AIでは書けないホームページの文章とは|会社にしか語れない言葉の見つけ方
「高品質なサービスをご提供します」「お客様に寄り添った対応」。こうした言葉を載せたホームページを、これまでいくつ見てきたでしょうか。
間違った言葉ではありません。ただ、同じ言葉が何百社のホームページに並んでいるなら、それはあなたの会社を選ぶ理由にはなりません。そして今、この種の言葉はAIが一瞬で、いくらでも生成できるようになりました。
この記事はコピーの書き方の話ではありません。AIでも誰でも書ける言葉ではなく、その会社にしか語れない事実や経験を、どうやって見つけてホームページの言葉にするか。その方法の話です。
「誰でも書ける言葉」は、もう差別化にならない
ホームページに載せる言葉は、AIでも社内の誰でも短時間で作れるようになりました。それ自体は悪いことではありません。ただ、誰でも書ける言葉を使い続けることは、機会損失になりえます。
ホームページを訪れた人は「この会社は他と何が違うのか」を無意識に探しています。その答えが見つからないまま離脱されると、どれだけデザインが洗練されていても、問い合わせにはつながりません。
長年事業を続けてきた経営者や、現場で働くスタッフには、その会社にしか語れない言葉があります。それを引き出し、文章に落とし込むことが、ホームページの本来の役割のひとつです。
なぜ「当たり障りのない言葉」になってしまうのか
「誠実な対応」「丁寧な仕事」「地域に根ざしたサービス」。こうした言葉が生まれる背景には、いくつかの理由があります。
ひとつは、当たり障りのない言葉を選んでしまうこと。自社の強みを言語化することに慣れていないと、無難な表現に落ち着きやすくなります。
もうひとつは、強みを強みだと思っていないこと。長年続けてきた仕事の流儀や、こだわって守ってきたことは、本人にとっては「当たり前」なので、わざわざ書くものだと気づきにくいのです。でも、訪れた人にとっては、その「当たり前」こそが差別化の根拠になります。
刺さる言葉の正体は「本音と具体」
制作の現場で印象に残っている言葉があります。ある建築会社が、サイトにこう書いていました。
「自分たちが作りたくないと思う家は、作りません。」
この一文に、コストのために品質を妥協しない姿勢、施主より利益を優先しないという覚悟、職人としての誇りが、すべて入っています。「高品質な住宅をご提供します」とは、まったく違う重みのある言葉です。
刺さる言葉に共通しているのは、その会社の人間にしか言えない言葉だということです。一般的な美辞麗句ではなく、経営者や現場の人間の本音が出ているとき、読んだ人の記憶に残ります。
会社の言葉を引き出す3つの質問
制作時にクライアントへよく投げかける質問があります。いずれも、コピーの上手い下手ではなく、その会社の事実と価値観を掘り出すための問いです。
① 断った仕事はありますか?
断った理由の中に、その会社が守っているものが見えます。「利益が出なくてもやる仕事」と「どんなに頼まれてもやらない仕事」の境界線は、価値観の核心です。
② 大事にしていることは何ですか?
この問いに、ある会社の代表がこう答えました。「先々代から受け継いだ言葉で、『ちゃんとまじめに』ということだけは変えていない」と。3代にわたって守られてきた言葉は、文章として使うには十分すぎる力を持っています。マーケティング的に作られた言葉よりも、ずっと。
③ なぜこの仕事を始めたんですか?
