AIOを「SEO・PR・エンティティ」の3つで考える理由
「AIO(AI検索最適化)って、結局SEOとどう違うの?」とよく聞かれます。私自身は、AIOを実務レベルでは「SEO・PR・エンティティ」の3つに分けて考えています。ただ、この分け方を意識する必要があるかどうかは、会社によって変わります。結論から言うと、ほとんどの会社は3つを意識して埋めていく必要があり、意識しなくても自然に揃っていくのは、広報がいてSEOもやっている一部の会社だけだと考えています。本記事では、この3要素への分け方と、それをあえて意識すべきなのはどんな会社かを、自社の観察を交えて整理します。
「AIOって結局SEOでは?」は、半分正しい
先に、多くの人が薄々感じていることを認めておきます。SEOが強い会社は、放っておいても外部に言及され、被リンクが付き、話題にもなりやすい。良質なコンテンツと露出があれば、それ自体が次の露出を呼び込むからです。
この感覚は、ある面では正しいと考えています。SEOをしっかりやっている会社は、AI検索でも拾われやすい傾向があります。「AIOって結局SEOの延長では?」という疑問は、少なくとも半分は当たっています。
だからこの記事は、「AIOはSEOとはまったく別物だ」と煽るものではありません。むしろ逆で、どういう会社にとっては分けて考える意味が薄く、どういう会社にとっては意識する意味が大きいのか、という線引きの話です。
なぜAIOを「SEO・PR・エンティティ」の3つで考えるのか
AIOを構成要素に分けると、私は大きく次の3つに整理しています。あくまで実務で動くための分け方で、業界の公式な定義というわけではありません。
- SEO:AIが読み取れる形でコンテンツを用意し、検索インデックスに正しく載せる土台。構造化データや情報設計を含みます。
- PR:会社の名前や情報が、自社サイトの外(第三者のドメイン)で言及される状態を増やす活動。いわゆるサイテーションです。
- エンティティ:AIが「あなたの会社」を一つの実体として、正しく認識できる状態を整えること。
用語そのものの違い(AIO・GEO・LLMOなど)はAIO・GEO・LLMO・生成AI SEOの違いとは?で別途整理しています。ここで扱うのは、用語ではなく「何をやることなのか」という中身の分解です。
ただ、この分け方をきれいな公式として扱おうとすると、すぐに割り切れなくなります。実際に私が観察した範囲では、内部対策(サイト内のSEO)しかやっていないと公言している制作会社が、AI検索できちんと拾われている場面がありました。3要素が揃わなければ引用されない、とは言えないわけです。構造化された内部SEOの力は、想像しているより大きいのかもしれません。
核心:3要素を「意識して埋める」必要があるかは、会社で変わる
では、なぜ同じAIOという言葉が、ある会社では「SEOと同じでよい」に見え、ある会社では「分けて意識すべきもの」になるのか。分かれ目は、3要素が放っておいても埋まるかどうかにあると考えています。
はっきりさせておくと、ほとんどの会社は、3つを自分で意識して埋めていく必要があります。SEOをやっても、社外での言及(PR)と会社情報の統一(エンティティ)は、自動では付いてこないからです。とくに広報の専任者がいない中小・零細企業では、意識しないと、この2つがまるごと抜け落ちます。
一方で、意識しなくても3要素が自然に揃っていく会社もあります。広報担当がいてSEOもやっている会社です。良質なコンテンツが外部の言及を生み、広報が社名の露出を広げ、その積み重ねが会社の実体をはっきりさせていく。SEO・PR・エンティティが、分けて意識しなくても連動して回っている状態です。こういう会社にとっては、SEOとAIOをあえて分けて考える実益は小さいと言えます。
ただし、これは単純に会社の規模で決まる話でもありません。次のような点は、大企業でも意識している会社とそうでない会社があります。
- 構造化データ(会社情報を機械が読み取れる形にする)
- robots や llms.txt の設定
- AIクローラーへの対応
- 会社情報(エンティティ)の管理
規模が大きくても、これらを放置していれば、中小と同じように「埋まっていない要素」が残ります。
つまり、AIOを3要素に分けて意識すべき会社のほうがむしろ多数派で、意識しなくても回るのは、体制と意識の両方が揃った一部の会社に限られる、というのが私の実感です。
3要素を、埋まっていない前提で見直す
「自動では埋まらない」前提に立って、3要素を一つずつ見ていきます。多くの会社にとっては、こちらが実態に近いはずです。
SEO:土台であり、単独でも効く場面がある
SEOは3要素の土台です。ただ、先に書いたとおり、内部対策だけでもAI検索に拾われる場面は観察されます。まずやるべきは、良質なコンテンツを、AIが読み取れる構造で用意すること。権威性(E-E-A-T)の考え方はSEOの権威性とは?E-E-A-T強化で上位表示を狙う7つの方法で扱っています。中小にとっては、ここが最も着手しやすく、効果も比較的見えやすい領域だと考えています。
PR:社外での言及を増やす。ただし効果はまだ検証中
PR、つまりサイテーション(社外での言及)は、被リンクとは別の軸でAI検索に効くと考えられています。詳しくはサイテーションと被リンクの違い、増やし方の考え方は外部発信は本数より分散で整理しました。
