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キュレーター型AIOとは?実体験が弱いまとめサイトがAIに引用される理由と10の対策

AIO/GEO 戦略・思想

株式会社ENVY DESIGN

代表取締役/ディレクター/デザイナー

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自分で使っていない商品を紹介しているサイトが、AIに引用されている話

「自分で使ったことのない商品をまとめただけのサイトが、なぜかAIに引用されている」── 調査してみた話です。

「○○のおすすめ」とChatGPTやPerplexity(AI検索のひとつ)で検索すると、書き手が実際にその商品を使った形跡のない「まとめサイト」が、引用元として並びます。

普通に考えると、これは矛盾しています。Googleはここ数年「書き手が実際に試していない記事は低く評価する」という方針を強めてきました。にもかかわらず、AI回答(ChatGPTやGoogleのAI回答など)は、「実体験の薄いコンテンツ」を選んで引用しているように見えます。

このズレは偶然ではありません。Googleが公式に表明している方針と、ChatGPT・Perplexity・GoogleのAI回答が実際に引用している元ページのあいだには、明確な開きが生じています。本記事のひとつ目の論点はここにあります。

なぜこのズレが起きているのでしょうか。

理由のひとつは、AIが答えを抜き出しやすい形式にあります。「○○10選」のような一覧記事、ランキング、比較表は、AIにとってもっとも扱いやすい形式の代表格です。Wix Studio AI Search Labが2026年3月に公開した調査(ChatGPT・Google AI Mode・Perplexityの75,000件のAI回答と100万件超の引用を分析)によると、AIが引用する元ページのうち、約21.9%がこのタイプの一覧記事でした。買い物に関する検索では、約40%にまで上がります。

つまりまとめサイトは「AIに好かれる形」を持っています。ところが同時に「Googleには評価されにくい中身」も抱えている。この板挟みのなかで、まとめサイトの運営者はどう戦えばいいのでしょうか。

本記事ではこの問いに、Google公式情報・海外の主要調査・ENVY DESIGNの自社観測データをもとに答えます。実体験の弱さを別の方法で補う、10の現実的な手段を整理していきます。

なお、本記事における「キュレーター型AIO」という用語は、ENVY DESIGNが2026年5月時点で整理した独自の概念です。業界標準語として定着しているわけではありません。ただし、ブラックハットAIOと並ぶ「○○型AIOシリーズ」の2本目として、最初期の整理記事のひとつになることを意図して書いています。

結論:この記事のポイント

結論:この記事のポイント

  • キュレーター型AIOとは:実体験が弱いまとめサイトが、透明性・口コミ・監修・独自集計・構造化データを組み合わせて、AI検索時代に信頼を補う考え方
  • 本記事の軸となる矛盾:Google公式は「集めただけは低品質」と明言する一方、ChatGPT・Perplexity・GoogleのAI回答は実体験の薄いまとめサイトを実際に引用している
  • 10の対策の軸:A:数で補う/B:他の人の経験を借りる/C:正直に開示する/D:自分の体験を一部だけ入れる/E:検索エンジンに正しく理解してもらう
  • ブラックハットAIOとの違い:偽装や捏造はブラックハット側。キュレーター型AIOはあくまで透明性と部分的な実体験の組み合わせで戦う
  • 想定読者:比較メディア/レビュー集約サイト/アフィリエイト運営者/業種ポータル運営者

AIがまとめサイトを引用したくなる3つの理由

まずは「なぜAIがまとめサイトを引用しやすいのか」を、3つの理由に分けて整理します。

理由1:一覧記事は「答えとして抜き出しやすい」から

ChatGPTやGoogleのAI回答は、ユーザーの質問に対して短く要約された答えを返します。このとき、AIが参照しやすいのは「すでに整理されている情報」です。

「○○10選」「比較表」「ランキング」のような形式は、項目ごとに見出しと説明が分かれていて、AIにとって読み取りやすい並びになっています。たとえば「BtoBサービスのおすすめは?」と聞かれたとき、AIは「すでに10個に絞られた一覧」を参照する方が、長文記事から1つずつ情報を拾うよりも速く処理できます。

前述のWix Studio AI Search Labの調査では、AIが引用した元ページのうち、約21.9%が一覧型の記事でした。一般的な解説記事の16.7%、商品ページの13.7%を上回って、もっとも多く引用される形式です。

