ホームページリニューアルの進め方|「作り直し」ではなく「引き継ぎ」で考える
「サイトが古くなってきたので、そろそろリニューアルしたい」。この時、多くの方の頭にあるのは新しいデザインのイメージです。ただ、リニューアルの相談を受ける立場から先にお伝えすると、リニューアルの成否を分けるのはデザインではなく、今のサイトから何を引き継ぐかの設計です。
ホームページのリニューアルは、更地に新築を建てる「作り直し」に見えて、実際には住みながらの建て替えに近い作業です。今のサイトが持っているURL、コンテンツ、検索エンジンからの評価、計測データ。これらは公開を境に、適切に引き継げるか、大きく損なうかが決まります。そして損なってから気づくケースが後を絶ちません。私たち自身、その失敗を経験しています(後述します)。
このページでは、リニューアルを「引き継ぎ」として設計するための進め方6ステップと、よくある失敗、依頼前のチェックリストを解説します。リニューアルの時期の見極めや費用の考え方は「ホームページの耐用年数は3〜5年」で扱っているため、本記事は「やると決めた後の進め方」に絞ります。
このページでわかること
- リニューアルを「引き継ぎ」として設計する考え方
- 進め方の6ステップと、各段階で決めること
- よくある失敗と、私たち自身の失敗事例
- 制作会社に依頼する前のチェックリスト
リニューアルは「作り直し」ではなく「引き継ぎ」
今のサイトには、見た目以外の資産が蓄積されています。主なものは4つです。
- URL構造(各ページのアドレス。外部サイトや名刺・資料からのリンクが向いている先)
- コンテンツ(ブログ・事例・お知らせなどの記事群と、それが集めている検索流入)
- 検索エンジンからの評価(公開からの運用歴の中で蓄積されたもの)
- 計測データ(アクセス解析の履歴。リニューアル前後の比較材料)
リニューアルでデザインとシステムを刷新しても、この4つを引き継ぐ設計をしていれば、成果は連続します。逆に、デザインだけを見て進めると、公開日を境に検索流入が大きく落ち、原因も分からない、という状態になりがちです。
だからこそ、リニューアルの計画は「新しいサイトをどう作るか」より先に、「今のサイトの何を残すか」から始めることをおすすめします。
リニューアルの進め方|6つのステップ
ステップ1|現状の棚卸し
今のサイトのページ一覧、検索流入があるページ、問い合わせにつながっているページを確認します。Search Consoleやアクセス解析が入っていれば、流入上位のページを一覧にします。計測が入っていない場合は、その事実自体が「今回は計測を必ずしも省略しない」という設計判断の材料になります。
あわせて、ドメイン・サーバー・CMSの契約者と管理権限の所在を確認します。ここが不明だと移行作業が止まります。ドメインの移管を伴う場合の注意点は「ドメイン移管でサイトは止まる?」で詳しく扱っています。
ステップ2|リニューアルの目的を1つに絞る
「古いから」は理由であって目的ではありません。問い合わせを増やしたいのか、採用に効かせたいのか、ブランドを刷新したいのか。最優先を1つ決めると、デザインの方向性も、残すページと捨てるページの判断も、ぶれなくなります。
ステップ3|引き継ぐもの・捨てるものを決める
ステップ1の棚卸しをもとに、残すコンテンツと統合・削除するコンテンツを仕分けます。ここで重要なのは、削除の判断を「古いかどうか」でなく「流入と役割があるかどうか」で行うことです。古い記事でも検索流入を集めているものは、リニューアル後のサイトの入口として機能し続けます。
ステップ4|制作会社を選ぶ
リニューアルでは、新規制作の力に加えて「移行の設計力」が問われます。URL変更時のリダイレクト設計、コンテンツ移行の方法、計測の引き継ぎをどう進めるか、具体的に説明できる会社を選ぶことをおすすめします。会社のタイプの絞り方は「東京でWeb制作会社を比較する前に|4タイプ分類と7つの比較軸」で解説しています。
ステップ5|URLとリダイレクトの移行設計
ページのURLが変わる場合、旧URLから新URLへの転送(301リダイレクト)を設計します。Googleも公式ドキュメントで、ページの恒久的な移転にはリダイレクトの設定を案内しています。旧URLの一覧と新URLの対応表を作り、制作会社と共有する。この地味な作業が、検索評価とリンク資産の引き継ぎの中核です。
