AI流入量と認識度は別物だった|4つのAIに同じ会社を聞いたAIO実測
今回の結論を先に言うと、AIからの流入量と、そのAIが会社をどれだけ理解しているかは別物でした。さらに、非Google系AIも一枚岩ではありませんでした。
2026年6月16日、同じ質問「ENVY DESIGNってどんな会社?」を、ChatGPT・Gemini・Perplexity・Claudeの4つのAIに1回ずつ投げてみました。すると、ENVY DESIGNがAIO(AI検索最適化)に取り組む会社だと認識できているかどうかが、AIごとにはっきり分かれました。Geminiは立ち位置まで正確に、ChatGPTは要点だけ、Perplexityは取り違え、Claudeはそもそも触れず、という並びです。
これは前回からの変化でもあります。5月15日に同じ趣旨で検証したとき(AI Overview引用がクリックされる可能性へ)は、Google系はAIOを認識・非Google系はAIO言及ほぼゼロ、という単純な二分でした。今回はその二分が崩れています。最初に断っておくと、これは各AI1回ずつのスナップショットであり、セッションや時期で揺れます。断定はできません。あくまで「この日のこのセッションではこう出た」という記録として読んでください。
いちばんの発見:流入量と認識度は、別の指標だった
この記事でいちばんお伝えしたいのはここです。
【調査データ】ENVY DESIGNの自社サイトでは、AI経由の流入のうちChatGPTが大半を占めています。直近のAIO隔週レポート 第4号では、6月前半のAI流入の約97%がChatGPT経由でした。ところが今回、その同じChatGPTに「ENVY DESIGNとは?」と尋ねると、AIOに触れはしたものの、営業を置かない体制やリピート中心といった固有の特徴までは届かない、浅い認識にとどまりました。
【仮説】これは、流入量と認識度が別の指標として動いている、ということだと考えられます。たくさん流入をくれているAIが、その会社を深く理解しているとは限らない。逆に、ほとんど流入をくれないGoogle系(Gemini)のほうが、立ち位置まで正確に認識している。「AIに引用された」「AI流入が増えた」という指標だけを追っていると、この差は見えません。流入の量と、AIがその会社をどう理解しているかは、分けて測る必要があると考えています。
この見方は、実際の流入データとAIの回答を並べて見ないと気づきにくいものです。一般的なAIO記事が「引用された/流入が増えた」を扱うのに対して、ここでは「AIはうちをどう理解しているのか」を、流入量と突き合わせて見ています。
検証の方法
2026年6月16日、ChatGPT・Gemini・Perplexity・Claudeの4つに、同じ質問文「ENVY DESIGNってどんな会社?」を1回ずつ入力し、回答を比較しました。各AIとも1回のみの取得です。回答はセッション・地域・タイミングで変動するため、ここで示すのは傾向の手がかりであって、確定した評価ではありません。本文では各回答の全文ではなく、AIOへの言及の有無・誤認の箇所・特徴的な点に絞って引用します。
結果:4つのAIで認識が4段階に分かれた
4つの回答を、AIOへの言及・認識の深さ・特徴で並べると、違いがはっきりします。とくに非Google系の3つ(ChatGPT・Perplexity・Claude)が、表層認識・誤認・未認識という3つの状態に割れたのが今回の特徴です。
| AI | AIOへの言及 | 認識の深さ | 今回の特徴 |
|---|---|---|---|
| Gemini(Google系) | あり(明確) | 立ち位置+固有の強みまで | 営業なし・約90%内製・5〜12年運用・代表名まで言及 |
| ChatGPT | あり(要点のみ) | 表層 | AIO/GEO/AEOに言及。固有のストーリーまでは届かず |
| Perplexity | あり(誤認) | 取り違え | 「AIで制作を効率化」と解釈。第三者ソースを参照 |
| Claude | なし | 事実は細かいが立ち位置は未認識 | 会社概要は具体的だがAIOには触れず |
Gemini:立ち位置まで正確に認識