これは「AIが手抜きをしている」という話ではありません。まとめサイトは、AIにとって「答えとして取り出しやすい形」をもとから持っている、という事実です。

理由2:ランキング・比較は買い物系の検索意図と合うから

人が「○○ どっちがいい?」「○○ おすすめ」と検索するとき、その背景には多くの場合「比較して選びたい」という意図があります。

このタイプの質問にAIが答える場合、複数の選択肢を並べて比較する形式が適しています。Wixの同じ調査によると、商業的な意図のあるクエリ(商品やサービスに関する検索)では、引用元の約40.86%が一覧記事でした。情報収集型の検索よりも、買い物系の検索で一覧記事の比重が高くなる傾向が観察されています。

つまり「比較・ランキング・まとめ」の形式は、生成AIの回答にとって「買い物系の検索に答えるための定番の形式」になりつつあると考えられます。

理由3:海外の口コミ・比較サイトをAIが参照しやすい形を持っているから

英語圏のAI検索を観察すると、G2(ジーツー、海外のソフトウェア口コミサイト)やCapterra(キャプテラ、海外のビジネスソフト比較サイト)のような「レビュー集約型サイト」が頻繁に引用されている様子が見られます。

これらのサイトは「ユーザーの口コミ」「星評価」「機能比較表」を、検索エンジンが読みやすいデータ形式(後述する構造化データ)で大量に整備しています。AI側もこの形を読み取りやすいため、結果として引用の優先度が上がっていると参考調査では指摘されています。

日本市場でも、価格.com・食べログ・mybest(マイベスト)のようなレビュー集約サイトが、GoogleのAI回答に引用されるケースが観察されています。具体的な引用シェアの定量データは2026年5月時点では限られていますが、これらのサイトが引用源になりやすい条件を備えていると考えられます。

でもGoogleは「集めただけの記事」を昔から低く評価してきた

ここまでで「AIはまとめサイトを引用しやすい」という側面を見てきました。一方で、従来のGoogle検索では、以前から「集めただけのコンテンツ」を低く評価する方向が強まってきました。

Googleの動きを、3つの段階に分けて整理します。

動き1:商品レビューの質を上げろというルール改訂(2021年〜)

Googleは2021年から「Product Reviews Update」と呼ばれるアルゴリズムの改訂を継続的に行ってきました。これは「商品レビューの質を上げろ」というルールの改訂で、ざっくり言えば「他社の説明文をコピペしただけのレビューは評価しない」という方針を明文化したものです。

このルールは、当初は1つの商品のレビュー記事だけに適用されると思われていました。ところがGoogleは2022年3月の公式ブログで、明確にこう述べています。「このアップデートはランキングリストや比較レビューにも適用される。クリエイターは、なぜその商品を『ベスト』と判定したのかを説明し、自分で見聞きした証拠(first-hand evidence)を含めるべきだ」。

つまり「○○ベスト10」「○○比較表」のような、まさにキュレーター型AIOの対象となる形式が、このルールの適用範囲に明示的に含まれているということです。

動き2:E(実体験)が評価項目に追加された(2022年12月)

Googleが長年、品質評価の基準として使ってきた「E-A-T」というものがあります。これは「Expertise(専門性)」「Authoritativeness(権威性)」「Trustworthiness(信頼性)」の3つを指す略語でした。

ところが2022年12月、Googleはここに新しいEを追加しました。「Experience(実体験)」です。以後はE-E-A-Tという4つの評価軸になり、「書き手が実際にその対象を体験しているか」が独立した評価項目になりました。

これが意味することは明確です。「商品を使った経験」「サービスを受けた経験」「現地を訪れた経験」── こうした実体験を持たないコンテンツは、評価軸のひとつを欠いた状態で勝負することになります。

動き3:Google品質評価ガイドラインが「集めただけは低品質」と明文化(2025年9月)

Googleは検索品質を評価する人間の評価者向けに「Quality Rater Guidelines」という文書を公開しています。2025年9月に改訂された最新版は182頁にわたり、AI Overview(GoogleのAI回答)の評価基準も新しく追加されました。

