ピラーページ判定ガイド|どのページを”幹”にすべきか迷ったら
「ブログ記事をたくさん書いているのに、なかなか検索順位が上がらない」——Web担当者の方からこんなお悩みをよくお聞きします。
原因はさまざまですが、見落とされがちなのがサイトの構造です。記事を書きっぱなしで、それぞれがバラバラに存在している状態になっていないでしょうか。
検索エンジンに評価されるサイトには、「柱となるページ」を中心に、関連記事が枝のように広がっている構造があります。この柱を「ピラーページ」と呼びます。
ところが、いざピラーページを作ろうとすると、最初に詰まるのが「どのページを柱にするか」の判定です。定義や作り方を解説した記事はたくさんあっても、判定の現場ノウハウを語った記事はほとんど見当たりません。
ENVY DESIGNは創業14年・500件以上の制作実績の中で、自社サイトでも何度もこの設計を組み直してきました。本記事では、その経験から導いた判定の3条件と、現場で迷ったときに使える判断フローを共有します。
結論:ピラーページは「3つの条件」で判定する
最初に結論からお伝えします。ピラーページとして機能しやすいのは、次の3つの条件を満たすページです。
条件①:CV(問い合わせ・購入など)に直結する位置にあるか
ピラーページにはサイト内のリンクパワーが集まります。せっかくパワーが集まるページが、お問い合わせや申し込みにつながらない場所にあるのはもったいないです。サービスページや料金ページなど、ユーザーの最終アクションに近い場所を選ぶのがおすすめです。
条件②:複数のサブテーマを束ねられる広さがあるか
ピラーページは「広く浅く」を担当するページです。たとえば「採用サイトの費用」だけでは狭すぎますが、「採用サイト制作」なら費用・期間・構成・事例など5〜10の関連トピックを内包できます。
条件③:検索の入口になれるか
「このトピックの全体像を知りたい」とユーザーが検索したとき、最初にたどり着くべきページかどうか。検索意図が広く、複数の派生質問を持つキーワードで集客できるページがピラーの資格を持ちます。
この3つのうち1つでも欠けると、ピラーとして機能しにくくなる傾向があります。後ほど紹介する判定フローでも、この3条件を順にチェックしていきます。
ピラーページとは|2017年から2026年までの進化
判定基準を実際に使う前に、ピラーページが何を目指す考え方なのか、簡単に押さえておきましょう。
起点:HubSpot社が2017年に体系化
トピッククラスターという考え方を世に広めたのは、アメリカのマーケティング会社HubSpotです。2017年に発表されたこの理論は、自社ブログでの実験で順位とアクセス数が大きく伸びたことを公開し、世界のSEO業界に広がりました。HubSpot自身の事例では、トピッククラスター実装後にドメインオーソリティ(サイト全体の評価指標)が49から60に上昇し、ターゲットキーワードのクリック数も大きく伸びたと報告されています。
背景にあったのは、Googleの検索アルゴリズムの進化です。Googleは「ある単語が何回出てくるか」ではなく「そのサイトがどれだけそのテーマを深く扱っているか」で評価するように変わってきました。HubSpotが提唱したピラー+クラスターの考え方は、この変化にぴたりとはまったのです。
2025〜2026年:AI検索時代に重要性がさらに増している
9年経った今、ピラーページの考え方はむしろAI検索の登場で重要性を増しています。最新の信頼できるデータから2つお伝えします。
① AI引用の86%は、ブランドが管理できる情報源から生まれている
Yextが2025年に680万件のAI引用を分析した調査によれば、ChatGPT・Gemini・Perplexityといった主要なAI検索エンジンが引用する情報源の86%が、ブランド側でコントロール可能な「自社サイト・地図リスティング・口コミ」でした。内訳は自社サイトが44%、リスティングが42%、レビュー/SNSが8%。Reddit等のフォーラムはわずか2%にとどまります。AI検索でも自社サイトを整えることの重要性は、従来のSEOと変わらないことを示すデータです。
② AI Overviewsは検索結果の約2割に表示されている
Ahrefsが1億4,600万件のキーワードを分析した2025年の調査では、Googleの「AI Overviews」(検索結果上部のAIによる要約)が表示されるのは検索全体の約20.5%。質問形式のクエリでは57.9%、7語以上の長いクエリでは46.4%と、情報を求めるクエリほど高い表示率が報告されています。AI要約が表示されると従来のクリック率は下がる傾向にあり、「クリックを取りに行く」から「AI引用元として残る」への戦略転換が進んでいます。
実装する側にとっての意味
これらが示しているのは、ピラーページが単なる「SEOの順位対策」から「AI時代に検索で見つけてもらうための土台」に位置づけが変わったということです。AI検索時代でも、Yext調査が示すように引用源の中心は「自社サイト」。サイト構造を整えることの価値はむしろ高まっていると言えそうです。
現場で迷ったときの判定ノウハウ|よくある4つの質問
ここからが本記事の本題です。実際にピラーページを設計するとき、現場でよく出てくる4つの質問にお答えします。
Q1. /service/ のようなサービスページは、すべてピラーにすべき?
