AIに業種を間違われている会社は、検索結果に出てこない
AIに「中小企業向けのWeb制作会社を教えて」と聞いたとき、もし自分の会社が違う業種——たとえば「広告代理店」や「印刷会社」として覚えられていたら、どうなるでしょうか。
答えはシンプルです。AIのおすすめリストに、自社は出てきません。
SEOでは「何位に出るか」が問題でした。でもAI検索では、その前にもうひとつの問いがあります。「そもそも自社は、何の会社として認識されているか」です。
順位を取りに行くより前に、そもそも候補の土俵に乗っているか。これがAI時代の最初の関門です。
「うちはWeb制作会社なのに、何を当たり前のことを」と思うかもしれません。でも実際、AIに自分の会社を聞いてみると、想像と違う業種で覚えられているケースが、思った以上に多いんです。
この記事では、AIが会社をどう覚えているか、なぜ業種を間違えるのか、そして正しく覚え直してもらう方法を、ひとつずつ整理していきます。
AIに業種を間違われると、どうなるか
まず、何が困るのかをはっきりさせておきます。
たとえば、お客さんがChatGPTに「東京で中小企業のホームページを作ってくれる会社を教えて」と聞いたとします。このときAIは、自分のなかで「東京の」「中小企業向けの」「Web制作会社」というカテゴリで検索し、回答候補を集めます。
ここで、もし自分の会社が「広告代理店」として認識されていたら、そもそも候補に入りません。どんなに実績があっても、どんなにサイトの内容が充実していても、検索の入り口で外されてしまいます。
これは「順位が下がる」のとは違います。「そもそも候補から消える」という、もっと根本的な問題です。SEOで言うと、検索キーワードに対して全く別のジャンルの記事が出てくるのと同じ状態です。自社の現状についてはAIに会社名は出てくる?10分で測るAI認知度診断で測れますが、今回はその次のステップ——「正しいジャンルで覚えられているか」を見ていきます。
なお、AIが会社をどう「実体(エンティティ)」として認識しているか、その全体像についてはエンティティとは?AI検索に「あなたの会社」を覚えてもらう5つの方法に整理しました。本記事はその応用編として、エンティティが正しく登録されていても「業種の分類」がズレているとどうなるか、という一段絞った論点を扱います。
AIは「会社」をどう覚えているのか
AIは、世の中の会社をひとつひとつ別々に覚えているわけではありません。覚えているのは「タグ」のかたまりです。
たとえば、ある会社についてAIが持っている情報は、ざっくりこんな感じです。
| タグの種類 | 中身の例 |
|---|---|
| 業種 | Web制作会社 |
| サービス | コーポレートサイト・LP・ECサイト |
| 地域 | 東京・港区 |
| 規模 | 中小企業向け |
| 強み | デザイン重視・スピード対応 |
これらのタグは、その会社のサイト・SNS・第三者の言及・構造化データ(あとで説明します)など、いろんな情報から組み立てられます。
問題は、これらのタグが毎回同じとは限らないことです。ChatGPTは「Web制作会社」と覚えていても、Geminiは「広告代理店」と覚えている、というケースが普通に起こります。AIごとに学習している情報源が違うからです。
つまり、AIごとに「自分の会社の名札」が違っている可能性があるということです。
実際に4つのAIへ同じ会社について聞き、認識のズレを測った記録は、AI流入量と認識度は別物だった|4つのAIに同じ会社を聞いたAIO実測にまとめています。
業種を間違われる4つのパターン
実際にどんなズレが起きるのか、よくある4パターンに分けて整理します。
パターン1:業種そのものが違う
一番わかりやすいズレです。「Web制作会社」のはずが「広告代理店」「印刷会社」「コンサルティング会社」と覚えられているケースです。
これが起きる原因は、サイトに掲載されているサービスが幅広すぎる、もしくは抽象的すぎることです。「マーケティング支援」「ブランディング」とだけ書かれていると、AIは具体的にどの業種か判断できず、近そうな別の業種に分類してしまいます。
パターン2:会社の規模を間違われる
3〜10人規模の専門会社のはずが、「全国対応の大手」「上場企業」と認識されているケースです。逆に、しっかりした実績のある会社が「個人事業主」と扱われることもあります。
規模を間違われると、お客さんが探しているサイズ感とマッチせず、紹介されないか、紹介されても期待値がズレた状態で接触することになります。
パターン3:エリアを間違われる
東京の会社が「全国対応」と認識されていたり、逆に全国対応の会社が「特定エリア限定」と認識されていたりするケースです。
「東京の制作会社を教えて」という質問でも、「地元の中小企業を教えて」という質問でも、エリア情報が正しくないと、どちらの候補からも漏れます。
パターン4:事業領域が散らかって覚えられる
ひとつの会社が「Web制作もやってるし、Shopifyもやってるし、AIOもやってる」と、すべて並列で覚えられているケースです。一見すると幅広く対応している強みのように見えますが、AIにとっては「結局この会社の本業は何?」と判断できない状態になります。
結果として、どのジャンルの質問にも「中心メンバー」として扱われず、「サブ候補」になってしまうことが多くなります。
なぜ間違われるのか|サイト側の3つの原因