ステップ6|公開後の計測と比較
公開して終わりではなく、リニューアル前の数値(ステップ1で棚卸ししたもの)と公開後を比較します。検索流入・問い合わせ数・主要ページの表示状況を、少なくとも2〜3ヶ月は見守ります。公開直後の一時的な変動はよくあるため、数日単位で判断しないことも大切です。
よくある失敗と、私たち自身の失敗
リダイレクトなしでURLを全変更する
リニューアルで特に避けたい失敗です。旧URLがすべて404になると、外部からのリンクも検索評価も行き場を失います。ステップ5の対応表が、この失敗の予防策です。
「古い記事」を大量に削除する
これは私たち自身の失敗です。私たちは過去のリニューアルで、完璧主義から過去記事の大半を削除し、問い合わせがピーク月30件から月3〜4件まで落ちた経験があります。この経緯と数字は「ピーク月30件、リニューアル後3〜4件。完璧主義で過去記事の大半を削除した話」でそのまま公開しています。記事の削除は、見た目の整理と引き換えに入口を失う行為になり得ます。仕分けはステップ3の基準で行うことをおすすめします。
計測を引き継がず、効果が比較できない
リニューアルを機にアクセス解析の設定が消え、前後比較ができなくなるケースです。タグの移設と計測の連続性を、制作範囲に含まれるか事前に確認してください。
公開日を優先して移行設計を省略する
「周年に合わせて公開したい」等の理由で、リダイレクトやコンテンツ移行が後回しになることがあります。公開日は動かせても、失った検索評価はすぐには戻りません。優先順位を制作会社と共有しておくことが予防になります。
東京でリニューアルの依頼先を探す場合
東京では新規制作を看板にする会社が多く、リニューアル・移行の設計力は外からは見えにくい部分です。候補を絞る際は、制作実績に「リニューアル案件」があるか、移行時の対応(リダイレクト・コンテンツ移行・計測引き継ぎ)を質問して具体的に答えられるかで確認することをおすすめします。会社選び全体の考え方は「ホームページ制作会社の選び方」も参考にしてください。
依頼前のチェックリスト
- ドメイン・サーバー・CMSの契約者と管理権限を把握しているか
- 流入・問い合わせにつながっているページを一覧にしたか
- リニューアルの最優先目的を1つに決めたか
- 旧URLと新URLの対応表を作る前提で話が進んでいるか
- 計測タグの移設が制作範囲に含まれているか
よくある質問
リニューアルの費用はどのくらいかかりますか?
規模と範囲によって大きく変わります。時期の見極めと費用の考え方は、本文冒頭でも紹介した「ホームページの耐用年数は3〜5年」の記事(関連ページ参照)で詳しく扱っているため、そちらをご覧ください。
リニューアルすると検索順位は下がりますか?
適切な移行設計(リダイレクト・コンテンツ引き継ぎ)をすれば、影響を抑えられると考えられます。一時的な変動が起きることはありますが、下がるかどうかは「何を引き継いだか」に大きく左右されます。本文のステップ3と5がその中核です。
今のサイトのブログ記事は引き継げますか?
多くの場合、引き継げます。CMSが変わる場合も移行方法はあります。ただし記事数が多いと移行工数が費用に影響するため、ステップ3の仕分けとセットで制作会社に相談することをおすすめします。
リニューアルの期間はどのくらいですか?
規模によりますが、私たちが手がける一般的な企業サイトでは、2〜4ヶ月程度が一つの目安です。移行設計(URL対応表・コンテンツ仕分け)が加わる分、新規制作より準備工程が増えると考えておくと現実的です。
全部作り直さず、一部だけ改修することはできますか?
できます。デザインの全面刷新をせず、構造や導線、コンテンツの改善を段階的に行う選択肢もあります。目的(ステップ2)次第では、全面リニューアルより低リスクで効果につながる場合もあります。
「リニューアルすべきか迷っている」段階でもご相談いただけます
まだ作り直すと決めていない、今のサイトの何が問題か分からない、という段階のご相談も歓迎しています。現状のサイトを拝見し、引き継ぐべき資産と課題の整理からお手伝いします。