【調査データ】Geminiは、AIO/GEOにいち早く注力している点を冒頭で挙げ、さらに営業担当を置かない体制、制作の約90%を内製している点、公開後5〜12年の長期運用、代表者名まで含めて回答しました。
(Geminiの回答から)社内にいわゆる「営業担当」を置かず、制作業務の約90%を自社内で対応しています。
【仮説】4つの中でもっとも解像度が高く、ENVY DESIGNが自社で打ち出している固有のストーリーまで届いていると考えられます。Google系のAIに対しては、これまで積み上げてきた構造化データやFAQ、公開実証が反映されやすい、という傾向は今回も変わっていないように見えます。
ChatGPT:AIOに触れた(前回からの変化)、ただし認識は浅い
【調査データ】ChatGPTは「AI検索最適化(AIO・GEO・AEOと呼ばれる分野)にも力を入れており」と明記しました。5月15日時点の検証では、ChatGPTの回答にAIOへの言及はほぼありませんでした。今回はそこに触れています。一方で、営業を置かない体制やリピート中心といった固有の特徴までは届いていませんでした。
(ChatGPTの回答から)AI検索最適化(AIO・GEO・AEOと呼ばれる分野)にも力を入れており、AI時代の検索対策を訴求しています。
【仮説】非Google系であっても、ChatGPTについてはAIOという立ち位置の認識が動き始めた可能性があります。ただし、冒頭で述べたとおり、流入の約97%を占めるプラットフォームでありながら、認識は要点に触れた段階にとどまっています。流入の多さと認識の深さが一致していない、という今回の主題がもっともはっきり出ているのがChatGPTです。これが定着した変化なのか一時的なものかは、1回の取得では判断できません。
Perplexity:AIに触れるが「制作の効率化」と取り違えた
【調査データ】Perplexityは「2025年以降は、AIを活用したWeb制作支援にも取り組んでいます」と回答しました。これはAIO/GEO(AI検索に引用されるための最適化)ではなく、AIを使って制作を効率化している、という別の意味に取り違えています。また、出典としてENVY DESIGN本体だけでなく、第三者のディレクトリ系サイトを参照していました。
(Perplexityの回答から)2025年以降は、AIを活用したWeb制作支援にも取り組んでいます。
【仮説】2つのことが読み取れます。ひとつは、第三者ソースを実際に参照しているという事実です。これは、非Google系の認識を動かすには第三者の言及(サイテーション)が効く、という見立てと整合する実例だと考えられます。もうひとつは、その第三者ソースや自社の記述が「AIO=AI検索最適化」という意味を明確に固定できていないために、AIで制作を効率化している会社、と誤読された可能性です。誤認は、記述を明確にすることで修正できる種類の問題だと考えています。
Claude:会社概要は細かいのに、AIOには触れていない
【調査データ】Claudeは、設立日・所在地・価格帯の目安・チーム構成・実績業種まで、会社概要レベルの事実はむしろ細かく拾っていました。ただし、AIOやGEOには一度も触れていません。
(Claudeの回答から)小〜中規模のホームページ制作がメインで、価格帯はおおよそ80〜300万円程度。営業担当者を置かず、口コミやリピーターからの依頼が中心。
【仮説】事実を細かく言えることと、その会社の立ち位置を理解していることは別、という典型でした。読者として知りたいのは「で、AIOは認識したのか」だと思いますが、答えは、していない、です。会社概要の解像度は高いのに、ENVY DESIGNがAIOに取り組む会社だという輪郭は拾えていない。今回の4つの中では、立ち位置の認識という点ではもっとも遠い位置にいます。
もう一つ見えたこと:非Google系は一枚岩ではない
【仮説】前回は「Google系=認識、非Google系=未認識」という二分で捉えていました。今回のデータは、その二分が単純すぎたことを示しています。同じ非Google系でも、ChatGPTは表層認識、Perplexityは誤認、Claudeは未認識と、3つの状態に割れました。非Google系をひとまとめに扱うのではなく、AIごとに状態を分けて見て、打ち手も変える必要がある、というのが今回はっきりした点です。
