人間に分かりやすければ、AIにも分かりやすい|ENVY DESIGNのSEO技術
「人間に分かりやすければ、AIにも分かりやすい」
思想編に続く、ENVY DESIGN代表・岡野優太へのインタビュー第2弾です。前回は「なぜそう考えるのか」という思想を聞きましたが、今回は「実際にどう作っているのか」——タイトルタグ、サイト設計、内部リンク、構造化データ、インデックス管理、計測、そしてAI時代のエンティティ実装まで、技術の中身を全7章で聞きました。
先に本記事の性格をお伝えします。ここで語られる技術判断には、Google公式ドキュメントで裏付けられるものと、私たちの観測や仮説にとどまるものが混在します。両者を区別するため、公式見解と照合できる箇所には編集注を付け、観測・仮説にはその旨を明記しています。また、岡野が専門外とする領域(表示速度など)は、専門外であると正直に書いています。
第1章 技術SEOの優先順位——最初に見るのはタイトルタグとhタグ
他社制作のサイトで、タイトルタグはどう壊れていることが多いですか
「壊れている」というより、タイトルタグに最適な内容が入っていないことが多いんです。設定はされているけれど、そのページの価値を表す言葉になっていない。
——では岡野さんの考える「最適」を分解してください。
ページの役割によって考え方を変えています。トップページは、その会社を最もよく表す言葉と会社名を入れたい。サービスページもその発想に近いです。ただ、ブログ記事の場合、中小企業なら会社名を入れないこともあります。記事の内容を表すタイトルが長くなって、会社名が切れてしまったりするからです。そこまで大きな差が出るとは思っていませんが、そういうところも気を付けています。
hタグの使い方で「もったいない」と感じる典型は
たとえばSERVICEやWORKSといった英語表記の飾り見出しに、h1などを設定しているケースです。私たちの場合、その下に「ENVY DESIGNのサービス一覧」「ENVY DESIGNの制作実績」といった日本語の説明を入れて、そちらにhタグを付けることもあります。英語は飾りとして扱う。デザインと検索エンジンへの伝達を両立させる、という考え方です。
——見出しにキーワードは入れますか。
意識はしますが、不自然にならない程度と考えています。
「もうやらなくていい」技術施策はありますか
あまりないかもしれません。ただ、メタキーワードだけは不要です。Googleももう不要だと言っていますし、メタキーワードだけでページが上位に来ることも、もうありません。
(編集注: Google公式ドキュメントは、メタキーワードタグについて「Google検索では使用されず、インデックスにも順位にも一切影響しない」と明記しています。)
第2章 サイト設計——人間に分かりやすければ、AIにも分かりやすい
コンテンツを種類ごとに分けて管理する設計は、いつ、なぜ始めたのですか
実験的に始めました。種別ごとに分けたほうが記事が書きやすかったんです。それに、すべてをブログにしてしまうと、数百記事になったときに整理が難しいと思いました。それぞれの種別で内部リンクも設計しやすくなります。
URLの階層の深さはどこまで気にしますか
浅いほうがよいという感覚はありますが、そこまで厳密には考えていません。URLを人が見て分かりやすいほうがいい、くらいです。人間が分かりやすいと、AIも分かりやすいですから。
——スラッグを英語にしている理由は。
絶対にこうしたい、というほどのこだわりはありません。ただ、URLがきれいですし、URLを見てどんな記事か想像がつく英単語を並べて作っています。
(編集注: Google公式ドキュメントは、URLについて「人間にとって最も分かりやすい形で論理的に構成する」「長いID番号ではなく、読みやすい記述的な単語を使う」ことを推奨しています。「人が分かりやすいURL」という判断は公式のベストプラクティスと一致しています。)
リニューアルでURL構造を変えるか、維持するかの判断基準は
変えなくてよい適切なURLは変えません。ただ、サイトの設計をするうえでURLを変えたほうがよい場合は変えます。/service/や/company/のような浅い階層は、できるだけ流用しようと考えています。
——「リニューアルしたら順位が落ちた」という相談はありますか。
聞きます。原因はリダイレクトをしていないことです。中には、テスト環境のnoindexが本番でも残ったままだったこともありました。これはまれですが。
——ENVY側の防御策は。
リダイレクトの動作チェックと、アクセス解析の中身の確認です。人の手でのチェックとAIでのチェック、二重にチェックするようにしています。
(編集注: Googleは、URLが変わるサイト移転についてリダイレクトの設定を公式手順として案内しています。リダイレクト漏れはリニューアル時の順位下落の代表的な原因です。)
1つのテーマを1ページにまとめるか、複数ページに分けるかの判断は
内容とボリュームによりますが、一定のボリュームがあるならページを分けることを考えます。基本は検索意図ごとに分けるという考え方です。
それと、これはまだ仮説なのですが、AIO的にも検索意図ごとに分けたほうがよいのではないかと思い始めています。海外でもそう言われていますし。ただ、AIOはまだ答えがない領域なので、「そうかな」というレベルです。はっきり断言することはできません。
