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「ページ戦」から「エンティティ戦」へ|PVを追わないSEOの考え方

AIO/GEO 戦略・思想

株式会社ENVY DESIGN

代表取締役/ディレクター/デザイナー

SEOコンテンツの世界では、長く「記事単体でどれだけPVを取れるか」が中心的な指標とされてきました。

  • 検索ボリューム
  • 月間PV
  • 流入数
  • CTR

こうした記事ごとの数字を積み上げる発想は、今でも一定の有効性を持っています。

ただ、ここ1〜2年のGoogle検索とAI検索(AIO/LLMO)を観察していると、以前とは少し違う流れも見えてきます。

それが、

「記事単体でPVを取る」より、
「サイト全体の専門性を積み上げる」

という考え方です。考え方の中心にあるのは、トピカルオーソリティと呼ばれる概念ですが、本稿では用語の解説より、「サイト全体を育てる」という発想がなぜ今あらためて重要になっているのかを、観測データを軸に整理してみたいと思います。

この変化は、単なる感覚論ではなく、Googleの公式声明、漏洩した内部仕様、そして実際のSERPでの挙動という、性質の異なる3つの観測点から同じ方向が示唆されている現象です。

Googleは「サイト単位」での評価を強めている

「サイト全体としての一貫性が、個別ページの評価より強く効く」という傾向は、ここ2年ほどで複数の異なる方向から観測されるようになっています。本章では、特に裏付けの取れる3つの動きを整理します。

1. Google自身が「サイト単位の評価」を公式に語りはじめた

最も明確な根拠は、2024年に導入された Site Reputation Abuse(サイト評判の不正利用)ポリシー です。もともとは、大手メディアが自社の権威を貸し出してアフィリエイト記事を載せる、いわゆる「パラサイトSEO」を対象にした規制でした。

このポリシー文書のなかで、Googleは概ね次のような趣旨を公式に説明しています(Google Search Central Blog、2024年11月更新)。

  • サイトのある部分が、そのサイトの「メインコンテンツ」から独立している、または著しく異なっているかどうかを判定する仕組みを持っている
  • そうした部分は、ランキング評価上、別個のサイトとして扱う
  • そのため、サイト全体の評判による底上げは、その部分には及ばないようにしている

これは漏洩でも推測でもなく、Google自身の公開ドキュメントに書かれている内容です。

つまりGoogleは、

  • サイト全体としての「主要なテーマは何か」を判定し
  • そこから大きく外れた部分は、サイト全体の評価から「切り離す」

ということを認めています。

2024年11月以降、CNN Underscored、Forbes Advisor、WSJ Buyside といった大手メディアのアフィリエイトセクションが実際にインデックス削除(手動アクション)を受けており、運用上もこの方針が機能していることが確認されています。

ここで重要なのは、これがアフィリエイト規制という文脈で出てきた話だとしても、その判定の根底にある考え方が、

「サイトには中心となるテーマがあり、そこから外れたコンテンツは別評価される」

という発想に立っている点です。

2. 漏洩した内部仕様にも、同じ方向の指標が見つかった

2024年5月、Googleの内部API仕様書、いわゆる「Google Content Warehouse Leak」が大規模に流出しました。14,000以上の内部属性が公開され、その中に次のような名前の指標が含まれていました(Search Engine Landの解説、およびiPullRankによる分析より)。

  • siteAuthority:サイト全体の権威スコア
  • siteFocusScore:サイトがどれだけ特定トピックに集中しているか
  • siteRadius:個別ページが、サイトの中心テーマからどれだけ離れているか

これらの解説によれば、Googleは個別ページとサイト全体の両方を「埋め込み(ベクトル表現)」として保持し、それぞれの距離を測っているとされています。

ただし漏洩資料は「内部資料の一部」であり、現行のランキングロジックそのものとイコールではないため、これ単独を強い根拠とするのは適切ではありません。重要なのは、先述したSite Reputation Abuseポリシーで公式に語られている方向性と、漏洩資料が示す指標の方向性が、ほぼ同じ景色を描いている点です。

3. 2026年3月のコアアップデートでも、同じ方向の挙動が観測された

3つ目は、2026年3月のコアアップデート以降に観測されたSERPの挙動です。複数のSEO観測機関が報告している傾向を整理すると、こうなります(Ahrefs / Semrush / Evertune、2026年)。

