Shopifyの顧客統合でポイントは引き継がれる?|統合前チェックリストと消えたときの復元手順
「同じお客様のアカウントが2つできてしまったので、1つにまとめたい」。ECサイトを運用していると、必ずと言っていいほど遭遇する場面です。Shopifyには「お客様プロフィールの統合」という標準機能があり、操作自体は数クリックで完了します。
この統合機能で引き継がれるのは、注文履歴や住所といったShopify本体が管理するデータです。ポイントアプリで管理しているポイントが引き継がれるかどうかは、Shopifyではなくアプリ側の対応によって決まります。統合に対応していないアプリの場合、統合される側のアカウントのポイント情報が消えてしまうことがあり、しかも統合は一度実行すると元に戻せません。
私たちENVY DESIGNが運用に関わっているECサイトでも、実際に統合によってポイント情報が消え、購入履歴から残高を逆算して復元するという対応を経験しました。この記事では、その経験を踏まえて、統合前に必ず確認しておきたいチェックリストと、万一ポイントが消えてしまった場合の復元の考え方を整理します。
Shopifyの「お客様プロフィールの統合」で引き継がれるもの
まず公式仕様の確認からです。Shopifyのヘルプによると、統合で1つのプロフィールにまとめられるのは、注文、下書き注文、住所、メールアドレス、電話番号、名前、メモ、タグ、税金の設定、タイムラインのイベント、ギフトカード、ディスカウントなどです。
あわせて押さえておきたい注意点が2つあります。1つは、統合は一度実行すると元に戻せないこと。もう1つは、統合してもお客様に通知は送られないことです。また、サブスクリプション契約があるプロフィールやストアクレジットアカウントがあるプロフィールなどは、そもそも統合できないという制限も定められています。
このリストを眺めて気づくのは、ポイントに関する項目がどこにも存在しないことです。理由は単純で、Shopify本体にはポイント機能がなく、多くのストアはポイントアプリを使ってポイント制度を実現しているからです。
ポイントアプリのポイントは、統合の「対象外」
アプリが管理しているデータは、Shopify本体の統合処理の対象に含まれません。そのため、顧客を統合したときにポイントがどうなるかは、使っているアプリの実装次第です。
実際、アプリによって対応は分かれています。たとえばポイントアプリのeasyPointsは、2025年9月から、顧客統合時にポイント残高や履歴、会員ランクの計算までを自動で引き継ぐ対応を始めたと発表しています。一方で、私たちが関わったサイトで使っていたアプリでは、統合される側のアカウントに紐づくポイント履歴は、統合と同時に消えました。
つまり実務での最初のステップは、「自分のストアのポイントアプリは顧客統合に対応しているか」を、アプリのドキュメントやサポート窓口で確認することです。ここを確認しないまま統合ボタンを押すのは、お客様の資産を賭けたギャンブルになってしまいます。
統合前チェックリスト|控えておくべき4項目
アプリが統合に対応していない場合や、対応状況がはっきりしない場合は、統合の前に以下の4点を記録しておくことをおすすめします。私たちが運用の現場で実際に使っているチェック項目です。
1つ目は、ポイント残高です。統合される側(消える側)のアカウントの残高を、管理画面のスクリーンショットなど日付が残る形で控えます。
2つ目は、ポイントの有効期限です。統合後に手動で付与し直すことになった場合、有効期限まで再現できるように記録しておきます。
3つ目は、付与予定のポイントです。これは見落としやすい項目です。ポイントの付与タイミングを「購入時」ではなく「発送時」に設定しているストアでは、統合の時点でまだ付与されていないポイントが存在することがあります。未発送の注文が残っていないか、残っている場合は何ポイントが付与される予定かまで控えておくと、統合後の照合がスムーズです。
4つ目は、両アカウントの会員ランクです。私たちが経験したケースでは、統合後のランクはベースとしたアカウントのランクがそのまま引き継がれ、合算後の購入金額での再計算は行われませんでした。もし消える側のアカウントのほうが購入額が多くランクが高い場合、ベースの選び方を誤るとお客様のランクが下がってしまう可能性があります。どちらをベースにするかは、残高だけでなくランクも見て判断してください。なお、この挙動はポイントアプリの実装に依存すると考えられるため、お使いのアプリでの挙動確認もあわせて行うことをおすすめします。
もしポイントが消えてしまったら|購入履歴からの復元
記録を取らずに統合が実行され、ポイントが消えた後にお客様から「残高が少ない」と指摘を受ける。私たちが経験したのは、まさにこのパターンでした。
その場合でも、購入履歴さえ残っていれば残高は復元できます。Shopifyの統合では注文履歴はベースのアカウントに引き継がれるため、消えた側のアカウントの購入記録も参照できるからです。手順としては、注文ごとに「その購入時点での獲得ポイント」を付与率にもとづいて再計算し、そこから利用したポイントを差し引いていくことになります。
言葉にすると単純ですが、会員ランクによって付与率が変わる制度や、過去のルール改定を挟む場合、この計算は一気に複雑になります。私たちのケースでは、注文ごとに「その時点のランク」を判定したうえで、制度改定の前後でルールを切り替えて計算する必要があり、数十件の購入履歴を人力で追うのは現実的ではありませんでした。実際には、購入履歴とランク判定のルールをAIに渡して計算させることで、半日かからずに残高を復元できています。復元した残高は、再計算による推定値であることをお客様にご説明したうえで付与しました。
まとめ
Shopifyの顧客統合は便利な機能ですが、ポイントアプリのデータはShopify本体の統合対象に含まれません。統合の前に、アプリの対応状況の確認と、ポイント残高・有効期限・付与予定ポイント・会員ランクの4点の記録。この一手間が、お客様の資産を守ります。統合は元に戻せない操作だからこそ、実行前のチェックリストを運用に組み込んでおくことをおすすめします。
よくある質問
Shopifyの顧客統合で、ポイントアプリのポイントは引き継がれますか?
アプリによります。Shopify本体の統合機能が引き継ぐのは注文や住所などShopifyが管理するデータで、ポイントアプリのデータは対象外です。easyPointsのように統合へ自動対応しているアプリもあるため、まずお使いのアプリの仕様を確認してください。
顧客統合を間違えた場合、元に戻せますか?
Shopifyの公式ヘルプでは、統合は一度実行すると元に戻せないとされています。連絡先情報など一部の項目は統合前の確認画面で調整できるため、確定前の確認を慎重に行ってください。
顧客を統合すると、お客様に通知は届きますか?
Shopifyから統合の通知がお客様に送られることはありません。ただし、ポイント残高やランクが変わる場合など、お客様への影響がある統合では、ストア側から個別にご案内するほうが親切だと考えています。
どちらのアカウントをベースにすべきですか?
残高だけでなく会員ランクも確認して判断することをおすすめします。私たちが経験したケースでは、統合後はベース側のランクがそのまま引き継がれたため、ランクが高い側をベースにしないと、統合によってお客様のランクが下がる可能性がありました。
出典
- Shopifyヘルプセンター「お客様の管理」 https://help.shopify.com/ja/manual/customers/manage-customers
- easyPoints「Shopify顧客統合機能へのサポートを開始しました」 https://www.easypoints.jp/jp/news/releases/250923
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