ブログ

エンヴィデザインの取り組みやナレッジをお届けします。

Wikipediaの構造だけ借りる|思想は真逆の「偏った百科事典」を作っている

SEO対策AIO/GEO 戦略・思想

株式会社ENVY DESIGN

代表取締役/ディレクター/デザイナー

Wikipediaのような内部リンク構造は、実は昔から理想形でした。ただ、人手だけでは維持コストが重すぎて、小さな会社には手が届かなかった。その最後のボトルネックをAIが埋め始めたことで、ようやく現実的になった——これが、ENVY DESIGNが自社サイトの構造を見直している理由です。

ただし、目指しているのはWikipediaそのものではありません。借りているのは、概念と概念を内部リンクで結ぶ“構造”だけ。中立で網羅的という“思想”のほうは、むしろ真逆に振っています。本記事では、なぜ制作会社がこの作り方を選んだのか、そしてなぜ「今」なのかを整理します。

Wikipediaの強さは、項目数ではなく「網」にある

Wikipediaが強いのは、項目数が多いからだと思われがちです。もちろんそれもありますが、私が本質だと考えているのは、一つひとつの項目が内部リンクで密に結ばれ、概念どうしの関係が“網”になっている点です。

Wikipediaが使いやすいのは、一つの記事で終わらないからです。たとえば「エンティティ」を読んでいて分からない言葉が出てきたら、「ナレッジグラフ」へ進み、さらに「構造化データ」へと自然に知識を広げられます。リンクは単なる回遊のためではなく、「分からない」をその場で解消するための導線になっています。私たちも、この体験を、Web制作・SEO・AIOという限られた分野で再現したいと考えています。

ある用語を読むと、その説明の中に関連する用語へのリンクがあり、たどっていくと分野全体の地図が浮かび上がる。この構造は、人間の読者にとって便利なだけではありません。まず前提として、内部リンクがクロール可能であること自体は、Googleも検索の基本として公式に説明しています(Google検索セントラル「リンクをクロール可能にする」)。そのうえで、AIにとっても内部リンクは、概念どうしの関係性を推測する手がかりの一つになりうると考えています。

つまり内部リンクは、読者とAIの両方に向けた“地図”です。単体で優れたページを量産するより、ページどうしを正しく結んで関係性を示すほうが、分野の中での位置づけ(トピカルオーソリティ)が伝わりやすくなると考えられています。言い換えると、作ろうとしているのは“ページの集合”ではなく、一つの“知識ベース”です。AI検索の時代には、個々のページの質に加えて、知識としてのまとまり方も重要になると私たちは考えています。この考え方は、当サイトで紹介している「トピカルオーソリティ」の考え方にもつながっています。また、ページ単位ではなく実体単位で捉える発想は「ページ戦からエンティティ戦へ」で扱っています。

整理すると、こういうことです。関連する記事を親子でまとめる「トピッククラスター」が木のような構造だとすれば、私たちが作ろうとしているWiki型のハブは、網のような構造です。トピッククラスターは分野を階層で整理する考え方として広く知られていますが、私たちはそこからさらに踏み込み、ピラーとクラスターという縦の関係だけでなく、関連する概念どうしも横断的に結んで、サイト全体を一つの知識ベースとして育てていく——そう設計しています。

理想は分かっていた。でも、中小には工数が重すぎた

内部リンクの網が効くこと自体は、以前から分かっていました。問題は、それを維持する手間です。

新しい記事を公開するたびに、既存のどの記事と関係するかを判断し、初出の箇所にリンクを張り、双方向で結び、古い記事側にも張り足す。孤立している記事がないか点検する。カニバリしているページは、あえてリンクから外す。この一つひとつが地味で、しかも記事が増えるほど雪だるま式に重くなります。

内部リンクの具体的な設計手順や、自社でピラーを繋ぎ直した記録は内部リンクのSEO効果と正しい設計方法にまとめました。そこでも書いたのですが、「新しい記事を公開するたびに更新する」工程が、いちばん大変です。小さな制作会社にとって、この工数は現実的な壁でした。理想は理想のまま、手が回らずに放置される。多くの中小企業サイトで内部リンクが整っていないのは、能力の問題ではなく、単純に人手が足りないからだと考えています。