このガイドラインには、こう明記されています。「他のソースから情報を集めただけで、独自の分析・視点・価値を加えていないコンテンツは低品質である」。

集めるだけでは足りません。集めた上で「何かを加えている」ことが、品質評価の前提条件として明文化されたわけです。

ここまでをまとめると、Googleは「集めただけのコンテンツ」を低く評価する仕組みを、過去5年間で着実に強化してきたと言えます。

「キュレーター型AIO」とは何か ── 矛盾の中央にいるサイトの戦い方

定義 ── 実体験の弱さを別の方法で補う考え方

ここまでで2つの現実を見てきました。AIはまとめサイトを引用しやすい。一方でGoogleは集めただけのコンテンツを低く評価する。この2つの現実の中央にいるのが、本記事で扱う「まとめサイト」です。

キュレーター型AIOとは、実体験が弱いまとめサイトが、透明性・口コミ・監修・独自集計・構造化データを組み合わせて、AI検索時代に信頼を補う考え方です。AIO(AI検索最適化=ChatGPTやGoogleのAI回答に引用されるための対策)の一カテゴリとして、ENVY DESIGNが整理した独自の用語です。

ここで「実体験が弱い」というのは、書き手が実際に商品を使ったり、サービスを受けたりした経験を、あまり持っていない状態を指します。たとえば、自分で使ったことのないツールを「使いやすい10選」として紹介するアフィリエイトサイトや、訪れたことのない店舗を「人気店ランキング」としてまとめる比較メディアが、これに当たります。

このカテゴリの戦い方の核は、実体験という「欠けているピース」を、別のもので補うことにあります。集めた数の大きさ。第三者の専門家の知見。読者の口コミ。透明性の高い選定基準。検索エンジンが読みやすいデータ形式。これらを組み合わせて、Googleの評価軸とAI検索の引用論理の両方に対応していく。それがキュレーター型AIOの基本姿勢です。

Google公式の方針と、AI回答の現実にはズレがある

ここで読者に正直に伝えておくべき重要なポイントがあります。Googleが公式に表明している方針と、AIが実際に引用している元ページの間には、明確なズレがあるという点です。

Googleの公式立場は一貫しています。「他のサイトから集めただけで、独自の分析や視点、価値を加えていないコンテンツは低品質である」。これは前章で見たとおり、2025年9月版のGoogle品質評価ガイドラインに明記されている方針で、2022年12月に評価項目に追加されたE(実体験)も同じ方向を指しています。

ところが現実のAI回答を観察すると、実体験の薄いまとめサイトが頻繁に引用されているように見えます。Perplexityは海外の口コミ・比較サイト(G2やCapterraといったサービス)を商品関連の検索で引用する傾向があります。GoogleのAI回答も、食べログ・価格.com・mybestのような国内の集約サイトを実際に引用するケースが観察されています。

このズレが、キュレーター型AIOというカテゴリを成立させていると考えられます。「Googleが推奨する道」だけを進んでも、AIの引用には届かないかもしれません。逆に「AIが引用しやすい形」だけを追っても、Googleからは低評価のリスクが残ります。両方に同時に対応する必要があるのです。

ただし、ここを誤解してほしくありません。「Googleが嫌うことをやってもAIは引用する」という話ではありません。Googleが求める「実証に基づく根拠」を完全に無視できる、という意味でもありません。むしろ逆で、Googleが求めている方向に少しでも近づくための「現実的な代替手段」を組み合わせるのが、キュレーター型AIOです。

シリーズの位置づけ ── ○○型AIOの第2号

キュレーター型AIOは、ENVY DESIGNが進めている「○○型AIOシリーズ」の2本目に当たります。

1本目はブラックハットAIOです。こちらは「やり方の倫理性」を軸に、不正な手法でAI引用を取りに行くサイトの実態と見分け方を整理しました。今回のキュレーター型AIOは「書き手の実体験の有無」を軸に、E-E-A-Tが弱いサイトの戦い方を整理します。

次回予定の「スタートアップ型AIO」は、実績ゼロの新興企業がAI検索時代にどう存在感を出していくかを扱う予定です。キュレーター型AIOとスタートアップ型AIOは「実績や経験の弱さをどう補うか」という共通テーマで姉妹記事の関係になります。

想定読者

本記事の主な想定読者は以下のとおりです。

  • 比較メディアの運営者・編集者
  • 海外の口コミ・レビュー集約型サイトの日本版を運営する方
  • アフィリエイトサイトの運営者
  • 業種別のポータルサイトを運営する方