(編集注: Googleの生成AI最適化ガイドは、AIが質問を複数の関連クエリに分解して検索する仕組み(クエリファンアウト)を説明しています。ただし、検索意図ごとにページを分ける構成がAI検索で有利だと公式に述べているわけではありません。また同ガイドは、fan-outクエリのような検索語の細かなバリエーションごとにページを量産する行為について、順位やAI回答の操作を主目的とするならスパムポリシー違反になり得るとし、量産は長期的にも有効な戦略ではないとしています。上の発言は、ユーザーの検索意図に応じて内容を整理するという趣旨の、岡野の仮説です。)
第3章 内部リンク設計——どんなサイトなのかを、Googleに伝える
なぜ内部リンクが「飛び抜けて重要」なのですか
内部リンクの役割を重要な順に並べると、テーマの関連性を伝える、評価を流す、ユーザーの回遊、クローラーの巡回経路、の順だと考えています。特に、どんなサイトなのかをGoogleにしっかり伝えることが重要だと思っています。内部リンクは、サイトの自己紹介なんです。
ピラーページ構造には、どうたどり着いたのですか
初めからピラーにするつもりで制作しましたが、関連記事が増えてから改めて作り直しました。
AIOとSEOのピラーは分けて張っています。内容としてはすごく近いのですが、分けている理由は競争戦略です。SEO単体では、先行業者や特化している企業がたくさんいて、そこで戦っても勝てません。AIOとSEOを分けることで、AIOの側で露出できないかと考えました。実際、「AIO対策 Web制作会社」「AI検索対策 Web制作会社」のような、AIO系キーワードとWeb制作会社を掛け合わせたクエリでは、多くのクエリで上位表示を確認しています(2026年8月時点の自社観測です)。
——ピラー分割は技術判断であると同時に、戦う市場を選ぶ判断だったんですね。
そうですね。全部の戦場で戦う必要はないので。
リンクはどこに、どう張りますか
コンテンツ部分に張るのが強いと考えているので、大事なリンクは記事の本文中に入れます。アンカーテキストは、遷移先が具体的に分かるキーワードで。記事同士の横のつながりも同じ考えですが、関連記事としてまとめて置く場合もあります。本数は、極端にならないよう、おおよその上限を決めています。
記事が180本を超えた今、内部リンクのメンテナンスは
定期メンテナンスをするようにしています。古い記事には、新しい記事へのリンクが構造的に存在しませんから。古い記事から新しい記事への導線は、あとから人が張るしかない。そこは定期的に見直しています。ただ、この工数はサイトの規模が大きくなるにつれて増えていくので、大変だなと思っています。
——自動化は考えましたか。
考えましたし、やろうと思ったこともあります。ただ、正確には本格運用していません。AIに任せきるのはまだ難しいと判断しました。
——どこが任せきれないポイントでしたか。
リンクの張り先候補の妥当性です。ここはAIと人では判断の基準が少し違うのかもしれません。現時点では、人間のほうを信じています。
内部リンクの具体的な設計方法と、自社サイトで実際に繋ぎ直した記録は、内部リンクのSEO効果と正しい設計方法に詳しくまとめています。
第4章 構造化データ——Googleのためではなく、Google以外のために
構造化データはどこまでやりますか
私たちは基本セットとして一通り入れています。ただ、正直に言うと、Googleのためというより、Google以外のAIのためにやっているという側面が大きいです。
——Googleは生成AI検索に特別なマークアップは不要としていますが。
Googleは不要と言っていますが、他のAIがそうとは限りません。Googleの検索エンジンとしてのノウハウは、他の企業とは桁違いだと思っています。だからGoogleは構造化データなしでもページを理解できる。でも、他の企業は補助的に使っている可能性はあると思っています。Google以外は「不要」と明言していませんから。
その「可能性」を裏付ける観測はありますか
あります。他社で、ブラックハットAIO的なことをやっている事例を見たことがあります。実態以上の内容を構造化マークアップに記述して、AIに対して自社を実際より大きく見せる手法です。その企業は不自然なほどAIOが強い。ただし、構造化データが原因だと確認できているわけではありません。こうした事例も含めて、Google以外のAIが構造化データを何らかの形で参照している可能性はあると見ています。
——その手法は、今後どうなると見ていますか。
一時的に効いたとしても、長期的には何らかの対策対象になる可能性があると思っています。対策されてからでは遅い。SEOも、そういう繰り返しでした。隠しテキストもリンク購入も、効いていた時期の後に消えていきましたから。私たちはやりません。
(編集注: Googleの生成AI最適化ガイドは、Google検索については構造化データの過剰なマークアップをAI検索対策として不要としています。上の発言は、Google以外のAIプラットフォームについての岡野の観測と仮説であり、各社が構造化データをどう扱うかの公式情報はありません。)