創業の動機や、独立のきっかけには、その人の原体験があります。「なんとなく」で始めた仕事より、「どうしてもやりたかった理由」がある人の言葉は、読む人に伝わります。
会社の言葉を引き出すプロセス
言葉をゼロから制作会社が考えることは難しいですし、やるべきでもないと考えています。事業の本質を最もよく知っているのは、経営者本人だからです。ENVY DESIGNでは、次のような流れで言葉を仕上げていくことが多いです。
ステップ1:骨格となるテキストをいただく
完成度は問いません。「言いたいことのメモ」「過去のパンフレットの文章」でも十分です。まったくの白紙より、荒削りでも「その会社の言葉」がある方が、ずっと作りやすくなります。
ステップ2:インタビューで肉付けする
いただいた素材をもとに、上記のような問いを投げかけながら、独自性・専門性を引き出します。インタビューは対面でも、テキストでの質問回答形式でも対応できます。
ステップ3:言葉を整えて、サイトに落とし込む
引き出した素材を、読みやすく伝わりやすい形に整えます。このとき、磨きすぎないことも意識しています。きれいにしすぎて個性が消えた言葉は、意味がないからです。
AI時代だからこそ、会社固有の言葉が要る
ここまでの話は、AIの普及で一段と重要になりました。
AIは「誠実な対応」「高品質なサービス」のような言葉を、無限に生成できます。しかし、実際に断った仕事の話や、創業時の原体験、先代から受け継いだ価値観までは生成できません。これらは、その会社の中にしか存在しない事実だからです。
AI時代だからこそ、ホームページには会社固有の事実や経験が重要になると考えています。一般論はAIに任せ、人は会社にしか語れないことを書く。この役割分担が、これからの差別化の起点になります。
この考え方は、コンテンツは外注できても、思想までは外注できない|AIに引用される会社の条件でも整理しています。また、検討段階の人が会社の実体や考え方を確認しに来ている傾向は、AIは会社案内に直接送らない|では誰が会社情報ページを見ているのかでも観測しています。なお、AIや検索が「役立つ・信頼できる情報」を評価する考え方は、Google「役立つコンテンツの作成」でも示されています。
AIは「検証できる事実」を手がかりにする
ではその会社固有の言葉は、AIにどう扱われるのでしょうか。
AIは、文章の美しさそのものよりも、検証できる事実を手がかりにする傾向があると考えられます。たとえば、次のような情報です。
- 創業年や沿革
- 具体的な実績
- 断った仕事や、その理由
- 実際の失敗談
- 守っている方針
こうした情報は会社ごとに異なり、他社がコピーしにくいものです。一方で、「高品質」「誠実」「丁寧」「お客様第一」といった言葉は、どの会社も使えるため、区別の材料になりにくくなります。
ここから見えてくるのは、AI時代のホームページは、うまい言葉を探す競争ではなく、自社にしか存在しない事実を整理する競争になりつつある、ということです。言葉を飾るより、会社の中にある事実と経験を、確認できる形で書き出しておく。それが、人にもAIにも届く文章の土台になると考えられます。
よくある質問
文章は制作会社に全部お任せできますか?
完全にお任せいただくことも可能ですが、その会社にしか語れない言葉を作るには、経営者や担当者への取材・ヒアリングが必要です。事業を最もよく知っているのはお客様自身なので、素材の提供にご協力いただくことで、より質の高い文章になります。
文章は短い方がいいですか?
必ずしも短い方が良いわけではありません。伝えたい内容が凝縮されていれば、多少長くても読まれます。それより重要なのは、その会社らしいか、誰でも言えそうな言葉になっていないかです。
既存の文章を見直したいのですが、相談できますか?
対応可能です。現在のサイトの文章を確認した上で、改善の方向性をご提案します。リニューアルだけでなく、部分的な文章改善のご相談もお受けしています。
まとめ:言葉を磨く前にやること
- 「高品質」「丁寧」「誠実」など、AIでも書ける言葉になっていないか確認する
- 「断った仕事」「大事にしていること」「始めた理由」を自分の言葉で書き出してみる
- 完成度より「自分にしか言えない言葉」を優先する
- 骨格となるテキストだけでも用意して、制作会社に渡す
会社の言葉の見直しや、インタビューを通じた言語化のサポートもご相談いただけます。「何を書けばいいかわからない」という段階からでも対応可能です。ホームページの文章準備についてはホームページの文章(テキスト)は誰が用意しますか?、ご相談はお問い合わせからどうぞ。
同じ状況でお困りの場合は、会社の強みがうまく伝わらない場合のページもご覧ください。