  • ドメイン全体のテーマから外れたページが、サイト全体の強さに関わらず単独で評価される傾向が強まった
  • 本業領域から外れたトピックを大量に量産していたサイトが、まとまったトラフィックを失う例が複数報告されている
  • 一例として、HubSpotのブログは観測機関の推計で大幅なオーガニックトラフィック減を記録したと報告されています(orangemonke、2026年4月)。原因は単一ではなく複合的ですが、SEO業界では「本業領域から外れたトピックへの拡散」がその一因として広く議論されました

これらの数字や事例は調査機関ごとに振れ幅があり、絶対値として一般化できるものではありません。ただ、

「サイト全体のテーマ一貫性が、個別ページの最適化よりも強く効きはじめている」

という方向性については、複数の観測ソースが揃って同じ向きを指し示しています。Leak単独で論じる場合と違い、公式声明・内部資料・実SERP挙動という性質の異なる3つの観測点が同じ方向で揃っているのが特徴です。

「単発の記事」より「サイトの森」

この3つの観測点を踏まえると、

  • 単発の記事 = 木
  • サイト全体 = 森

という比喩がしっくりきます。

サイト全体の主題から外れた記事を増やすことは、サイト評価に対して逆方向に作用しうる構造です。逆に、同じトピックの周辺記事を高純度で積み上げると、サイト全体の主題が鮮明になり、結果として個別記事の評価も底上げされる、というのが現在広く支持されている見方です。

トピッククラスター(中心となるピラー記事+関連記事群)に関する海外調査では、クラスター実装後にオーガニックトラフィックが平均40%程度増えたという報告や、関連トピックの記事群は孤立した記事より長く順位を維持しやすいという観測などが報告されています(Digital Applied、Sedestral、いずれも2026年)。

これらの数字は調査条件によって振れますので、自社にそのまま当てはまるものではありません。ただ、「サイト全体としての一貫性が、個別記事の評価より強く効く」という方向性そのものは、複数の調査で繰り返し観測されています。

AI検索では「サイト単位」「ブランド単位」がさらに効く

サイト全体評価へのシフトは、AI検索(AI Overviews、ChatGPT、Perplexity等)においてさらに顕著です。

参照できる主な観測例を並べると、次のようになります。

  • ブランドのWeb言及とAI Overview出現の相関は 0.664、一方で被リンクの相関は 0.218 だった、という調査結果(Ahrefsが75,000ブランドを対象に実施した2025年8月の分析)
  • AI Overviewsは「強いブランドシグナル(ブランド言及、指名検索ボリュームなど)」を重視する傾向がある、という観測(Ahrefs、2025年)

これらも個別調査の数字ですので、絶対的な評価基準として捉えるのは適切ではありません。ただ、AI検索の文脈では「リンクよりブランド言及」「ページよりサイト・エンティティ」という方向で、複数の観測が一致しています。

ENVY DESIGN自身、自社サイト(envydesign.jp)のAI検索流入を継続的に観測しており、PerplexityやChatGPTからの引用件数は、コンテンツ量より「サイト全体のテーマ一貫性」と相関が強い印象を持っています。AIO関連の隔週レポートをサイト上で運用しはじめてから、特にPerplexity経由の流入比率がグローバル平均より高い水準で推移しているのも、この傾向と整合的です。

なぜAI検索では、ページ単体よりサイト・ブランド全体が効くのか。

理由のひとつは、LLMの引用ロジックにあると考えられます。LLMはリンクを辿ることはあっても、リンク自体を評価指標として使わない傾向があります。代わりに、テキスト中のエンティティ(企業名、人名、概念)を抽出し、それらが他のソースで一貫して言及されているかを重視します。

つまり、

  • 単発ページの被リンク数
  • 個別記事のSEO最適化

よりも、

  • ブランド名がWeb全体でどう語られているか
  • サイト全体が何の専門家として認識されているか

の方が、AI検索では強く効く構造になっていると考えられます。

「ページ戦」から「エンティティ戦」へ

ここまでの整理を一度まとめると、SEOの評価軸は、

「ページ単体の最適化」から
「サイト・ブランド全体の意味形成」へ

つまり、

「ページ戦」から「エンティティ戦」へ

と重心を移しつつある、と言えそうです。

エンティティとは、Googleやその他のシステムが認識する「実体」のことです。会社、人物、概念、製品など、固有の存在として識別される単位を指します(詳しくはエンティティとは?AI検索に「あなたの会社」を覚えてもらう5つの方法を参照)。SEOの文脈で「エンティティ戦」と呼ぶときには、

