AIは料金ページへ、人は会社案内へ|アクセスログから見えた役割の違い
「会社案内なんて、置いてあるだけで誰も見ていない」——多くのWeb制作会社がそう考えています。私たちも、正直そう思っていました。ですが、自社のアクセスログを見直したところ、その前提は崩れました。会社情報ページは、料金ページと同じくらい見られていたのです。
しかも、意外な事実がありました。ChatGPTやPerplexityといったAI検索は、会社案内にはほとんど人を送っていません。それでも見られている。だとすると、会社案内は「AIに評価されるために整えるページ」ではなく、「検討中の人が最後に、任せて大丈夫かを確認する“出口”のページ」なのかもしれない——これが、この記事でお伝えしたい結論です。
この記事は、自社サイトの観測ログをもとに、「AIが直接送ってくる人」と「会社情報ページを見ている人」は別かもしれない、という話です。
1. 「会社案内は見られていない」という思い込み
Web制作会社のサイトでは、制作実績・サービス内容・料金ページが主役になりがちです。会社案内や代表挨拶、企業理念は、形式的に置いておくページとして扱われやすいところです。
私たちも、会社情報ページは「あって当然だが、ほとんど読まれていないページ」だと思っていました。ところが、直近30日のアクセスを見直したところ、その前提が崩れました。
2. 【調査データ】会社情報ページは、料金ページと同じだけ見られていた
直近30日のページ別の閲覧数(GA4)を見ると、会社情報ページのアクセスは想像以上にありました。
会社案内ページの閲覧数を100としたとき、他の主要ページとの関係はおおよそ次のようになります。
| ページ | 会社案内=100とした相対値 |
|---|---|
| 会社案内(/company/) | 100 |
| 料金ページ(/price/) | ほぼ同水準(約100) |
| 制作実績トップ(/works/) | 約80 |
| サービストップ(/service/) | 約40 |
会社案内ページは料金ページとほぼ同じだけ見られ、制作実績トップやサービストップよりも多く見られていました。さらに会社案内に加えて、代表挨拶・沿革・企業理念といったサブページにも一定のアクセスがあり、会社情報まわりを合計すると、その差はさらに広がります。少なくとも「会社情報は誰も見ていない」とは言えない結果です。
3. 【調査データ】AIが直接送るのは主にトップ・実績・料金で、会社案内ではない
次に、流入元ごとに見ていきます。ここが今回いちばん意外だった部分です。
AI検索(ChatGPTやPerplexity、GoogleのAIによる検索機能など)から来た人がどのページを見ているかを集計すると、会社情報ページはほとんど登場しませんでした。
AI経由の流入のうち、会社情報ページに直接届いたのはごくわずか(全体の約4%)でした。流入がもっとも多かったのはトップページで、続いて制作実績・料金・サービスといったページです。会社を評価・比較するための料金・実績・サービス・資料ダウンロードを合わせると、AI流入のおよそ半分を占めます。AI経由の人が料金ページへ直接着地する傾向は、別の記事(AI流入の67.5%が料金ページに直接着地)でも観測しています。
つまり、AI検索が人を直接送っているのは主にトップページ・実績・料金・サービスで、「会社案内」にはほとんど直接送っていない、という傾向が見えました。
なお、AI経由の流入の中身はChatGPT(約66%)とPerplexity(約26%)の2つでほぼ占められていました。
4. 【調査データ+仮説】では、誰が会社情報ページを見ているのか
AIが直接送っていないのに、会社情報ページは料金ページ並みに見られている。では、その人たちはどこから来ているのでしょうか。
流入チャネルで分けると、会社情報ページへのセッションは次のような内訳でした(直近30日)。
| 流入チャネル | 会社情報ページへの割合(直近30日) |
|---|---|
| 直接(Direct) | 約57% |
| 検索(Organic Search) | 約39% |
| 参照(Referral) | 約4% |
直接と検索で約96%を占めます。この傾向は60日で見てもほぼ同じ(直接59%+検索34%)で、単月の偶然ではなさそうです。
ただし、ここで一つ注意が必要です。「直接(Direct)」は、流入元が取得できなかったセッションの寄せ集めで、中身を分けられません(GA4のチャネル分類の定義はGoogleのヘルプを参照)。ここには、ブックマークやURL直打ちの人だけでなく、AIのクローラー(サイトを巡回するプログラム)や、AIアプリ経由で流入元が消えた人も混ざりうると考えられます。AIクローラーが直接流入として計測される現象については、別の記事(GA4のDirect急増はAIに読まれているサインかもしれない)で観測しています。そのため、私たちは「直接=検討中の人間」とは断定しません。
一方で、検索(Organic Search)の中身は、検索クエリで確認できます。会社情報ページに当たっていた検索キーワードを見ると、次のような構成でした。
- 社名での指名検索(envydesign、株式会社envy design など):約57〜66%
- 「ホームページ制作会社 港区」などの地域・一般の発見:約3〜4割
- 「信頼できますか」「信頼できる会社?」といった信頼性の確認
