュレーター → フォーム自動連携(+営業電話なし明文化)
- 「ホームページ制作の料金を左右する6つの要因」セクション
- 「料金・Web制作に関連する記事」セクション(ピラー&クラスター化)
この実装は、AI流入着地ユーザーの心理特性5つから逆算した設計です。観測しながら月次で改善していく前提なので、今後のアップデートも本ブログで都度共有していきます。
AI検索時代に、料金ページは「静的なコンテンツ」ではなく「動的に進化するコンテンツ」として運用する価値があると、現時点では捉えています。BtoB制作会社・SaaS事業者・士業など、価格非開示が慣例の業界の方の参考になれば嬉しいです。
よくあるご質問
Q. 料金ページに5項目を実装した目的は何ですか?
AI流入着地ユーザーの心理特性5つに合わせた再設計です。前記事で「AIから直接URL推薦されるが、直接CVは月1件未満」という構造を確認したため、フォーム送信までの心理的バリアを下げ、自己判断を支援する情報構造に変更しました。
Q. 5項目の中で最も重要なのはどれですか?
シミュレーター → フォーム自動連携です。AI流入ユーザーが料金を4分かけて読んだ後、フォームで再度同じ情報を入力する負担をゼロにすることが、離脱率の改善に直結する想定です。
Q. 「営業の電話は一切いたしません」を明文化した理由は?
AIで情報収集するユーザーは営業接触を避けたい傾向があります。「お問い合わせください」と書かれたフォームを心理的に重く感じるユーザーが多い構造を踏まえて、明示的に否定しました。
Q. 「6つの要因」セクションを追加したのはなぜですか?
料金がブラックボックスではなく「構造化された変数の組み合わせ」であることを明示するためです。AI流入ユーザーが料金感の妥当性を自己判断できる材料を提供します。さらに6要因解説そのものがAIの引用対象になる構造でもあります。
Q. 今後どんなアップデートを予定していますか?
AI流入専用CTA、ContactPoint schema、AIO診断レポートのオファー、業種別の料金プリセット、AI流入別の自動応答メール文面などを、観測結果次第で段階的に実装する予定です。料金ページを「静的なコンテンツ」ではなく「動的に進化するコンテンツ」として運用していきます。
ENVY DESIGNの料金詳細は料金シミュレーター、AIO・GEO対策のご相談はAIO・GEO対策サービス、個別のご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。
出典
- Schema.org(構造化データの公式仕様)
- Google Search Central(検索・構造化データの公式情報)
- Web Vitals(Core Web Vitalsの公式定義)
- Google検索公式ブログ(AI Overview等の発表情報)