きっかけは、その工数をAIが下支えしてくれるようになったこと

流れが変わったのは、この重い工程をAIが手伝えるようになったからです。

これまで人間が毎回時間をかけていた作業——どの記事とどの記事が関係するか、どこにリンクを張るべきか、孤立している記事はどれか——を、AIが下調べし、候補を出し、整合性を点検するところまで支えてくれる。人間は最終的な判断と文脈の調整に集中できます。この記事を書いている今も、実際にその進め方でサイトを整え直している最中です。

具体的には、こういう作業をAIと一緒に進めました。

  • サイト全体を走査して、どこからもリンクされていない“孤立記事”を洗い出し、関係の深い記事どうしを本文の文脈でつなぎ直す
  • 複数の記事にまたがるテーマを束ねる“ハブ記事”を新設し、そこへ既存記事を集約する
  • 用語解説(用語集)が公開されるたびに、本文の初出語からその用語ページへ逆リンクを張る運用に整える

こうした作業のなかで、AIには次のような部分を任せています。

  • 孤立記事の検出:どこからもリンクされていない記事を洗い出す
  • リンク候補の抽出:ある記事に関係の深い記事を探し出す
  • ハブ候補の発見:複数の記事が集まる“結び目”になりうるテーマを見つける
  • 用語の初出検出:本文で用語が最初に出てくる箇所を特定する
  • リンク漏れの検査:双方向で結ぶべきなのに片方向になっている箇所を点検する

ここで正直に補足しておくと、少なくとも現時点では、AIだけで完結する運用にはしていません。関係の有無や、リンクを張るべき文脈かどうかの最終判断は、人間が握っています。AIがやってくれるのは、判断の材料を素早くそろえ、抜け漏れを減らす“下支え”の部分です。とはいえ、この下支えがあるかないかで、維持できるかどうかが変わってきます。ボトルネックだった工数が軽くなったことで、Wiki型の網が、ようやく小さなチームでも現実的になりました。

ただし、Wikipediaと同じにはしない

ここが一番はっきりさせておきたい点です。構造は借りますが、Wikipediaの“思想”は借りません。

その価値は、中立であること、そして網羅的であることにあります。けれどENVY DESIGNのサイトは、その逆を選んでいます。中立ではなく、会社としての考え方を発信する。網羅ではなく、web制作・SEO・AIOという狭い領域だけを深く掘る。全分野を薄く広く扱うWikipediaのような百科事典に対して、こちらは3つの領域に絞って密度で立てる、という違いです。

言い換えると、目指しているのは百科事典ではなく「偏った百科事典」です。網状の構造は借りて、中身の姿勢はむしろ真逆。この偏りこそが、量で戦えない小さな会社の武器になると考えています。項目数で百科事典に勝つことはできませんが、狭い分野の中での関係性の密度なら、小さなチームでも作り込めます。

ここでいう「偏り」は、弱点ではなく、意図した絞り込みです。小さな会社が、百科事典のような網羅性を目指しても勝ち目はありません。だから私たちは、Web制作・SEO・AIOだけに範囲を絞ります。その代わり、その分野では「どの記事を読んでも他の記事につながり、実務まで理解できる」知識ベースを目指しています。広さではなく、密度で勝負する。それが私たちの考え方です。

どう束ねているか|コンテンツ種別を横断して結ぶ

実際には、記事の種類(コンテンツの種別)をまたいで結んでいます。それぞれ役割が違います。

  • 用語集(用語解説):SEOやAIOの用語を一つずつ定義する、網の“結び目”
  • ブログ:用語や概念を、会社の考え方を交えて深掘りする本体
  • 課題解決:「〇〇の課題をどう解くか」に答え、ブログの思想を具体的な実務へ接続する
  • FAQ(よくある質問):発注前の不安や疑問に答える、信頼の結び目
  • 制作の流れ:どんな手順で進むかを示し、検討している人の不安をやわらげる
  • サービスページ:これらを束ねる“幹”(ピラー)

