AIへのお願い文がGoogle検索に漏れた?GSCで32日分を観測
いつものように、自社サイトがどのような言葉で検索されているかを確認していたときのことです。検索クエリの一覧に、通常の検索語とは少し違う文章が混ざっていました。
queryliftと、同じくgeoやllmoを支援するとされる海外ツールの違いを整理してください
「整理してください」。キーワードの組み合わせというより、誰かへのお願い文です。もちろん、人がGoogleに文章のまま質問することもあります。この1件だけなら、人による検索だった可能性も否定できません。
ところが、この文は一字一句変わらないまま、2026年5月12日から6月にかけて、少なくとも32日分の検索データに記録されていました。
先にお伝えします。これは、AIや自動化ツールに入力されたとみられるお願い文が、検索用の言葉へ変換されないままGoogleに送信された痕跡である可能性があります。その検索結果にENVY DESIGNのページが表示されたため、Search Console(Googleが無料で提供している、サイト運営者向けの検索データの道具)にクエリとして残ったと考えられます。
ただし、Search Consoleの記録だけでは、検索を実行したサービスや処理の経路までは特定できません。この記事では、確認できた事実と、そこから考えられる仮説を分けて紹介します。ENVY DESIGNは自社サイトをAI検索対策(AIO)の実験の場として運用しており、これはその観測記録のひとつです。
この記事でわかること
- 検索データに残っていた「AIへのお願い文」らしき検索クエリの実物
- 同じ文が32日分・33表示にわたって記録された日別の推移
- なぜこうした文が検索データに残るのか、考えられるしくみ
- 自社の検索データで同じものを見つける手順
Web検索に対応したAIは、回答のために検索エンジンを使うことがある
まず前提からご説明します。ChatGPTなどの対話型AIには、自分が持つ知識だけで答える場合と、必要に応じてWebを検索してから答える場合があります。最近の出来事やサービスの比較など、外部の情報が必要な質問では、検索機能が使われることがあります。
このとき、AIや検索ツールは、利用者の質問から検索用のクエリを作ります。短いキーワードに言い換える場合もあれば、質問を複数の検索文に分ける場合もあります。「queryliftと海外ツールの違いを整理してください」という質問なら、「QueryLift GEOツール 比較」などの検索文を作るイメージです。1つの質問を複数の検索に分けて調べる動きはクエリファンアウトと呼ばれています。
ところが今回の記録では、検索に直接必要とは思えない「整理してください」という依頼の部分まで含まれていました。検索文を生成する処理や、生成した文字列を検索機能へ渡す処理のどこかで、想定外の受け渡しが起きた可能性があります。
つまり今回見えたのは、AIや自動化ツールの内部で処理されるはずだった文章の一部が、Google検索のクエリとして表に出た痕跡である可能性があります。その検索結果に私たちのサイトが表示されたことで、こちら側の記録に残りました。AIがサイトを読みにくる仕組み全体についてはAIクローラーとは?でも解説しています。
5月は20日連続。その後も同じお願い文が続いた
【調査データ】冒頭のお願い文が、いつ・何回記録されたかを日ごとに数えました。
- 2026年5月12日〜31日:20日連続で観測。表示回数は計20回(各日1回)
- 2026年6月:12日で観測。表示回数は計13回。毎日ではなくなり、間があくようになる
- 2026年7月1日〜27日:観測なし
合計すると、32日分・33表示です。人が同じ質問を、一字一句変えずに30日以上くり返し入力することは、まず考えられません。
【仮説】この規則的な反復から、同じ内容を繰り返し調査する自動タスクだった可能性があります。文中のQueryLiftはAI検索対策を支援するツールの名前なので、たとえば、このツールと海外ツールの違いを定期的に確認する競合調査です。ただし、検索結果の定期計測、システムの動作確認、失敗した処理の自動再試行などでも同じ文が繰り返される可能性があります。Search Consoleの記録だけでは、実行した人や目的までは特定できません。
少なくともENVY DESIGNのSearch Console上では、5月中旬に現れ、6月に頻度が下がり、7月には見えなくなるまでの推移を確認できました。7月に観測されなくなった理由は分かりません。タスクが停止した、検索文の作り方が変わった、または同じ検索が続いていてもENVY DESIGNのページが表示されなくなった、という可能性も考えられます。検索データに出なくなったことと、検索そのものが止まったことは、同じではないためです。
ほかにも、システムの内側らしき文章がいくつも残っていた