業種を間違われる原因は、たいてい会社側のサイトにあります。
原因1:トップページがぼんやりしている
「マーケティング支援パートナー」「ブランドの未来をデザインする」といった抽象的な表現だけがトップに並んでいると、AIは具体的に何の会社か判断できません。「Web制作会社」「コーポレートサイト制作」のような、業種をストレートに示す言葉がトップにあるかどうかで、AIの理解は大きく変わります。
原因2:サービスページが多すぎる、または抽象的
サービスページが20ページ・30ページとあると、AIはどれが主軸か判断できません。「Webサイト制作」「採用サイト制作」「ECサイト制作」のように具体的なサービス名が中心にあるサイトは、業種を理解されやすい構造です。
原因3:外で語られている内容が古い・少ない
会社の業種は、自社サイトだけでなく、外部のサイト(業界ディレクトリ・取材記事・他社ブログ等)でどう紹介されているかでも形作られます。古い情報が残っていたり、外部での言及が少なかったりすると、AIは断片的な情報から推測して業種を組み立てることになります。サイテーション戦略については中小企業のAI検索・AIO対策|note×YouTube×ブログの使い分けで詳しく扱っています。
ちなみに、ENVY DESIGN自身もWeb制作・AIO/GEO・Shopify・コーポレートサイトといった複数の領域で発信しているので、AIから見ると業種を間違われやすい構造を抱えています。だからこそ、サービスページの言葉の使い方や、メインの業種をどう打ち出すかは、いまも継続して見直している項目です。
自分の会社がどう覚えられているか確かめる5つの方法
「うちは大丈夫」と思っていても、実際に確かめてみないとわかりません。確認方法を5つ紹介します。
方法1:AIに直接聞く
一番早いのは、ChatGPT・Perplexity・Gemini・Claudeなどに「◯◯株式会社はどんな会社ですか?」「◯◯株式会社の業種は何ですか?」と聞いてみることです。返ってきた答えに違和感があれば、そのAIには違う業種で覚えられているということです。
複数のAIに同じ質問を投げて、答えを比べると、AIごとのズレも見えてきます。ENVY DESIGNでも四半期に一度くらいの頻度で、この確認を続けています。
方法2:Google検索で「会社名」だけ検索する
会社名で検索したときに、上位に出てくるページがどんな業種を示しているかを見ます。トップページ・採用情報・ニュース記事など、上位の数件で「自分が打ち出したい業種」が一貫しているか確認します。
方法3:自社サイトの構造化データを確認する
構造化データとは、サイトの裏側で「この会社は何者か」をAIや検索エンジンに伝えるための設定です。普段サイトを見ているお客さんには見えませんが、AIにとっては会社の業種を判断する重要な手がかりになります。
ここに自分の業種が正しく書かれているかチェックします。schema.orgというルールに沿って、OrganizationやLocalBusinessといった種類で会社情報を記述します。詳しくはLocalBusiness(schema.org)が参考になります。実装が薄い場合はAIO対策チェックリストで全体構成を確認してください。
方法4:業界ディレクトリ・登録サイトを見る
業界の検索サイトやポータルサイト(食べログ、エキテン、ITreview、Boxil等、業種ごとに違います)で、自社がどのカテゴリに登録されているか確認します。古いカテゴリのまま放置されていると、AIもその情報を引っ張ってきます。
方法5:Wikipedia・ニュースサイトでの記述を見る
自社や代表者がWikipediaやニュース記事で言及されている場合、そこに書かれている業種が正しいか確認します。Wikipediaは特にAIが信頼度高く参照する情報源なので、誤りがあれば修正の働きかけが必要です。
正しく覚えてもらうための3ステップ
確認の結果、業種を間違われているとわかったら、次は直す段階です。優先順位はこうなります。
ステップ1:サービスの言葉を統一する
トップページ・サービスページ・会社概要・採用情報など、サイト全体で同じ業種の言葉を使います。
たとえば「Web制作会社」と決めたら、「マーケティング会社」「広告制作」「ブランディング」といった隣接する表現は、サービス内容の説明として補足的に使い、メインの肩書きはWeb制作会社で統一します。バラバラの言葉で書かれているサイトは、AIにとってカテゴリ判定が難しくなります。
ステップ2:構造化データを正しく書く
繰り返しになりますが、構造化データはサイトの裏側で「この会社は何者か」をAIに伝えるための設定です。表側のサイト本文と裏側の構造化データで業種がズレていると、AIは判断に迷います。両者を一致させることが重要です。
具体的には、schema.org の Organization タイプを使って、会社名(name)、説明文(description)、公式SNSや関連URL(sameAs)を正確に設定します。
特に重要なのが、サービスを示すServiceタイプの実装です。サービスごとに「これは何のサービスか」を構造化データで明示すると、AIにとってのカテゴリ判断が安定します。
ステップ3:外でも同じ業種で呼ばれるようにする