答えはNoです。「ピラーページはサービスページに置くべき」とよく言われますが、すべてのサービスページがピラーになれるわけではありません。h2-1の3条件で判定すると、条件②(広さ)を満たさない狭いサービスページはピラーには向きにくいです。
たとえばENVY DESIGNの場合、これらは条件を満たしてピラーになり得ます。
- /service/(Web制作全体を扱う総合ページ)
- /service/corporate-website/(コーポレートサイト制作)
- /service/recruit/(採用サイト制作)
一方で、これらは狭すぎてピラー候補から外れる可能性が高いです。
- 「LP制作のA/Bテスト機能」のような特定機能ページ
- 「採用サイトの撮影プラン」のような単一プラン紹介ページ
なお、サービスページとは別軸で「ホームページ制作会社の選び方」のような比較・選定系のブログ記事もよく検索されますが、これらは検索意図がやや異なるため、サブピラーとして別建てするのが向いています。
判定のコツ:そのページの下に「関連する5〜10のサブトピック記事」が自然に想像できるなら、ピラー候補です。サブトピックが思いつかないページは、ピラーではなくクラスター記事(葉の部分)として扱うのが向いています。
Q2. ブログのカテゴリページは、ピラーにできる?
条件付きでYesです。WordPressのカテゴリページは、初期状態では「記事の一覧」が並ぶだけで、コンテンツとしての内容がほとんどありません。この状態ではピラーとして機能しにくいです。
カテゴリページをピラーにするには、次の改修がおすすめです。
- カテゴリページに3,000〜8,000字程度の解説本文を追加する
- カテゴリ内の代表的な記事への内部リンクを構造的に配置する
- FAQセクションを設けて検索意図を網羅する
- 構造化データ(パンくず・Article等)を実装する
ここまで作り込めば、カテゴリページもピラーとして機能する可能性が高まります。ただし、改修コストが大きいため、サービスページにピラーを置いたほうが現実的なケースが多いです。
Q3. 既存の人気記事を、ピラーに昇格できる?
条件付きでYesですが、注意点があります。すでに検索で上位を取れている記事がある場合、その記事をピラーに昇格させたくなります。ただし、次の3点を確認してください。
- その記事はCV直結ページに近い位置にあるか
- 文字数を8,000〜15,000字に拡張できる広いテーマか
- 関連する子記事を5本以上書けるだけのサブトピックを持つか
すべて満たすなら、その人気記事をピラーに育てる価値があります。ただし注意点として、URLは変更しないことをおすすめします。変更すると、せっかく積み上げてきた検索評価がリセットされる可能性があります。記事タイトル・メタディスクリプション・本文構成の見直しに留めるのが安全です。
Q4. ピラーは1サイトに何個まで作るべき?