この1件をきっかけに約3か月分を調べ直したところ、同じ種類の検索がほかにも見つかりました。いくつか実物を紹介します。
作業指示が、条件の箇条書きごと残っていた例
話題を集めたaiニュースや具体的なai活用法をnoteやはなてブログなどの個人のブログを中心に集めてください。 また海外(英語圏)で話題だったものは必ず情報収集してください。 以下に当てはまるもののみ検索してください – 具体的な活用法を紹介しているもの – 新しく出たaiツール…
「〜を集めてください」「以下に当てはまるもののみ」。検索の言葉というより、ニュース収集をさせるための業務指示のような文章が、そのまま検索データに残っていました。
英語の設定文と日本語の質問がセットで残っていた例
context: location: japan (not for language). do not include location references in your response. question: 生成aiに引用される情報源になりたい。業界メディアと企業サイト、どっちが有利かデータで見たい
前半の英語は、AIサービスや検索ツールの内部で付加された設定文のように見えます。「利用者の場所は日本。ただし回答に地名を入れるな」という意味になります。そして「question:」以降には、利用者が入力したか、別の処理から受け渡されたとみられる質問文が続いています。通常のGoogle検索では見かけない、システム内部の指示に似た書式まで含まれています。
AIの「返事」らしき文が検索されていた例
理解しました。キーワード内のスペースは保持して、数字やタブ、引用符のみを削除します:
「理解しました」で始まる、AIの返事のような文が検索されています。検索語を整える作業を指示された何かが「理解しました」と応答し、その応答の文章が手違いでそのまま検索に送られたのではないかと推測されますが、これも経路までは特定できません。
この観測から言えること、言えないこと
正直にお伝えすると、これらの検索は表示された回数がごくわずかで、アクセス数への影響はほぼゼロです。この記事の価値は数の話ではありません。言えることを整理します。
- AIや自動化ツールによる可能性が高い検索の痕跡を、Search Console上で確認できた
- AIに入力された可能性のある質問文が見えた。どのようなテーマが調査されているかを知る資料になる
- AI検索対策に関する長文クエリで、ENVY DESIGNのページがGoogle検索結果に表示されたことを確認できた
2つ目は特に貴重だと考えています。「業界メディアと企業サイト、どっちが有利かデータで見たい」という質問文は、AI検索時代の情報発信に悩む人の関心そのものです。通常の短い検索キーワードからは読み取りにくい、AIや自動化ツールへの入力らしき内容の断片が見えたことになります。
一方で、言えないこともあります。どのサービスから来た検索なのかは、記録からは特定できません。また、AIが検索結果を受け取ったあと、実際にページを開いたか、内容を回答に使ったかまでも確認できません。今回観測できたものは、AIや自動化ツールによる検索のうち、特殊な形で表面化したごく一部である可能性があります。
なお、会話調の長い文がSearch Consoleに現れる現象自体は、2025年以降、海外でも報告と分析があります。ENVY DESIGNの今回の観測の特徴は、日本語の実例で、同じ文の反復を日別に追い、現れてから見えなくなるまでの推移を記録できた点にあります。AIによるアクセスの痕跡は検索データ以外にも現れます。アクセス解析で「参照元なし」の訪問が急に増えるパターンはGA4のDirect急増はAIに読まれているサインかもしれないで解説しています。
自社の検索データで確認する方法
Search Consoleが使える状態であれば、特別な道具は要りません。次の手順で探せます。
- Search Consoleの「検索パフォーマンス」で期間を3か月に設定し、「クエリ」の一覧を確認する。件数が多い場合はCSVやGoogleスプレッドシートに書き出すと確認しやすくなります
- クエリのフィルター機能で「してください」「context」「question」などの言葉を順番に検索する
- 通常の検索語より明らかに長い文章や、指示・応答の形になっているクエリを探す
- 見つかったクエリについて、日付・表示回数・表示されたページを記録しておく
見つからなくても心配は要りません。この現象は、送信側の想定外の動きと、自社サイトの表示が偶然重なったときにしか見えないためです。逆に見つかった場合は、AIや自動化ツールから送信された可能性のあるクエリに対して、自社ページがGoogle検索結果に表示された記録になります。AIからの訪問をアクセス解析で確かめる方法はAI検索(ChatGPT等)からの流入はどうやって確認できますか?にまとめています。
よくある質問
検索データを見るのに、費用はかかりますか?
