中小企業のホームページ制作の進め方|Web担当がいない前提で考える
「ホームページを作り直したいが、社内に詳しい人がいない」「何から始めればいいか分からないまま、後回しになっている」。中小企業からのご相談で、最も多く聞くのがこの状態です。
先にお伝えします。中小企業のホームページ制作で結果に差がつくのは、制作の途中ではなく、依頼する前の整理だと私たちは考えています。デザインや技術力を比較する前に、「目的・予算・更新体制」の3つを整理しておくことで、完成後のサイトが機能するかどうかが大きく変わってくると考えられます。
このページでは、社内にWeb担当がいない前提で、中小企業がホームページ制作を進めるための手順と、つまずきやすいポイントを解説します。私たちENVY DESIGNは東京・麻布十番のホームページ制作会社で、これまでの500件以上の制作の中心は中小企業です。その実務で見てきた範囲を、当事者の視点でお伝えします。
このページでわかること
- Web担当がいなくてもホームページ制作を進められる5つのステップ
- 中小企業がつまずきやすいポイントと避け方
- 初期費用と月額費用、2層で考える費用の整理法
- 東京で依頼先を探す場合の考え方
なお、ENVY DESIGNのサービスとしての内容・費用・進行の詳細は「中小企業のホームページ制作」にまとめています。この記事では、依頼先を問わず使える進め方の考え方を扱います。
差がつくのは制作中ではなく、依頼する前の整理
ホームページ制作の失敗談としてよく語られるのは、「デザインが気に入らなかった」「思ったより高かった」といった制作中・完成後の話です。ただ、実務で相談を受けていると、その多くは制作が始まる前の段階に原因があるように見えます。
目的が決まっていないままデザインの好みだけで進むと、完成後に「問い合わせが来ない」となります。更新体制を決めずに公開すると、1年後には情報が古いまま放置されます。どちらも、制作が始まってからでは修正に時間がかかる問題です。
逆に言えば、依頼前の整理さえできていれば、Web担当がいない会社でも制作は問題なく進められます。専門知識が必要なのは制作会社側の仕事であり、発注側に必要なのは自社の事業に関する判断だけだからです。
Web担当がいなくても進められる5つのステップ
ステップ1|サイトの目的を1つに絞る
「問い合わせを増やしたい」「採用に使いたい」「取引先への信頼担保」。すべてを1つのサイトで狙うことは可能ですが、優先順位が決まっていないと、トップページの構成も導線も曖昧になります。まず「このサイトの最優先の役割は何か」を1つに絞ることをおすすめします。
ステップ2|現在の契約状況を把握する
既にサイトがある場合、ドメインの管理者・サーバーの契約者・サイトデータの所在を確認します。前の担当者が退職して誰も分からない、前の制作会社名義になっている、というケースは実務で頻繁に見かけます。ここが不明なままだと、リニューアル自体が進められないことがあります。
ステップ3|予算を初期費用と月額の2層で決める
制作費(初期)と、公開後の保守・更新費(月額)は別物です。初期費用だけで判断すると、月額の総額で想定を超えることがあります。それぞれの上限を先に決めておくと、制作会社との話が具体的になります。費用の全体感は「ホームページ制作の相場を4つのAIに聞いた」で詳しく扱っています。
ステップ4|依頼先のタイプを決める
制作会社は規模や得意領域でタイプが分かれ、中小企業に合う依頼先のタイプもあります。東京で探す場合は選択肢が非常に多いため、個社を比べる前にタイプを絞る方が現実的です。タイプの分類の詳細は、本記事の後半「東京の中小企業の場合」で紹介する別記事で解説しています。
ステップ5|公開後の更新を誰がやるか決める
「お知らせの更新は社内、構造の変更は制作会社」のように、役割を先に決めておきます。全部を制作会社に任せると月額が上がり、全部を社内でやろうとすると更新が止まりがちです。社内の現実的な稼働を前提に線を引くことが大切です。
中小企業がつまずきやすいポイント
担当者が「兼任」のまま制作が止まる
中小企業では、総務や営業の方が兼任でWeb窓口になることがほとんどです。本業が忙しい時期に原稿確認や素材集めが止まり、制作期間が想定の倍になるケースは珍しくありません。対策は、着手前に「社内で用意するもの」のリストを制作会社からもらい、繁忙期を避けてまとめて準備することです。
完璧を目指して公開が遅れる
「全ページの原稿が完璧になってから公開したい」という進め方は、公開日を大幅に遅らせる原因になります。まず必要最小限のページで公開し、公開後に追加していく方が、結果として早く成果につながりやすいと考えられます。必要なページの目安は「個人事業主のホームページ制作|最低限必要なページと費用の目安」も参考になります(個人事業主向けですが、考え方は共通です)。
