用語集はSEOに効果がある?26本・14日間の実測データで検証
用語集を26本公開し、最初のまとまったデータが取れました。この記事では、公開直後14日間の実測データを公開します。
先にお伝えします。表示回数は想定以上に伸び、FAQを上回ってサイト2位のコンテンツ群になりました。一方で、クリック率(CTR)はブログの約5分の1にとどまりました。「たくさん表示されるのに、ほとんどクリックされない」。これが用語集の公開直後の姿です。
それでも、私たちはこの結果を失敗とは考えていません。なぜ用語集を作るのかは私たちが用語集を作る理由で、こうしたコンテンツをどう評価すべきかは用語解説ブログは資産か負債かで書いてきました。本記事は、その考え方が実際のデータでどうだったかの「答え合わせ」です。
このページでわかること
- 用語集26本の公開直後14日間の表示回数・クリック率(実測)
- クリックされる用語とされない用語の違い(実測から見えた傾向)
- CTRが低くても意味があると考える理由(面で揃える戦略)
【調査データ】公開直後14日間の実測——表示はFAQ超え、CTRはブログの5分の1
Search Consoleの実測です。
【調査条件】対象はenvydesign.jpプロパティ/期間は2026年6月29日〜7月12日の14日間/検索タイプの指定なし/データ取得日は2026年7月17日。
| コンテンツ群 | 本数 | 表示回数(14日間) | クリック率 |
|---|---|---|---|
| ブログ | 100本超 | 18,625 | 約1.9% |
| 用語集 | 26本 | 3,472 | 約0.4% |
| FAQ | 60本超 | 2,942 | 約1.6% |
読み取れることは二つあります。
一つ目は、立ち上がりの速さです。用語集の表示回数は、公開から数週間で60本以上あるFAQを上回りました。単純に本数で割ると、用語集は1本あたり約134表示、ブログは約181表示でした。ただし、各ページの公開期間や検索需要は異なるため、純粋な性能比較ではありません。それでも、公開直後の用語集が一定の表示機会を得ていることは確認できます。
二つ目は、クリック率の低さです。約0.4%は、ブログ(約1.9%)の5分の1程度にとどまります。たくさん表示されるのに、クリックはほとんど発生していない。この非対称が、用語集というコンテンツの性質をよく表しています。
なぜクリックされないのか——【仮説】「意味を知りたいだけ」の検索はAIで完結する
CTRの低さは、一般にはタイトルや内容の改善余地として扱われます。その見方自体は正しく、私たちも個別ページの改善は検討します。ただ、用語集というコンテンツに限っては、低いCTRを「改善すべき欠点」としてだけ扱うと、本質を見誤ると考えています。この章では、その理由を整理します。
先にお断りすると、Search Consoleのデータだけでは、クリックされなかった理由そのものは確認できません。順位が低い、検索結果でタイトルが選ばれていない、強調スニペットなど別の要素に注意が向いている、検索意図とページ内容が合っていない、といった要因も考えられます。
そのうえで、私たちが最も整合的だと考えている仮説はこうです。「○○とは?」を調べる人の多くは、意味が分かればそれで目的を果たせる。現在のGoogle検索では、検索内容によってAIによる概要が表示される場合があります。また、検索結果に表示される説明文や強調スニペットだけで、意味を把握できることもあります。定義を知るだけで目的を果たせる検索では、検索結果上の情報を読んだ時点で、ページを開かずに検索を終える人がいる可能性があります。
【調査データ】掲載順位15位以内でも、CTRが大きく異なった用語
ここで、興味深い実測がありました。掲載順位15位以内に入った用語のあいだでも、CTRが大きく分かれたのです。掲載順位による影響を完全には除けませんが、平均掲載順位15位以内に入った用語を比較します。
| 用語 | 平均掲載順位 | 表示回数 | クリック率 |
|---|---|---|---|
| AIクローラー | 6.9位 | 72 | 約1.4% |
| AIモード | 8.0位 | 1,705 | 0.1%未満 |
| JSON-LD | 8.3位 | 111 | 約5% |