一方、以下は本記事の対象外としています。

  • ニュースメディア(一次取材を主業務とするため、性質が異なります)
  • Wikipedia型の事典サイト(編集体制の独自性が前提のため)
  • SaaS企業の自社メディア(自社商品の一次体験を持つため)

中小企業のWeb担当者の方も、自社サイトに比較ページや事例ページを設けている場合は、ここで扱う戦術の一部が応用可能です。

まとめサイトが取れる10の対策(実体験の弱さを別の方法で補う)

ここからが本記事の中核です。この二重構造を乗り越えるための10の対策を、5つの軸(A〜E)に分けて整理します。

それぞれの戦術には実装の難易度と効果の見立てを添えていますが、まずは「自分のサイトに当てはまるかどうか」を判断しながら読み進めてください。

A軸:数で補う

個別の体験はなくても、集めた数そのものを「強み」として見せる方向です。1人の体験では届かない領域に、量で到達するイメージです。

戦術1:集めた数そのものを「強み」として見せる

まとめサイトが、実体験のあるサイトに対して唯一勝てる可能性があるのは「1人では集めきれない量」です。

1人の体験談には深さがあります。一方で、1万件の口コミには別の強さがあります。網羅性・平均値・外れ値の検出は、量があってはじめて見える情報です。

「1万件のレビューから選びました」「500商品を比較しました」── このような表現を記事の冒頭や見出しで明確に提示するのが基本です。ポイントは、数字を「飾り」ではなく「方法論の説明」として使うことです。なぜこの数を集めたのか、集める基準は何だったかを併記すると、単なる量自慢ではなく編集方針として伝わります。

戦術2:読者の口コミ・レビューを集めて、検索エンジン向けデータとして埋め込む

ユーザーが投稿した口コミやレビュー(UGCと呼ばれます)は、書き手自身の体験ではないものの、「実際にその商品やサービスに触れた人の声」です。これを集めて提示することで、サイト全体としては実体験のシグナルを補強できます。

重要なのは、口コミを単にテキストとして載せるのではなく、「Review」「AggregateRating」と呼ばれる検索エンジン向けのデータ形式(構造化データ)で記述することです。これにより検索エンジンは「このサイトには評価データがある」と機械的に認識できるようになり、星評価や件数が検索結果やAI回答に直接表示される可能性が出てきます。

B軸:他の人の経験を借りる

自分の体験がなくても、その分野の専門家や、実際に使ったユーザーの経験を、サイト内に組み込む方向です。

戦術3:その分野の専門家に監修・寄稿を実名で依頼する

「自分が専門家でなくても、専門家を呼べばいい」── これは雑誌や書籍の編集者が昔から取ってきたアプローチです。Webサイトでも同じ方法が使えます。

書き手自身が専門家でなくても、専門家に監修してもらうことで、コンテンツに「専門性」の裏付けを加えられます。重要なのは、監修者の名前・経歴・資格を、検索エンジン向けのデータ形式(Person schemaと呼ばれます)で記述することです。

海外のSEO調査会社Onelyが2026年4月に公開した参考調査では、著者の資格情報を構造化データで記述したページは、AI検索からの引用率が複数倍に上がる傾向があると報告されています。具体的な倍率は調査条件によって変動しますが、構造化データを通じた著者情報の明示が、引用率に対して無視できない影響を持つ可能性は示唆されています。

監修者は1人でも効果はありますが、可能なら「複数の分野で複数の監修者」を配置するのが理想です。読者にもAIにも「このサイトには第三者の専門家が関与している」というシグナルになります。

戦術4:実際に使ったユーザーの事例・体験談を構造化して掲載する

戦術3が「専門家視点」を借りる方法なら、戦術4は「実ユーザー視点」を借りる方法です。

実際にその商品やサービスを使ったユーザーに、体験談を寄稿してもらう。インタビューする。事例として匿名化して掲載する。本質は「自分以外の人の一次体験を、サイト内に組み込む」ことです。

体験談は「Review」または「Article」と呼ばれる構造化データ形式で記述し、誰の体験なのか、いつの体験なのか、どんな状況だったのかを明示するのがポイントです。