社名で探す指名検索が過半を占め、これは明らかにAIではなく、すでに会社を認識している人の動きです。さらに目を引いたのが、「信頼できますか」という検索で会社ページが表示されていたことです。人が文字どおり「この会社は信用できるか」を確かめようとしている動きが、データに残っていました(信頼性評価の背景はSEOの権威性とE-E-A-Tでも整理しています)。
エンゲージメント(しっかり見られているか)にも違いがありました。会社トップ(/company/)は滞在が短めで、ざっと確認される傾向です。一方で代表挨拶(/company/message/)はエンゲージ率が会社トップを大きく上回り、少数ながら濃く読まれていました。代表挨拶と企業理念のどちらが読まれているかは、代表挨拶35秒・企業理念6秒|読まれていたのは理念ではなく人だったで詳しく分析しています。
さらに、検索キーワードと着地ページの対応にも整合が見られました。「経営理念」に関する検索では企業理念のページが、「代表」に関する検索では代表挨拶のページが表示されており、会社情報の各ページが、それぞれの役割どおりに見つけられていました。会社情報は「一枚の会社案内」ではなく、目的ごとに入り口が分かれた情報群として機能していると考えられます。
ここまでをまとめると、会社情報ページは、社名で探す人・信頼性を確かめたい人・代表の考えを読み込む人に見られていることになります。流入の前後関係までは追えていないため断定はできませんが、単に「検討中の人に見られている可能性がある」というより、少なくとも一部は、会社の信頼性を確認する目的で見られていると考える方が自然です。
5. この観測から、私たちが考えていること
なぜ、AIは会社案内に人を送らないのでしょうか。おそらくAIが答えているのは、「何ができるのか」「いくらかかるのか」「実績はあるのか」といった、事実で答えられる問いだからだと考えられます。これらはサービス・料金・実績のページに書いてあり、AIはそこへ直接送れば用が足ります。一方で「この会社は信頼できるか」は、事実の提示だけでは決着しない、人が最後に自分で下す判断です。だからこそ人は、AIに教わったページを見たあと、社名で検索し直したり、会社案内へ回り込んだりして、自分の目で確かめているのではないか——そう考えると、データの形とつじつまが合います。
この見立てが正しいとすると、会社情報ページの位置づけは少し変わります。
会社案内は「AI対策のために整えるページ」というより、「検討段階の人が最後に、任せて大丈夫かを確認するページ」として機能している可能性があります。だとすれば、AI向けの最適化とは別に、人が読んだときに安心できる中身になっているかが効いてくると考えられます。
では、その「出口」で安心してもらうために、会社情報ページに何を載せればいいのか。実績・沿革・代表の考え方・第三者からの評価など、具体的な項目はAI時代の会社案内に必要な19項目で整理しています。本記事はあくまで、「会社情報ページが、AI流入とは別の経路で実際に見られている」という観測の共有にとどめ、実装はそちらに譲ります。
※ 本記事の数値はENVY DESIGN1サイト・直近30日(一部60日・3ヶ月)の観測値です。一般化できるものではなく、傾向の共有としてお読みください。流入の前後関係(どのページからどのページへ移ったか)までは今回のデータでは追えていないため、順番に関する部分は仮説として扱っています。
結論
- 会社情報ページは「見られていないページ」ではなく、料金ページと同じだけ見られていました。
- ただしAI検索が直接送っているのは主にトップ・実績・料金で、会社情報ページへの直接流入はごくわずか(AI流入の約4%)でした。
- 会社情報ページを見ているのは、社名での指名検索や信頼性の確認で来た人が中心で、少なくとも一部は「この会社は信用できるか」を確かめる目的で見ていると考えられます。
- だとすれば会社案内は、AI対策のためというより、検討中の人が最後に確認する「出口」のページとして考えるほうが、実態に近いかもしれません。
よくある質問(FAQ)
会社案内ページはAI検索対策として重要ですか?
AIが人を直接送る先としては、会社案内の優先度は高くない傾向があります。自社観測では、AI流入が会社情報ページに直接届いた割合は約4%でした。ただし会社案内は、指名検索や信頼確認で訪れる人に見られており、AI対策とは別の役割で機能していると考えられます。
会社情報ページは実際どれくらい見られているのですか?
ENVY DESIGNの直近30日の観測では、会社案内ページは料金ページとほぼ同水準の閲覧数がありました。制作実績トップやサービストップよりも多く見られており、「誰も見ていないページ」とは言えない状況でした。あくまで自社1サイトの傾向です。
会社案内ページを見ているのはどんな人ですか?
検索チャネルの内訳では、社名での指名検索が過半を占めていました。加えて「信頼できますか」といった信頼性を確かめる検索も見られ、少なくとも一部は、検討段階で会社の信頼性を確認する目的で訪れていると考えられます。
では会社案内ページには何を載せればよいですか?
検討中の人が安心できる中身を優先するのが有効だと考えられます。実績・沿革・代表の考え方・第三者からの評価などが該当します。具体的な項目は「AI時代の会社案内に必要な19項目」で整理しています。
AIがどのページにユーザーを送るかを踏まえたサイト全体の設計については、AIO・GEO対策サービスで詳しくご案内しています。
出典
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