サイテーション(=外部での言及)が、自社サイトと同じ業種・サービス名で書かれている状態を作ります。プレスリリースを出すとき、メディアに取材されるとき、他社ブログで紹介されるときに、「Web制作会社の◯◯」と書いてもらうように、自社からの情報提供を一貫させます。
ここを揃えるのは時間がかかりますが、サイト内だけで完結する施策よりも、長期的な効果が大きい部分です。
注意:業種を絞りすぎると逆に弱くなる
最後に、ひとつだけ補足します。
「業種をはっきりさせる」と聞くと、「サービスを1つに絞らないとダメなのか」と感じるかもしれません。でも、絞りすぎると別の問題が起きます。
たとえば「採用サイト制作専門」と打ち出すと、業種は明確になりますが、「コーポレートサイト制作の会社」を探している人には引っかからなくなります。
バランスとしては、「メインの業種」を1つはっきり示し、その下に「サービスのバリエーション」を並列で配置するのが現実的です。Web制作会社をメインに置きつつ、その下にコーポレートサイト・LP・ECサイト・採用サイトといったサービスを整理する、というイメージです。メインの業種が固まると、サービスの幅は強みに変わります。
まとめ
AI時代の競争は、「何位に出るか」より前に「何の会社として認識されているか」で始まっています。業種を間違われた会社は、おすすめ候補から最初の段階で外れます。これは順位が下がるのとは違う、もっと根本的な問題です。
ただ、原因はたいてい自社サイト側の表現や構造化データにあります。「メインの業種を1つはっきり示す」「サイト全体で言葉を統一する」「外でも同じ業種で呼ばれるようにする」という3つを揃えれば、時間はかかってもAIの認識は変わっていきます。
そして、業種が正しく認識されたあとに、サイトの透明性や無名サイトの逆転戦略といった次の打ち手が効いてきます。土台が間違っていると、上に積む施策の効率がどうしても落ちてしまうので、まずは「自社がAIにどう覚えられているか」を一度確認してみることをおすすめします。
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ENVY DESIGNでは、AIに自社サイトがどの業種でどう認識されているかの確認や、サービスの言葉の整え方・構造化データの設計といった、業種認識のズレを直すサポートを行っています。「自社サイトを一度AIで診てほしい」「サービスページの構成が散らかっていて気になる」といったご相談があれば、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。あわせて現行の料金体系もご覧いただけます。
AIに正しく業種を認識してもらうためのエンティティ整備は、AIO・GEO対策サービスの診断メニューでも対応しています。
よくある質問
Q. 自分の会社の業種がAIに正しく認識されているか、どうやって確かめればいいですか?
一番早いのは、ChatGPT・Perplexity・Gemini・Claudeなどの主要なAIに「◯◯株式会社の業種は何ですか?」と直接聞いてみる方法です。複数のAIに同じ質問を投げて、答えを比較すると、どのAIで認識がズレているかも見えてきます。
Q. 業種を間違って認識されている場合、どう直せばいいですか?
優先順位は3つあります。まずサイト全体で業種の言葉を統一すること。次に構造化データ(schema.orgのOrganizationタイプなど)で業種を明示すること。最後に、外部メディアでの紹介や言及でも同じ業種で呼ばれるよう、情報提供を統一すること。サイト内の修正は1〜2か月、外部の認識変化は半年〜1年の単位で進みます。
Q. サービスをひとつに絞らないとAIに正しく認識されないのですか?
絞りすぎる必要はありません。むしろ絞りすぎると、関連する別の検索からも漏れてしまいます。現実的なのは、メインの業種を1つはっきり打ち出した上で、その下にサービスのバリエーションを並列で配置する形です。
Q. 業種が正しく認識されたかどうかは、どのくらいで確認できますか?
サイト側の修正は1か月程度で反映が始まりますが、AI全体の認識が変わるには3か月〜半年程度かかると考えるのが現実的です。AIごとに学習データの更新サイクルが違うため、ChatGPTでは変わっていてもGeminiでは古いまま、というケースもよくあります。
Q. 構造化データを自分で書けない場合はどうすればいいですか?
WordPressであれば、構造化データを自動で出力するプラグインや、テーマ側の機能で対応できるケースが多いです。それでも難しい場合は、Web制作会社やSEO支援会社に相談するのが確実です。手書きで実装するよりも、自社のサービス構成に合わせた設計を相談するほうが、長期的には効率的です。
出典
- Schema.org「Organization」https://schema.org/Organization
- Schema.org「LocalBusiness」https://schema.org/LocalBusiness
- Google 検索セントラル「構造化データの仕組みに関する一般的なガイドライン」https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/intro-structured-data
- ENVY DESIGN 自社によるAI認識の観測(本文記載の事例・一次データ)
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