C軸:正直に開示する

実体験の弱さを「隠す」のではなく、「正直に開示する」ことで信頼を取り戻す方向です。透明性は、E-E-A-TのなかでもとくにT(信頼性)を支える要素になります。

戦術5:選んだ基準・採点方法・利害関係を最初に正直に書く

「実体験は弱い。でも選んだ基準は明確にある」── これを冒頭で言ってしまうサイトと、そこを曖昧にしたまま「おすすめ」を提示するサイトでは、読者の信頼度に大きな差が出ます。

「なぜこの10商品を選んだのか」「どんな基準で順位を決めたのか」「アフィリエイトリンクや広告掲載の有無」── こうした情報を、記事の冒頭で明確に開示します。

広告主から金銭を受け取っている事実を隠したまま「おすすめ」を提示するのと、「以下のリンクからの購入で当サイトに紹介料が入ります」と先に書いてから提示するのとでは、Google品質評価ガイドラインから見た位置づけも大きく違ってきます。短期的には離脱率が上がる可能性もありますが、長期的には「正直なサイト」というシグナルになり、評価の底上げにつながると考えられます。

戦術6:編集方針・更新履歴・誤り訂正ポリシーを明示する

「このサイトはどのように記事を作っているのか」「過去にどんな更新をしたのか」「間違いがあった場合、どう訂正するのか」── こうした編集の裏側を、専用ページで明示するのも有効です。

とくに「最終更新日」(dateModifiedと呼ばれる項目)は、検索エンジンが鮮度を判断するシグナルです。古い情報を放置せず、定期的に内容を見直して更新日を記録することで、AI側に「このサイトはメンテナンスされている」と認識されやすくなります。

D軸:自分の体験を一部だけ入れる

「全部を自分で体験する」のは無理でも、「一部だけ自分で体験する」なら可能なケースは多いはずです。要所だけ部分的に実体験を注入することで、サイト全体の信頼性を底上げできます。

戦術7:要所だけ自分で取材した情報を入れる

10商品を紹介する記事で全部を自分で使うのは現実的に困難でも、上位3つだけは実際に試す。これだけで、サイト全体の見え方は大きく変わります。

すべては試さないが、メーカーに直接インタビューする。比較表は二次情報でも、コメント欄だけは自分の感想を入れる。このような「部分的な一次取材」が、サイト全体に「実体験の証拠」を点在させます。AIや検索エンジンが内容を判定するとき、これらの一次情報の存在は、サイト全体の信頼性評価に影響する可能性があります。

戦術8:独自集計・再集計データを自分で作る

公開済みのデータを集めるだけでも、「集計の切り口」を自分で考えれば独自情報になります。

たとえば「公開されている価格データを業種別に再集計する」「複数のレビューサイトの星評価を独自基準で重み付けする」「業界統計を自社のクライアントデータで補強する」── こうした独自集計は、書き手の解釈や編集判断が入った時点で、単なる情報の集約とは性質が変わります。Googleが求める「独自の分析・視点・価値」を、集計作業で部分的に満たせる可能性があります。

E軸:検索エンジンに正しく理解してもらう

最後は、これまでの戦術1〜8の成果を、検索エンジン側に「正しく」読み取ってもらうための技術的な工夫です。

戦術9:一覧・ランキング・評価データを検索エンジン向けデータで書く

良い記事を書いても、機械が読めなければAIに伝わりません。これが「構造化データ」の役割です。

「○○10選」のような一覧記事には、ItemList(アイテムリスト)という構造化データを実装するのが基本です。これにより検索エンジンは「ここに10個の項目が並んでいる」「順位はこうだ」と機械的に認識できます。商品レビュー記事にはReview、複数レビューの集計にはAggregateRatingを実装します。

前述の参考調査でも、構造化データを実装したページは未実装のページと比べて、AI検索エンジン上位での引用率が大きく高まる傾向が報告されています。具体的な差は調査条件で変わりますが、AIに引用してもらいたいなら、構造化データの実装は最優先で取り組むべき要素のひとつです。

戦術10:外部メディアにも記事を載せてもらう+AI引用された実績を新しい権威性に変換する

自社サイトだけで発信していても、AI回答の引用シェアには上限があります。外部のメディアに転載してもらう、寄稿する、ニュースリリースを配信する。こうした外部経由の露出は、AI側が「この情報源はあちこちで言及されている」と認識する材料になります。

加えて、自分のサイトが実際にAIに引用された実績を、新しい権威性のシグナルとして活用する手もあります。「○○の質問でChatGPTに引用されました」── こうした実績を記事や事例として公開することで、AI引用そのものが新しいブランド資産になります。ENVY DESIGN自身も、隔週で公開しているAI流入レポートで、自社サイトの引用状況を実数で公開しています。