| schema.org | 12.8位 | 124 | 0.1%未満 |
| 構造化データ | 14.6位 | 33 | 約3% |
掲載順位には一定の差があるため単純比較はできませんが、それを踏まえても、用語によってCTRが大きく異なりました。JSON-LDはブログの平均を上回るCTRだった一方、AIモードは0.1%未満でした。
【仮説】作業の途中で調べる用語は、詳しい情報を求められやすい
この差を、私たちは次のように解釈しています。あくまで公開直後の自社データから立てた仮説です。
JSON-LDを検索する人のなかには、実装や設定の途中で、仕様や書き方を確認したい人が含まれている可能性があります。その場合、検索結果に表示される短い説明だけでは足りず、ページを開いて詳しい内容を確認する必要があります。
一方、AIモードを検索する人のなかには、まず言葉の意味や概要を知りたい人が多い可能性があります。短い説明で目的を果たせる場合は、ページを開く必要性が低くなります。
今回のデータでは、JSON-LDや構造化データなど、実装に近い用語で比較的高いCTRが見られました。ただし、schema.orgではほとんどクリックが発生しておらず、実装系と概念系できれいに分けられるわけではありません。
掲載順位や検索結果の構成、タイトルの見え方など、検索意図以外の要因も影響します。現時点では、今後のデータで確かめるための仮説と位置づけています。
クリックが発生した用語から想定できる読者像
クリックが発生した用語を見ると、JSON-LDや構造化データなど、実装やサイト運用に関係する言葉が含まれていました。
このことから、クリックした人のなかには、Web制作やサイト運用に関わる人が含まれている可能性があります。ただし、Search Consoleでは閲覧者の職種までは確認できないため、あくまで検索語から想定した読者像です。
こうした実務者に読まれる用語集は、直接の問い合わせを生まなくても、記事や資料を作る際の参照先になる可能性があります。現時点で外部サイトからの引用や言及を確認できているわけではありませんが、将来的に「定義の参照先」として使われることも、用語集に期待している役割の一つです。
それでもCTRが低い用語集に意味があると考える4つの理由
面で揃える——専門分野を体系的に説明する土台になる
一番大きな理由がこれです。
AI検索やSEOについて発信するのであれば、個別の記事だけでなく、その記事を理解するために必要な基礎用語もサイト内に揃っているほうが、読者は関連する情報をたどりやすくなります。
用語集の1ページだけで大きな成果を出すのではなく、26本をまとめて整備することで、ブログ記事から基礎用語へ、基礎用語から詳しい解説へとつなげられます。私たちは、この状態をサイト全体の専門性を伝えるための土台と位置づけています(この考え方の背景はトピカルオーソリティの解説記事をご覧ください)。
SEO上どの程度の効果があるかを、用語集単独で切り分けることはできません。そのため、「用語集を増やせば順位が上がる」と考えているわけではなく、専門分野を体系的に説明できるサイト構造を作る施策として取り組んでいます。
【観測】当サイト全体の表示回数は、2026年4月の約3.4万回から6月の約5.3万回へと5割以上増えました。用語集の投入時期と重なっていますが、同じ期間にブログ記事やFAQの追加、既存ページの改善も進めています。そのため、用語集単独の効果とは判断できません。
表示回数は、認知につながる可能性のある接点になる
14日間で3,472回、用語集のページが検索結果に表示されました。
もちろん、表示されたすべてのページが実際に読まれたり、社名まで認識されたりしたわけではありません。それでも、関連する検索結果に継続して現れることは、クリック以外の接点になり得ると考えています。
同業・隣接職種にとっての「定義の参照先」を目指す
前述の通り、実装や運用に関わる用語は、Web制作者やサイト運用担当者などに読まれている可能性があります。
こうした人が記事や資料を作る際に、用語の定義を確認する参照先として使われることは、用語集に期待している役割の一つです。
現時点では、用語集が外部サイトからの引用や言及をどの程度生んでいるかまでは確認できていません。今後はクリック数だけでなく、外部リンクや社名への言及、AI検索での参照状況も含めて観測していきます。