3〜7個が現実的な目安と考えられます。ピラーは「リンクパワーの集約点」なので、数を増やしすぎるとパワーが分散する傾向があります。
各ピラーの中のクラスター記事(サブトピック)の数については、HubSpot自身は1ピラーあたり最低6〜10のサブトピックを推奨しており、8〜10が理想とされています。多くの成功事例では1ピラーにつき8〜12の関連記事が配置されているという報告もあります。
サイト全体としては、事業領域に応じて次の数が目安です。
| サイト規模 | ピラー数の目安 |
|---|---|
| 小規模(1サービスのみ) | 1〜3個 |
| 中規模(複数サービス) | 3〜5個 |
| 大規模(事業領域が多い) | 5〜7個 |
ENVY DESIGNの場合、Web制作という1つの事業領域に対して、サブピラー(コーポレート/採用/LP/EC/リニューアル)を含めると合計6〜7個のピラー構造になります。
ピラーページ設計の5つの実装ポイント
判定が終わったら、次は実装です。ピラーページを設計するときに押さえたい5つのポイントをまとめます。
① 文字数は8,000字以上を目安に
ピラーページは「広く浅く」を担当するので、ある程度の文字数が必要です。8,000字を下回ると、サブトピックの説明が足りずピラーとして機能しにくくなる傾向があります。ただし、無理に薄めて引き伸ばすと逆効果なので、自然に広がる範囲で網羅性を確保するのがコツです。
② 関連記事への内部リンクを明示的に配置
ピラーから子記事へ、子記事からピラーへの双方向リンクが、クラスター構造の心臓部です。本文中に自然な接続文で関連記事を紹介し、ページ末尾には「関連する記事」セクションを設けて視覚的に分かりやすくしましょう。
③ FAQセクションを置く
ピラーページにFAQセクションを置くと、AI検索からの引用率向上が期待できます。複数の構造化データ調査では、FAQPageスキーマやHowToスキーマを実装したページが、AI検索エンジンに引用されやすい傾向があると報告されています(数値は調査によって幅があるため断定的な数字は伏せています)。5〜10個のよくある質問と回答を、構造化データ(FAQPage schema)とセットで実装するのがおすすめです。
なお、運用面では保守契約とFAQ更新フローをセットで設計しておくと、情報の鮮度を保ちやすくなります。
④ パンくず・カテゴリ構造・URLを一致させる
ピラーページのURL構造は、サイト内の階層と一致させるのが基本です。たとえばこんな形になります。
- /service/(ピラー:Web制作全体)
- /service/recruit/(サブピラー:採用サイト)
- /service/recruit/faq/(子記事)
階層がズレていると、Googleがサイト構造を正しく認識しづらくなる可能性があります。パンくずリストの構造化データ(BreadcrumbList schema)も合わせて実装しましょう。
⑤ 構造化データ(JSON-LD)を実装する
ピラーページには、以下の構造化データの実装をおすすめします。
- Service(提供サービス)
- BreadcrumbList(パンくず)
- FAQPage(FAQセクション)
- Organization(運営組織情報)
実装後はGoogle Rich Results Testで全スキーマが valid と表示されるか確認しておくと安心です。
自社診断|envydesign.jpに”Web制作”ピラーが無かった話
ここまで判定ガイドをお伝えしてきましたが、ENVY DESIGN自身がこの判定をサボってきた過去をお話しさせてください。
14年やってきて、Web制作の柱ページが存在していなかった
ENVY DESIGNは2012年創業のWeb制作会社です。Web制作という事業を14年続けてきました。それなのに、自社サイトには長らく「Web制作」を扱う柱ページが存在しませんでした。
/service/ というURLはあったのですが、ここは各サービスへの単なる入口ページにすぎませんでした。コーポレートサイト制作・採用サイト制作・LP制作といった個別ページへのリンクが並んでいるだけで、「Web制作とは何か」「ENVY DESIGNはWeb制作で何ができるのか」を網羅的に語るコンテンツがなかったのです。
結果として、いくつかの問題が起きていました。
- 「ホームページ制作 東京」というキーワードで半年間放置したら順位が大きく低下(詳しい実測ログはこちら)
- 各サービスページが個別に評価され、相互の評価が集約されにくい状態に
- AI検索で「ENVY DESIGN」と入力されたときに、Web制作会社としての全体像が認識されにくい
本シリーズを書く過程で気づいた
このトピッククラスター設計シリーズを書き始めるときに、ふと気づきました。クライアントには判定ガイドを語れるのに、自社サイトに同じ判定を適用していなかったのです。
3条件を /service/ に当てはめると、本来ならピラーとして機能するべきページでした。