やっていいこと/やってはいけないことの境界線 ── ブラックハットAIOとの違い

ここまで10の戦術を見てきました。ただし、似たような目的を持っていても「やってはいけない」領域もあります。それが、本シリーズ1本目で扱ったブラックハットAIOの範囲です。

偽装パターンはブラックハットAIO側

具体的には、以下のようなパターンはブラックハットAIOに該当すると考えられます。

  • 架空のPerson schemaを作成する(実在しない監修者を構造化データに記述する)
  • 捏造したレビューを「実ユーザーの声」として掲載する
  • 本文に書いていない実績や経歴を、構造化データのなかだけに盛り込む
  • FAQPageの構造化データだけ実装し、対応する本文FAQを掲載しない

これらはいずれも「機械にだけ見せる情報」と「人間に見せる情報」を意図的に乖離させる手法です。Googleの公式ガイドラインでは構造化データの「手動による対策」の対象となり、リッチリザルト表示資格の剥奪などの処分につながる可能性があります。

健全な手法の見分け方

逆に、本記事で紹介した10戦術はいずれも「人間に見せている情報を、検索エンジンにも構造化して伝える」というアプローチです。透明性が前提にあり、サイト本文と構造化データの整合性が保たれていれば、ガイドライン違反にはなりません。

判定の基準はシンプルです。「もしこのサイトが第三者監査を受けても、説明できる作りになっているか」── これが境界線です。実在する監修者なら名前を出して契約書を提示できますし、集めた口コミなら出典が辿れます。利害関係を冒頭で開示していれば、透明性のチェックも通ります。

キュレーター型AIOは、あくまで「正直であること」を前提に、実体験の弱さを別の方法で補う戦略です。偽装で短期的に引用を取ろうとする手法とは、思想からして異なります。

明日から取れる4つのステップ

10戦術を一度に全部やろうとすると挫折します。優先順位をつけて、段階的に取り組むのが現実的です。

Step 1:現状診断 ── 実体験ゼロのページを棚卸し

まず、自社サイトの全ページを洗い出し、「実体験がゼロのページ」「部分的に実体験があるページ」「実体験が中心のページ」に分類します。

ゼロのページが多いほど、本記事の戦術を取り入れる効果が大きくなります。逆に、すでに部分的な実体験を持っているページは、戦術7(部分的一次取材)や戦術8(独自集計)の強化が有効です。

Step 2:C軸(透明化)から着手 ── もっとも低コスト

最も短期間で着手できるのが、C軸の戦術5(選定基準・配点・利害関係の開示)と戦術6(編集方針・更新履歴の明示)です。

これらは新規ページの作成ではなく、既存ページや「About」ページの追記で対応できます。コストが低く、効果は中長期で持続します。最初の30日で完了させるのが目安です。

Step 3:B軸(監修者)+D軸(部分取材)を中期で導入

次に取り組むのが、B軸の戦術3(監修者・寄稿者)とD軸の戦術7・8(部分一次取材・独自集計)です。

これらは契約・取材・分析の工数が発生するため、Step 2より時間がかかります。60〜90日のスパンで、優先度の高い記事から順に着手するのが現実的です。

Step 4:E軸(構造化データ+外部配信)で長期積み上げ

最後に取り組むのが、E軸の戦術9(構造化データ徹底)と戦術10(外部配信+AI引用実績の活用)です。

構造化データの実装は技術的な工数が必要ですが、一度実装すれば持続的に効きます。外部配信は継続的なメディアリレーションが必要なため、90〜180日の長期施策として位置づけるのが現実的です。

なお、A軸の戦術1・2(量で補う/UGC集約)は、Step 1〜4と並行して常時取り組む位置づけになります。すでに集約しているデータを「量として見せる」表現に組み替えるだけでも、すぐに効果が出る場合があります。

ENVY DESIGN視点 ── 観測しているまとめサイトの動向

ここまでの戦術は、海外調査やGoogle公式情報を主な根拠としてきました。最後に、ENVY DESIGNが自社サイトの運用から観測している、補足的なデータを共有します。