  • 個別ページの順位を取りに行く戦い

ではなく、

  • 「このブランドは何の専門家か」を世の中に認識させる戦い

を意味します。

この視点で見ると、SEOで打つべき手は、

  • ページ単位の細かい最適化
  • 個別キーワードへの記事作り

だけでなく、

といった、サイト・ブランド単位の施策に広がっていきます。

ここから先は、この前提に立った上で「では実務として何をすべきか」を考えていきます。

ただし、PVを軽視してよいわけではない

ここで重要な前提を確認しておきます。

「サイト全体を育てる」≠「PVを無視する」

ではありません。

  • 誰にも読まれない
  • 内部リンクも通らない
  • 指名検索にも問い合わせにも繋がらない

このような記事は、いくらトピックが本業に近くても、ほぼ「放置コンテンツ」と変わりません。

重要なのは、

「PVを目的にする」のか
「専門性の積み上げを目的にするのか」

という、視点の置き場所の違いです。

月間10〜20PV程度の記事でも、

  • 内部リンク網の中で意味的なハブになっている
  • AI検索で引用されている
  • 指名検索の文脈を補強している

のであれば、その記事はサイト全体の評価に確実に寄与している可能性があります。逆に月間1,000PV取れていても、本業テーマと無関係なバズ記事は、サイトの主題を曖昧にする方向に作用する可能性があります。

では、具体的に何を書けばよいのか

「サイト全体を育てる」「意味密度を上げる」と言っても、抽象的なままだと実務に落ちません。中小企業のWeb担当者として、本業の意味密度を積み上げるのに向いているコンテンツを、種類別に整理してみます(コンテンツ種別ごとの効き方の違いについてはブログ・制作実績・FAQ|SEOとAIOで積み上がる3つのシグナルの違いもあわせて参照してください)。

積み上がりやすいコンテンツの例

  • FAQ:本業領域の細かい疑問への回答を、個別URLで切り出したもの。検索ボリュームが小さくても、「この領域の質問に答えられるサイト」というシグナルとして効きやすい形式です。
  • 比較記事:「Aサービス vs Bサービス」「内製 vs 外注」「自社で対応 vs 外部委託」など、判断軸を整理する記事。AI検索の引用ソースとしても採用されやすい形式です。
  • 導入前不安・よくある悩み:「依頼する前に不安だったこと」「最初に聞かれることTop10」など、見込み顧客の心理に寄り添う記事。指名検索や問い合わせの質に効きやすい。
  • ニッチな事例考察:規模の大きな成功事例ではなく、自社が実際に関わった小規模・限定的なケースの考察。一次体験のシグナルとして強く、2026年3月のコアアップデート以降、特に評価されやすくなっています。
  • 業界考察:本業領域に関する、観測ベースのトレンド分析や見解。短期的なPVは取りづらいが、エンティティ(専門家としての認識)強化に寄与しやすい。
  • AI検索観測:自社の手元で観測したAI検索のデータや引用結果の共有。一次データはGoogleからもAI検索からも評価されやすい傾向にあります。
  • 用語定義:本業領域特有の用語・概念を、自社の立場で再定義する記事。サイトの主題ベクトルを鮮明にする方向に働きやすい。

これらに共通するのは、

  • 個別の検索ボリュームは大きくないことが多い
  • ただし、本業領域の「意味の密度」を上げる方向に働く
  • 一次体験・独自データ・自社の立場が含まれやすい

という点です。

逆に避けたほうがよいのは、

  • 本業領域と無関係な雑記・トレンド便乗記事
  • 検索ボリュームだけを狙った、本業から離れた一般用語解説
  • 他サイトの要約をまとめただけのコンテンツ

これらは短期的にPVは取れることがあっても、サイト全体の主題評価を曖昧にする方向に作用する可能性があります。

見るべきKPIも「記事」から「サイト」へ

この戦略では、観測すべき数字も変わります。

従来型のSEO重視KPI

  • 記事ごとのPV
  • 個別記事の検索順位
  • CTR

「サイト全体を育てる」型のKPI

  • ビッグワードの検索順位
  • サイト全体のインプレッション・指名検索数
  • AI引用回数(ChatGPT / Perplexity / AI Overviews。12ヶ月の実測記録を参考)
  • サイテーション(Web全体でのブランド言及数)
  • 問い合わせ内容の質(指名・専門領域)
  • トピック純度(直接は見られないが、被リンクとサイテーションの分布で推測可能)