なお、AIに業種そのものを取り違えられるとどうなるか、その直し方はAIに業種を間違われている会社は、検索結果に出てこないで整理しています。
残った課題:誤認と未認識をどう動かすか
【仮説】今回の状態ごとに、打ち手の方向が分かれます。Perplexityの誤認に対しては、正規ページや第三者掲載の記述で「AIO=AI検索最適化」という意味をより明確に固定することが効くと考えられます。Claudeの未認識に対しては、自社サイトを整えるだけでは届きにくく、第三者がENVY DESIGNにどう言及しているか、つまりサイテーションの獲得が必要だと見ています。具体的な言及獲得の論点はWeb制作会社のAIO・サイテーション獲得13選で整理しています。
なお、各AIで会社概要の数字が食い違う場面もありました。たとえば資本金について、Perplexityは1,000万円(正しい値)と回答した一方、Claudeは300万円と古い、もしくは誤った値を出していました。これは参照しているソースが異なるためで、一次情報の表記を揃えておくことが、こうした食い違いを減らす土台になると考えられます。
おわりに
今回のいちばんの収穫は、流入量と認識度が別の指標として動いていることを、実際の流入データと突き合わせて確認できたことです。そして、非Google系の認識が一様ではなく、AIごとに割れ始めた瞬間を記録できました。ChatGPTがAIOに触れたことは前向きな変化ですが、認識はまだ浅く、Perplexityの誤認やClaudeの未認識も残っています。
この種の観測は、1回では揺れますが、同じ質問を定点で聞き続けることで、AIがある会社をどう理解していくかの記録になっていきます。半年、1年と続けば、単発の「引用された」報告とは別の、AIエンティティ観測ログとしての価値が出てくると考えています。繰り返しになりますが、今回は各AI1回ずつのスナップショットです。1回の結果に一喜一憂せず、変化の方向を記録していくのがこのシリーズの趣旨です。AI検索への向き合い方を整理したい方は、AIO・GEO対策(AI検索最適化)もご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 流入が多いAIほど、自社をよく理解しているのではないですか?
今回のデータでは、そうとは限りませんでした。ChatGPTは自社サイトのAI流入の約97%を占めますが、認識はAIOに触れた程度の浅いものでした。逆に、ほとんど流入をくれないGemini(Google系)のほうが立ち位置まで正確に認識しています。流入量と認識度は、別の指標として分けて見る必要があると考えています。
Q. 1回聞いただけで「認識が変わった」と言えるのですか?
言えません。今回は各AI1回ずつのスナップショットで、回答はセッションや時期で揺れます。ここで示したのは「この日はこう出た」という記録であり、傾向は同じ質問を定点で聞き続けて確認していきます。1回の結果を確定的な評価として扱わないようにしています。
Q. PerplexityがAIO対策を「AI制作支援」と取り違えたのはなぜですか?
断定はできませんが、正規ページや第三者掲載文で「AIO=AI検索最適化」という意味が明確に固定されていないことが一因の可能性があります。AIは複数のソースを合成して回答するため、曖昧な記述があると別の意味に解釈されることがあると考えられます。記述を明確にすることで修正できる種類の問題だと見ています。
Q. この結果から、何をすればよいですか?
状態ごとに打ち手が分かれます。誤認(Perplexity型)には正規記述の明確化を、未認識(Claude型)には第三者言及の獲得を、というように分けて考えるのが現実的です。まず全AI共通の土台(結論先出し・構造化・FAQ・著者情報)を整えたうえで、AIごとに入口を変えていくのが進めやすいと考えています。
出典
- Schema.org(構造化データの公式仕様)
- Google Search Central(検索・構造化データの公式情報)
- Web Vitals(Core Web Vitalsの公式定義)
- Google検索公式ブログ(AI Overview等の発表情報)
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