- 条件①:CV直結ページ(問い合わせフォームへの導線あり)
- 条件②:広さがある(コーポレート/採用/LP/EC等を束ねられる)
- 条件③:検索の入口(「Web制作」「ホームページ制作」の入口)
「靴屋の靴」とはまさにこのことでした。
/service/ をWeb制作ピラーに作り変えた
気づいてから、/service/ をWeb制作のピラーページとして全面的に作り変えました。
- 単なるサービス一覧から、Web制作の網羅的な解説ページへ
- 各サービスページ(/service/recruit/ など)への内部リンクを構造的に配置
- FAQセクションを追加し、構造化データを実装
- 文字数を従来の数倍に拡張
これにより、これまで孤立していた個別サービスページの評価が、/service/ という柱を通じて集約される構造を作りました。
これから測定する変化
改修したばかりなので、効果測定はこれからです。次の3点を継続的に観測していく予定です。
- 「ホームページ制作 東京」「Web制作 港区」の順位推移
- 個別サービスページへのリンクパワー集約効果
- AI検索での「ENVY DESIGN = Web制作会社」認識の強化
結果が出てきたら、本シリーズの後続記事で実測データとして共有する予定です。自社サイトで実験しながら書くシリーズとして、ENVY DESIGNならではの一次情報をお届けします。
まとめ|ピラーページ判定は「3条件」で迷わない
ピラーページの判定で迷ったときは、本記事で紹介した3つの条件に立ち戻ってください。
- CV直結の位置にあるか
- 複数のサブテーマを束ねる広さがあるか
- 検索の入口になれるか
この3つを満たすページが、ピラーとして機能しやすいです。サービスページ・カテゴリページ・既存の人気記事——どれもこの3条件で判定すれば、迷わず決められます。そして数を欲張らないこと。サイト規模に応じて3〜7個が現実的な目安です。
本記事は「トピッククラスター設計シリーズ」の第1回(SEO編)です。次回は「サブピラー」をテーマに、ピラーの中に小さな柱を立てる方法をお届けします。AIに引用されるピラーページの設計については、近日公開予定のAI検索編で詳しく扱います。SEO観点とAI検索観点では、同じピラーページでも設計の考え方が異なるためです。
よくある質問
ピラーページとクラスター記事の違いは何ですか?
ピラーページは、特定のテーマ全体を「広く浅く」網羅する柱のページです。一方のクラスター記事は、ピラーが扱うテーマの中の特定の論点を「狭く深く」掘り下げる枝のページです。ピラーは検索意図の入口、クラスターは派生質問への回答という役割分担になります。両者を内部リンクで結びつけることで、サイト全体のテーマ認識が強くなります。
ピラーページに最低限必要な文字数はどれくらいですか?
8,000字以上が目安です。ピラーは網羅性を担う性質上、ある程度のボリュームが必要だからです。ただし、文字数稼ぎのために薄い情報を引き伸ばすと逆効果になります。サブトピックを5〜10個含め、それぞれが自然に展開された結果として8,000〜15,000字に落ち着く、という設計が理想です。
既存のサービスページをピラーに改修するときのコツはありますか?
最も大事なのはURLを変更しないことです。URLを変えると、これまでに積み上げてきた検索評価がリセットされる可能性があります。タイトル・本文構成・FAQ追加・内部リンク強化など、URL以外の部分を見直す形で改修を進めてください。文字数は8,000字以上に拡張し、関連記事への内部リンクを構造的に配置するのが効果的です。
ピラーページの数は何個まで作るべきですか?
事業規模に応じて3〜7個が現実的な目安です。小規模サイト(1サービス)なら1〜3個、中規模(複数サービス)なら3〜5個、大規模(複数事業領域)なら5〜7個が標準です。ピラーを増やしすぎるとリンクパワーが分散するため、まず3個程度から始めて、運用しながら必要に応じて増やしていくのがおすすめです。
WordPressでピラーページを作るとき、固定ページと投稿のどちらがいいですか?
CV直結を狙う場合は固定ページ、検索流入を主眼にする場合は投稿(blog)がおすすめです。固定ページはURLを階層構造で設計しやすく(/service/corporate-website/ など)、サービスページとして自然に運用できます。一方、投稿は記事系のSEOに強く、更新頻度を持たせやすい利点があります。両方を組み合わせ、固定ページをピラー、投稿をクラスターとする構成も有効です。
Web制作・サイト構造のご相談はENVY DESIGNへ
トピッククラスター設計、ピラーページ実装、構造化データの最適化など、サイト構造改善のご相談を承っています。創業14年・500件以上の制作実績を持つENVY DESIGNが、コーポレートサイト・採用サイト・LP制作からWordPress運用まで、企業のWeb戦略を伴走支援します。
「うちのサイトはピラーをどこに置くべきか」「既存記事をクラスター化したい」といった相談も歓迎です。