第5章 クロール・インデックス管理——インデックスさせない勇気
noindexはどう使い分けていますか
お知らせの一部をnoindexにしています。たとえば夏季休暇のお知らせのように、検索結果に残しておく意味が薄いものです。サイトの専門性を薄めたくない、という私たちなりの判断もあります。逆に、同じお知らせでも10周年のご挨拶などはindexさせます。10年続いている会社だという情報は残しておきたい。エンティティの形成にもプラスになるのではないかと考えているからです。
——薄いページがサイト全体の評価を下げる実感はありますか。
そこまで実感はありません。予防的にやっています。ただ、価値の薄いページは積み重ねても不要だと考えています。
インデックスの管理はどう運用していますか
Search Consoleは週に1、2度は見るようにしています。インデックスの速度はページごとに差があるので、手動でインデックス登録をリクエストする場合もあります。
——速い・遅いの傾向はありますか。
コンテンツの種別によって違うと感じています。ずっと継続しているブログは速くて、数時間でインデックスされます。比較的新しく始めた用語集や課題解決のページは、ブログよりも時間がかかる傾向にあります。これは私たちのサイトでの観測です。
AIクローラーのクロール制御は
現在は全開放です。AIに読まれることが戦略なので。
第6章 計測の技術——カニバリはSearch Consoleで見つける
Search Consoleでは何を定点観測していますか
順位・表示回数・クリックは見ますが、それに加えて、表示の多いクエリのチェックと、カニバリゼーションが起きていないかのチェックをしています。
——カニバリはどう見つけますか。
クエリごとのページ一覧を見ます。同じクエリに複数のURLが表示されていないか。最近は、AIにSearch Consoleのデータから調査してもらうことも多くなりました。見つけたときは、検索意図のチェックをして、カニバらない内容にリライトしたり、統合したり、削除したりします。
AI側の計測——月次のAI引用モニタリングはどう設計しましたか
世の中にこういうデータがほとんどないので、自分たちで調査して発信しようと思いました。実際のところ、思い描いたような結果にはなっていません。ただ、まだ数か月しか経っていないので、とりあえず、ありのままを発信しています。
第7章 AI時代の技術対応——何を言うかより、誰が言っているか
表記揺れの統一は、何をどこまでやりましたか
まずはサイト内からです。実績数や年数など、エンティティに関わる数字が全ページで一致しているかをチェックします。数百ページ規模のサイトで全部を人が手作業でというのは難しいので、AIを使って機械的にチェックすることを定期的にしています。
サイト外では、さまざまなマッチングサイトに私たちの古い情報が載っているので、修正を依頼しました。
——外部の修正依頼の対応率は。
3割程度です。特に連絡がない場合も多い。継続していくしかありませんが、それよりも、まず自社サイトを整えるほうがコスト効率が高いと思います。
著者情報の技術実装は
意識しています。著者情報には、X・note・LinkedInの外部プロフィールをsameAsで接続して、AIが「岡野優太」を同一人物として辿れるようにしています。著者ページへの接続と著者画像も入れています。
(編集注: Googleの記事向け構造化データのドキュメントは、著者を一意に識別するために author.url または sameAs で著者のSNSページやプロフィールページを指定することを推奨しており、著者の同定にどちらも利用できるとしています。)
コアアップデートで順位が動いたときは
動かず様子を見ます。全体の方向性が間違っていなければ、コアアップデートの一時的な上下で一喜一憂しない。ただ、情報はしっかり調べて、改善できるものは改善します。
技術情報はどこから仕入れ、どう真偽を判断していますか
Google公式ドキュメント、海外のSEO情報、検証系のブログ、自社での実験。この4つです。Googleの公式情報は特に信じます。残りの3つは、総合して判断します。
最後に。5年後も陳腐化しない技術は何ですか
何を言うかも重要ですが、誰が言っているかは、さらに重要になると思います。AI時代には特に。エンティティの統一は企業ブランディングでもあり、今後さらに重要になる。他の技術も残ると思いますけどね。
人間に分かりやすければ、AIにも分かりやすい。結局は、そこに戻ってくるのだと思います。
ENVY DESIGNのSEOの支援メニューは、SEOコンサルティングのページでご覧いただけます。
出典
- Google検索セントラル「Googleがサポートしていないメタタグ等」
- Google検索セントラル「URL構造のベストプラクティス」
- Google検索セントラル「URLの変更を伴うサイト移転」
- Google検索セントラル「記事(Article)の構造化データ」
- Google検索セントラル「Google検索の生成AI機能への最適化ガイド」
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