特に最近の海外調査では、

「Google検索の順位は取れているのに、AI検索ではまったく引用されない」

という現象が報告されはじめています。これは従来型SEOとAIO型KPIが乖離しはじめている兆候で、KPIの組み替えが必要になっている背景の一つでもあります。

SEOは「ページ戦」から「エンティティ戦」へ

ここまで整理した内容を一言でまとめると、

SEOは「ページ単体の順位戦」から、
「サイト全体・ブランド全体の意味形成戦(エンティティ戦)」へ
重心を移しつつある

ということになります。

この方向性は、Googleの公式声明(Site Reputation Abuseポリシー)、漏洩した内部仕様(siteFocusScore / siteRadius / siteAuthority)、そして2026年3月コアアップデート以降の実SERP挙動という、性質の異なる3つの観測点で揃って示唆されている傾向です。完全に置き換わるというより、評価の重心が「ページ」から「サイト・エンティティ」へ徐々に移っている、という理解の方が現状に近いと考えられます。

そして、この変化は中小企業にとって、必ずしも不利なものではありません。なぜなら、サイト全体の主題を一貫して保ちやすいのは、むしろ専門領域に特化した中小事業者の方だからです。

大量のジャンルを扱う大手メディアより、

  • 何の専門家か
  • どんな思想で発信しているか
  • どの領域に深い経験があるか

が明確な事業者の方が、サイト単位の評価でもAI検索のエンティティ理解の意味でも、認識されやすい構造になっています。

「記事単体のPV」だけを追うフェーズは、少しずつ終わりに近づいているのかもしれません。代わりに必要になるのは、

「このサイトは、何の森を育てているのか」

という視点ではないかと思います。ENVY DESIGNでも、AIO/GEO/LLMOの領域でサイト全体のエンティティを育てる運用を継続しており、上記の考え方は自社サイトの運営においても日々検証しています。

よくある質問

siteFocusScoreとは何ですか?

Googleの内部API仕様書(2024年5月に漏洩)に含まれていた指標の名称で、サイトがどれだけ特定のトピックに集中しているかを示す数値とされています。漏洩資料での名称確認に加え、Google公式のSite Reputation Abuseポリシーでも「メインコンテンツから外れた部分を別評価する仕組み」が言及されており、サイト単位の主題評価が行われている点は複数のソースで裏付けられています。

PVを完全に無視してもよいということですか?

いいえ、PVは依然として重要な指標です。本稿の主旨は「PVを目的にする」のではなく「専門性の積み上げを目的にする」ことです。月間PVが少ない記事でも、サイト全体の主題に貢献していれば価値があります。逆にPVが多くても、本業と無関係なバズ記事はサイト評価を曖昧にする可能性があります。

なぜAI検索ではブランド言及が被リンクより効くのですか?

LLM(大規模言語モデル)の引用ロジックがリンクを直接の評価指標として使わない傾向があるためです。代わりに、テキスト中のエンティティ(企業名・人名・概念)が他のソースで一貫して言及されているかを重視します。そのため、ページ単体の被リンク数より、ブランド名がWeb全体でどう語られているかの方が強く効く構造になっていると考えられます。

中小企業でも「サイト全体を育てる」戦略は使えますか?

むしろ中小企業に向いた戦略です。サイト全体の主題を一貫させやすいのは、専門領域に特化した中小事業者の方だからです。大量のジャンルを扱う大手メディアより、「何の専門家か」が明確な事業者の方が、サイト単位の評価でもAI検索のエンティティ理解の意味でも、認識されやすい構造になっています。

今すぐ始められる積み上げコンテンツは何ですか?

FAQ・比較記事・導入前不安への回答・ニッチな事例考察などが、検索ボリュームが小さくても積み上げに寄与しやすい形式です。本業領域の「意味密度」を上げる方向に働く点が共通しています。逆に、本業と無関係なトレンド便乗記事や、他サイトの要約だけのコンテンツは避けたほうがよいでしょう。

本記事の背景にあるAI検索最適化の考え方は、AIO・GEO対策(AI検索最適化)のページでまとめています。

出典

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株式会社ENVY DESIGN

代表取締役/ディレクター/デザイナー

Web業界歴14年。これまでに 500件以上のWeb制作プロジェクトに携わり、企業サイト、採用サイト、ECサイトなど幅広い領域を手がけてきました。ディレクションだけでなく、デザイン・コーディングまで一貫して対応できるのが強みです。近年はAIO(AI Optimization)・GEO領域に注力し、ChatGPTやPerplexity、Google AI Overviewなど生成AI検索からの引用獲得を支援しています。

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