ただ、正直に書くと、ENVY DESIGNではこのPRへの投資について、まだ効果をはっきり測り切れていません(【仮説・検証中】)。プレスリリースや外部発信は続けていますが、それがどれだけAI検索の認識に効いたかは、現時点で断定できる段階にありません。ここは今後も観察を続けます。
エンティティ:一番わかりやすく「揃っていない」部分
3要素のなかで、課題が最もはっきり見えているのがエンティティです。
実際、ENVY DESIGN自身の情報が、ネット上でバラバラに掲載されているのが現状です。所在地、資本金、実績の数——媒体によって載っている値がまちまちで、AIがどれを拾うかによって、会社の姿がぶれてしまいます。この「実体のぼやけ」は、「良い会社」と「AIに存在する会社」は違う|存在ギャップの正体で書いた問題そのものです。
そして【調査データ】として、AIごとに認識が食い違う場面も確認しています。Google系のAI(Gemini・AI Mode)はENVY DESIGNをAIO寄りの会社として認識する一方、非Google系(ChatGPT・Perplexityなど)は一般的なWeb制作会社としか認識していない、という非対称です。自社がAIにどう見えているかはAIに会社名は出てくる?10分で測るAI認知度診断で測れます。エンティティを「ページ単位」ではなく「実体単位」で考える発想は「ページ戦」から「エンティティ戦」へ、整え方の具体はエンティティとは?AI検索に「あなたの会社」を覚えてもらう5つの方法で扱っています。
幸い、ここは「散らばった事実を統一する」という、比較的手を付けやすい打ち手で改善できる余地があります。
足し算か、掛け算か|公式では断定しない
ここまで3要素に分けてきましたが、「AIO=SEO・PR・エンティティ」を、足し算とも掛け算とも断定するつもりはありません。
自社の観察からは、3要素はフラットに並ぶというより、SEOが起点になってPR・エンティティを呼び込む連鎖があるように見えます(【仮説】)。SEOが強ければ言及も話題も付いてくる、というのがその感触です。ただし、その逆は成り立ちません。良い会社なのに発信が弱く、AIに拾われないケースもあります。だから「SEOさえやれば自動で全部揃う」とも言えません。
3要素がどれくらいの比率で効くのか、どれか一つが欠けたときに全体がどうなるのか——ここは自社でも検証できていません。断定できるのは、「単独では効きにくく、揃うほど効きやすい傾向がありそうだ」というところまでです。AIが情報を取得してから引用に至る流れの全体像は、AIO・GEO対策サービスのページでも整理しています。
まとめ|意識しなくていいのは、一部の会社だけ
もう一度、要点を。AIOをSEO・PR・エンティティに分けて意識する必要があるのは、実はほとんどの会社です。意識しなくても3要素が回っていくのは、広報がいてSEOもやっている一部の会社だけで、しかもそれは体制と意識の両方が揃っている場合に限られます。
そのうえで、人手が足りない中小・零細企業にとっての現実的な進め方はこうです。まずSEOで情報を発信しながら、会社情報を統一してエンティティを整え、あわせて社外で言及される機会を少しずつ増やしていく。一本道の順番というより、SEOを起点に3つを並行して育てていく優先順位の話として捉えると、動きやすいと考えています。
自社が3要素のどこで詰まっているか整理したい方は、現在の状況のまま相談するからお気軽にどうぞ。今の状態を見ながら、どこから手をつけるかを一緒に考えます。
よくある質問(FAQ)
AIOはSEOと何が違うのですか?
会社の状況によって、答えが変わります。広報担当がいてSEOもやっている一部の会社では、SEOがそのまま外部の言及や実体の認識につながるため、両者を分けて考える実益はあまりありません。一方、多くの会社——とくに人手が足りずPRやエンティティ整備まで手が回らない会社では、SEOだけでは埋まらない部分が残るため、AIOとして分けて意識する必要が出てきます。
中小企業はSEO・PR・エンティティのどれから始めるべきですか?
まずSEO(良質なコンテンツと構造化データ)から着手するのが現実的だと考えています。最も効果が見えやすく、着手もしやすいためです。そのうえで、会社の事実(所在地や資本金など)がばらついている場合はそれを統一してエンティティの受け皿を整え、あわせて社外で言及される機会を少しずつ増やしていく——という並行の進め方が取り組みやすいです。
大企業ならAIOを意識しなくてよいのですか?
規模だけでは決まりません。構造化データやllms.txtの設定、会社情報の管理などは、大企業でも意識している会社とそうでない会社があります。これらを放置していれば、規模が大きくても埋まっていない要素は残ります。意識しなくても回るのは、体制と運用の両方が揃っている一部の会社に限られると考えています。
出典
- Google検索セントラル「構造化データの仕組み」 https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/intro-structured-data
- Google検索セントラル「役立つ、信頼性の高いコンテンツの作成」 https://developers.google.com/search/docs/fundamentals/creating-helpful-content
- Schema.org「Organization」 https://schema.org/Organization
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