所有権と契約が曖昧なまま進む
ステップ2とも重なりますが、新規契約時にも「ドメイン・サーバー・データが誰の名義になるか」を確認しないまま進むと、将来の乗り換え時に制約になります。契約前に確認すべき点は「ホームページ制作会社の選び方|失敗しない5つのチェックポイント」にまとめています。
補助金ありきでスケジュールが崩れる
IT導入補助金などを活用する場合、公募スケジュールと採択待ちの期間が制作スケジュールを左右します。補助金は有効な選択肢ですが、「採択されなければ作らない」という前提だと、必要なタイミングを逃すことがあります。活用する場合も、制作の目的と時期を先に決め、補助金は手段として位置づけることをおすすめします。
費用は「初期+月額」の2層で整理する
中小企業の場合、料金の内訳を細かく理解するよりも、次の2つの質問に答えられる状態を作る方が実用的です。
- 初期費用の上限はいくらか(制作費・撮影・原稿作成などの一時費用)
- 月額の上限はいくらか(サーバー・保守・更新代行などの継続費用)
この2つを決めた上で、制作会社には「この予算で何ができて、何ができないか」を聞きます。予算に合わせて構成を調整するのは制作会社側の仕事なので、予算を伝えることをためらう必要はありません。私たちの料金ページのように、料金を公開している会社であれば、問い合わせ前に概算の目安を掴むこともできます。
ENVY DESIGNの観察|初回相談の多くは「整理の前」の状態から始まる
当事者としての観察を1つ共有します。私たちの500件以上の制作実績の中心は中小企業ですが、初回のご相談時点で、この記事のステップ1〜5がすべて決まっている企業はごく少数です。目的・予算・更新体制のどれかが未定のまま、「まず何をすればいいか」という段階からのご相談が大半を占めます。
あくまで一社の、母数の限られた頻度観察ですが、この状態は珍しいことではなく、そこから一緒に整理を始めるのが中小企業のホームページ制作の標準的な進み方だと私たちは捉えています。整理ができていないことを、相談をためらう理由にする必要はありません。
東京の中小企業の場合
東京で依頼先を探す場合、選択肢の多さがかえって決められない原因になります。大手からフリーランスまであらゆるタイプが揃っているため、個社名で探し始めると比較対象が際限なく増えていきます。
先にタイプを絞り、同タイプの2〜3社で比べる。この順番については、「東京でWeb制作会社を比較する前に」で詳しく解説しているので、依頼先選びの段階ではそちらをお使いください。
よくある質問
中小企業のホームページ制作費用はどのくらいですか?
規模や目的で大きく変わるため一概には言えませんが、初期費用と月額費用を分けて上限を決め、その予算で何ができるかを制作会社に確認する進め方をおすすめします。相場の考え方は本文で紹介した相場記事で詳しく扱っています。
社内にパソコンが得意な人がいなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。制作に必要な専門作業は制作会社側が担い、発注側に必要なのは事業に関する判断(目的・予算・原稿の確認)です。更新作業も、依頼範囲に含めるか、更新しやすい仕組みで社内対応にするかを選べます。
制作期間はどのくらいかかりますか?
一般的な企業サイトで2〜4ヶ月程度が目安ですが、社内での原稿確認や素材準備の速度に大きく左右されます。着手前に「社内で用意するもの」を確認し、準備をまとめて行うことで短縮できる部分が大きいです。
補助金は使えますか?
制度によっては活用できる場合がありますが、ホームページ制作そのものが対象になるとは限りません。制度ごとに対象経費や要件が異なり、公募時期や内容も年度によって変わるため、IT導入補助金の公式サイトなどで最新の公募要領を確認してください。補助金を検討する場合も、制作の目的と必要時期を先に決めておくことをおすすめします。
今のサイトを作った会社と連絡が取れません。リニューアルできますか?
多くの場合、可能です。ただしドメインやサーバーの契約状況の調査が最初の作業になります。契約情報が分かる書類やメールを探した上で、現状のまま制作会社に相談することをおすすめします。
「何も決まっていない」という段階でもご相談いただけます
目的も予算も更新体制も、これから整理するという段階のご相談を歓迎しています。実務では、その状態からのスタートが標準的です。現状を伺いながら、まず何を決めるべきかから一緒に整理します。