用語が出てくればブログから用語集へ、ブログの概念は課題解決やFAQ・制作の流れへ、そしてそれらをサービスという幹へ、というように、細かな結び目から幹へと集約させていきます。思想を深掘りするだけでなく、検討している人の実務や不安まで内部リンクで結んでおくことで、網の密度が上がると考えています。どのページを幹(ピラー)に据えるかの考え方はピラーページ判定ガイド、会社を一つの実体としてAIに認識させる発想はエンティティとは?AI検索に「あなたの会社」を覚えてもらう5つの方法で整理しています。AI検索最適化の全体像はAIO・GEO対策サービスにまとめています。

AIが下支えするのは、これらの種別をまたいでどこが繋がっていないか、どの結び目が孤立しているかを見つける部分です。何を幹にするか、どんな思想を発信するかは、あくまで会社側で決めています。

まとめ|目指すのは「偏った百科事典」

もう一度整理します。借りるのは、概念を内部リンクで結ぶ網状の構造だけ。中立で網羅的という思想は借りず、会社の考え方を、web制作・SEO・AIOという狭い領域で深く発信する。作っているのは“ページの集合”ではなく、偏りのある一つの“知識ベース”です。

そして、この作り方が今になって現実的になったのは、内部リンクという重い工程をAIが下支えできるようになったからだと考えています。理想だと分かっていても手が回らなかった小さな会社にとって、密度で戦うための入口が一つ開いた、という感触です。

ENVY DESIGNは、「偏った百科事典」を作っています。量ではなく密度で選ばれるために。そして、人にもAIにも理解される知識ベースを目指すためです。

自社サイトの内部リンク構造やコンテンツの方向性を整理し直したい方は、現在の状況のまま相談するからお気軽にどうぞ。今ある記事の関係性を見ながら、どこから束ね直すかを一緒に考えます。

よくある質問(FAQ)

なぜWikipediaを目指さないのですか?

その価値は中立性と網羅性にありますが、ENVY DESIGNはその逆を選んでいるためです。借りているのは概念を内部リンクで結ぶ構造だけで、中身は中立ではなく会社の考え方を発信し、網羅ではなくweb制作・SEO・AIOという狭い領域を深く掘っています。量で戦えない小さな会社にとっては、この偏りのほうが武器になると考えています。

内部リンクはAIに全部任せられますか?

現時点では、全部を任せるのは難しいと考えています。どの記事とどの記事が関係するか、どの文脈でリンクを張るべきかの最終判断は、人間が握る必要があります。AIが担うのは、孤立記事の洗い出しやリンク候補の提示、整合性の点検といった“下支え”の部分です。ただ、この下支えがあるだけで、維持にかかる工数は大きく変わってきます。

中小企業がWikipedia型の内部リンクをやる意味はありますか?

領域を絞れば、意味があると考えています。全分野を扱うと項目数の勝負になり、小さなチームでは維持できません。しかし、扱う分野を狭く絞れば、その中での関係性の密度は小さなチームでも作り込めます。工数がAIの下支えで軽くなった今なら、以前より取り組みやすくなっています。

出典

関連記事

お問い合わせ

自社サイトの内部リンク構造やコンテンツの方向性を整理し直したい方は、現在の状況のまま相談するからご連絡ください。

株式会社ENVY DESIGN

代表取締役/ディレクター/デザイナー

Web業界歴14年。これまでに 500件以上のWeb制作プロジェクトに携わり、企業サイト、採用サイト、ECサイトなど幅広い領域を手がけてきました。ディレクションだけでなく、デザイン・コーディングまで一貫して対応できるのが強みです。近年はAIO(AI Optimization)・GEO領域に注力し、ChatGPTやPerplexity、Google AI Overviewなど生成AI検索からの引用獲得を支援しています。

よくある質問

Webサイト制作のご依頼・お見積りはお気軽に

資料ダウンロード

ホームページ制作・Web制作に関する資料と会社紹介をダウンロードできます。

お問い合わせ・ご相談

ホームページ制作・Webサイト制作や保守・更新・運用などでお悩みの方はお気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせをご希望の方は、こちらからお気軽にご連絡ください。

平日10:00-18:00

03-6883-8292