私たちは自社サイトのGA4(Googleアナリティクス4)で、AI検索からの流入を継続的に観測しています。直近30日の実測では、ChatGPTから25セッション、Perplexityから14セッション、Claudeから6セッションの流入がありました。Perplexity経由の流入は、海外で公開されている各種調査の平均と比べると2〜3倍ほど高い比率になっています。

加えて、新規記事を公開してから2〜3日以内に、GoogleのAI回答が情報を取りに来ていると推測できるアクセスパターンが、繰り返し確認されています(GA4上ではオレゴン州のGoogleデータセンターからのアクセスとして記録されます)。

ここから見えてくるのは、新しく公開されたコンテンツに対して、AI側は想像以上に早く反応している、という事実です。サイト全体のブランド力が一定以上あれば、新規記事でも数日以内にAI側の取得・評価対象に入る可能性があります。

まとめサイトを運営している方にとって、これは「今すぐ改善に取り組めば、効果は意外と早く返ってくる」というシグナルとして受け取ってもらえると思います。本記事の対策を半分でも実装すれば、3〜6ヶ月の単位で、AI引用シェアの変化を観測できる可能性はあります。

まとめ ── 実体験の弱さを「補う」時代へ

本記事では「キュレーター型AIO」という新しい概念を提示し、実体験を持たない、または弱いまとめサイトが、AI検索時代に取れる10の戦術を整理してきました。

要点を改めて整理すると、以下の3点になります。

  1. AIはまとめサイトを引用しやすい。しかしGoogleは集めただけのコンテンツを低評価する。まとめサイトはこの矛盾の中央にいる
  2. この難しさを乗り越えるための10戦術は、A:数で補う/B:他の人の経験を借りる/C:正直に開示する/D:自分の体験を一部だけ入れる/E:検索エンジンに正しく理解してもらう、という5つの軸に整理できる
  3. 偽装は禁物。透明性を前提に、部分的な実体験を組み合わせるのがキュレーター型AIOの本質

「○○型AIOシリーズ」の次回は、新規立ち上げの会社が実績ゼロの状態からAI検索でどう存在感を出していくかを扱う「スタートアップ型AIO」を予定しています。キュレーター型AIOと共通する課題(実体験の弱さの補い方)を、別の立場から扱う姉妹記事として、ぜひ続けて読んでみてください。

よくある質問(FAQ)

Q1:キュレーター型AIOとブラックハットAIOの違いは何ですか?

キュレーター型AIOは「実体験の弱さを正直に補う」戦略です。透明性を前提に、監修者・口コミ・独自集計・構造化データなどを組み合わせて、AI引用と検索評価の両方に対応します。

一方ブラックハットAIOは「実体験がないことを偽装する」手法です。架空のPerson schema、捏造レビュー、本文に存在しない実績の構造化データ化など、機械にだけ見せる情報を人間に見せる情報と乖離させる手口を指します。

両者は目的(AI引用獲得)こそ似ていますが、思想は正反対です。キュレーター型AIOが「正直な代替手段」を組み合わせるのに対し、ブラックハットAIOは「偽装で短期的に取りに行く」アプローチで、ガイドライン違反のリスクを抱えています。

Q2:実体験を全く持たないサイトでも本当にAI引用されますか?

実態として、引用される事例は観察されています。PerplexityやGoogleのAI回答が、海外の口コミ集約サイト(G2やCapterra)や国内の比較サイト(食べログ・価格.com・mybest)を引用するケースは、複数のソースで報告されています。

ただし「実体験が完全にゼロ」のままで持続的に引用されるかは別問題です。Googleの公式方針は明確に「集めただけは低品質」と言っており、AI側の引用論理も、長期的にはGoogleの評価軸に寄っていく可能性が高いと考えられます。

つまり、現時点では「実体験ゼロでも引用される」可能性はあるものの、本記事で紹介した10戦術のうち、せめてC軸(透明化)とE軸(構造化データ)には着手しておくのが現実的な防御策になります。

Q3:監修者を1人だけ付ければE-E-A-Tは満たせますか?