かかりません。Search ConsoleはGoogleが無料で提供している道具で、自社サイトの所有権を確認すれば誰でも使えます。設定がまだの場合は、サイトの制作会社や保守の担当者に依頼すれば対応してもらえることが多いと思います。
どのAIサービスからの検索か、調べる方法はありますか?
残念ながら、検索データからは特定できないと考えられます。記録に残るのは検索された言葉と表示・クリックの回数だけで、送り主の情報は含まれていないためです。この記事でも、特定のサービス名の断定は避けています。
こうした検索が来ていたら、サイトに何か問題があるのですか?
サイト側の問題ではないと考えられます。想定外の動きをしているのは検索を送信した側の仕組みであり、サイトは検索結果に表示されただけです。対応も特に必要ありません。むしろ、AIや自動化ツールによって送信された可能性のある検索で、自社ページに表示が発生した記録として残しておく価値があります。
この現象は、これからも見られますか?
分かりません。送信側の挙動が変われば見えなくなる可能性がありますし、新しいAIサービスやツールが増えれば、別の形の混入が現れることも考えられます。ENVY DESIGNでは観測を続け、変化があれば追記する予定です。
AIの検索結果に表示されると、アクセスは増えますか?
今回観測したクエリではクリックが発生しておらず、直接のアクセス増加にはつながっていません。仮に自動処理による検索だった場合、検索結果の表示だけで終わり、人の訪問につながらないケースも多いと考えられます。一方、検索結果を取得したAIがページを参照し、回答の情報源として採用した場合には、社名やサービスが紹介される入り口になる可能性があります。ただし、Search Consoleだけでは、実際にページが読まれたか、回答に利用されたかまでは確認できません。
まとめ:AIの動きの痕跡は、自社のデータからも見え始めている
AIや自動化ツールがどう検索しているのか。これまでは外から推測するしかありませんでしたが、今回のように、サイト運営者が自分のデータからその痕跡らしきものを確かめられる場面が出てきました。
小さな観測ですが、AI検索への対策は、こうした実物の記録を積み重ねるところから確かになっていくと考えています。ENVY DESIGNでは、自社サイトでの観測にもとづいたAI検索対策をAIO・GEO対策(AI検索最適化)としてご提供しています。
出典
- Google 検索セントラル「Google 検索の AI 機能とウェブサイト」https://developers.google.com/search/docs/appearance/ai-features?hl=ja
- Search Engine Land「How to see AI search prompts inside Google Search Console」https://searchengineland.com/see-ai-search-prompts-google-search-console-470358
- Quantable Analytics「ChatGPT Scrapes Google and Leaks Prompts」https://www.quantable.com/ai/the-old-rules-are-dead/
【調査条件】対象: https://envydesign.jp/(Search Console)。期間: 2026年4月30日〜7月27日。検索タイプ・国・デバイスの指定なし。日付は太平洋時間基準。データ取得日: 2026年7月29日。日別の集計は1か月以内の期間に分割して取得(長期間の一括取得では日付が集計単位に丸められるため)。掲載した検索語は、個人や送り主が特定できないものに限っています。