AIにも内容を理解できる形で情報を公開しておく
用語集の各ページでは、本文中で用語と定義の関係を明確にし、DefinedTermを含む構造化データも実装しています。
ただし、DefinedTermを実装すれば、AIの回答に採用されたり、参照元として表示されたりするわけではありません。構造化データは採用を保証する施策ではなく、ページが何について説明しているのかを機械にも伝わる形で公開するための補助的な設計です。
人がページをクリックしない検索であっても、AIが回答を作る際の候補となれるよう、明確な定義と根拠のある解説を公開しておくことに意味があると考えています。AI検索でのクリック率が低くても、参照や引用に別の価値があるという考え方は、AI検索のクリック率に関する記事でも書いています。
実務への示唆——用語集は「何のために作るか」を先に決める
もし読者の方が自社サイトで用語集コンテンツを検討しているなら、一つだけお伝えしたいことがあります。クリックや問い合わせだけを期待して作ると、成果を感じにくい可能性があります。少なくとも当サイトの公開直後14日間では、表示回数に対してCTRは低い結果になったからです。
代わりに、作る前に物差しを決めることをおすすめします。クリックだけを物差しにすると、今回の用語集は効率の低い施策に見えます。一方、専門分野を体系的に揃えることや、将来の参照・引用につながる可能性まで含めて評価すると、別の見方ができます。
私たちは、クリックだけではなく、表示機会、サイト内の情報構造、外部からの参照、AI検索での扱われ方を含めて、長期的に評価する方針です。
もう一つ、実務的な使い分けについて。今回の初期データでは、JSON-LDや構造化データなど、作業の途中で調べられる用語に比較的高いCTRが見られました。一方、意味や概要を知ることが中心になりやすい用語では、表示回数に対してCTRが低い傾向がありました。
ただし、まだ母数が少なく、例外もあります。用語を選ぶ際の確定的な基準ではなく、今後検証していく仮説として扱っています。
よくある質問
Q. 用語集はSEOに効果がありますか?
A. 今回の公開直後14日間では、表示回数は得られた一方、直接のクリック獲得という意味ではCTRは低い結果でした。サイト内の関連情報を体系的に揃える役割はあると考えていますが、検索順位やサイト全体への効果を用語集単独で切り分けることはできません。現在も検証の途中です。
Q. ほとんどクリックされないページを作り続ける意味はありますか?
A. 何を成果とするかによります。クリックだけを成果とするなら、効率の低い施策になる可能性があります。一方、専門分野の情報を体系的に揃えることや、将来の参照先、AIが理解できる情報源として公開しておくことまで含めるなら、別の価値があります。作る前に、何を観測するかを決めておくことが重要です。
Q. 用語集はどんな用語から作ればいいですか?
A. 目的によります。今回の初期データでは、JSON-LDや構造化データなど、読者が作業の途中で詳しい情報を必要とする用語で比較的高いCTRが見られました。クリックも狙う場合は、実務上の疑問や作業につながる用語を優先する方法があります。専門分野を体系的に揃えることが目的なら、基礎概念も含めて抜けなく整備する方法が向いています。
Q. AI Overviewに表示を奪われるなら、対策すべきではないですか?
A. 今回のデータだけでは、AI OverviewがCTR低下の原因だったかは確認できません。ただし、定義だけを知りたい検索では、検索結果上の説明やAIによる要約で目的が完結する可能性があります。その前提で、「短い要約では足りない情報を用意する」「AIや検索エンジンにも理解しやすい形で明確な定義を公開する」という設計が現実的だと考えています。
用語集の設計やAI検索対応の進め方についてのご相談は、相談してみるからどうぞ。具体的な予定がない段階のご相談も歓迎しています。
出典
- Google Search Console ヘルプ「表示回数、掲載順位、クリック数とは」
- Google検索セントラル「AI 機能とウェブサイト」
- Google検索セントラル「構造化データ マークアップの仕組み」
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