1人でも、何もないよりは大きく前進します。海外の参考調査では、著者の資格情報を構造化データで明示すると、AI引用率が複数倍に上がる傾向が報告されています。

ただし「分野が広い大規模サイト」の場合は、1人の監修者では全カテゴリをカバーしきれません。理想は、扱うジャンルごとに専門監修者を配置することです。最低でも「主要カテゴリには監修者がいる」状態を目指してください。

また、監修者の名前を出すだけでなく、経歴・資格・SNSアカウントへのリンクなど、第三者が検証できる情報まで揃えるのが理想です。「実在性が検証可能な監修者」であることが、信頼性のシグナルとして重要になります。

Q4:UGC(読者の口コミ)を集めても、結局は他人の経験では?それでも自社の評価になりますか?

UGCは確かに「他人の経験」ですが、サイト全体としては「実体験を集約・整理した編集物」として評価される可能性があります。E-E-A-TのE(実体験)は書き手個人だけでなく、サイト全体として「実体験ベースの情報をどう扱っているか」が見られるためです。

ポイントは、UGCを単に並べるのではなく、「どんな基準で集めたか」「どんな検証をしたか」を併記することです。たとえば「実購入者のみのレビュー」「2025年以降の投稿に限定」「重複・スパム除外済み」といった編集方針を明示すれば、単なる転載とは異なる価値が出ます。

Review・AggregateRatingの構造化データで適切に記述することも忘れずに。検索エンジン側に「これは集約されたユーザー評価である」と機械的に伝えることが、引用獲得の前提条件になります。

Q5:中小企業の自社サイトにもキュレーター型AIO戦術は使えますか?

部分的に応用可能です。中小企業の自社サイトは、自社商品・サービスに関しては「実体験」を当然持っているため、キュレーター型AIOの主対象ではありません。

ただし「他社サービスとの比較ページ」「業界全体の動向まとめ」「複数製品のレビュー記事」を自社サイトに掲載している場合、それらのページはキュレーター型AIOの戦術が活きる領域になります。とくにC軸(透明化)の戦術5・6、E軸(構造化データ)の戦術9は、ほぼすべての中小企業サイトで応用可能です。

「自社の実体験」と「他社についての二次情報」を、ページ単位で分けて管理し、二次情報のページにはキュレーター型AIO戦術を適用する、というのが現実的な使い方になります。

Q6:キュレーター型AIO戦術はSEO(従来検索順位)にも効きますか?

多くの戦術は、SEOにもプラスに働くと考えられます。

C軸(透明化)はGoogle品質評価ガイドラインの信頼性評価に直接効きます。B軸(監修者)は専門性・権威性のシグナルになります。E軸(構造化データ)はリッチリザルト表示資格を得ることで、検索結果でのクリック率向上が期待できます。

ただし、SEOで安定して上位表示されるためには、本記事で扱った範囲を超えた要素(被リンク獲得、コアウェブバイタル、内部リンク設計など)も必要になります。キュレーター型AIO戦術は「AI引用のための施策」が主目的ですが、副次的にSEOにも好影響が及ぶ可能性が高い、という位置づけで理解してもらえると思います。

ENVY DESIGNへのご相談について

ENVY DESIGNでは、本記事で紹介したキュレーター型AIOの対策を含む、AI検索最適化(AIO・GEOLLMO)の診断・実装・継続支援サービスを提供しています。

具体的には以下のような相談を承っています。

  • 既存のまとめ系コンテンツ・比較ページが「キュレーター型AIO」の戦術を満たしているかの診断
  • 構造化データ(ItemList/Review/AggregateRating/Person)の実装
  • 監修者の配置・選定基準の透明化・編集方針の整備
  • AI流入の継続観測レポートの提供

関連記事: AIが要約する時代の中小企業|網羅型を捨てるコンテンツ戦略

サービス料金の目安はAIO・GEO対策の費用でご確認いただけます。診断段階のご相談は無料で承っていますので、まずはお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。

キュレーター型に負けない一次情報の設計を含めた支援内容は、AIO・GEO対策(AI検索最適化)のページでご紹介しています。

各プラットフォームの引用基準の違いは、AI検索の引用ロジックは全部違うで解説しています。

株式会社ENVY DESIGN

代表取締役/ディレクター/デザイナー

Web業界歴14年。これまでに 500件以上のWeb制作プロジェクトに携わり、企業サイト、採用サイト、ECサイトなど幅広い領域を手がけてきました。ディレクションだけでなく、デザイン・コーディングまで一貫して対応できるのが強みです。近年はAIO(AI Optimization)・GEO領域に注力し、ChatGPTやPerplexity、Google AI Overviewなど生成AI検索からの引用獲得を支援しています。

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