ホームページ制作のRFPの書き方|制作会社が見ている10項目
「制作会社に見積もりを頼みたいが、何を渡せばいいのか分からない」「RFPを作ってほしいと言われたが、そもそも何を書く書類なのか」。
ホームページ制作の相談では、この段階で止まってしまう方も少なくありません。
先にお伝えします。中小企業のホームページ制作で、大規模なシステム開発のような分厚いRFP(提案依頼書)を作る必要はありません。
A4で1〜2枚程度でも、制作会社が判断するために必要な10項目が埋まっていれば、見積もりや提案を進められます。反対に、何ページもあるRFPでも、予算や想定ページ構成が分からなければ、見積もりには仮の条件が増えます。
この記事では、ホームページ制作会社の側から見て「実際に確認している10項目」と、細かく書かなくてもよい項目、よくある失敗、そのままコピーして使える記入テンプレートをまとめます。
ENVY DESIGNが実際に受け取ってきたRFPについても、一制作会社の実務上の観察として紹介します。
この記事でわかること
- RFP(提案依頼書)とは何か
- ホームページ制作では何のために作るのか
- 制作会社が見積もり・提案前に確認している10項目
- 細かく書かなくてもよい項目
- RFPの書き方でよくある失敗と直し方
- A4 1〜2枚程度で使えるRFP記入テンプレート
RFPは「立派な書類」ではなく、見積もりの前提条件を共有するものです
RFPは Request for Proposal の略で、日本語では「提案依頼書」と訳されます。
発注側が、
「こういう目的で、こういう条件で、こういうものを作りたいので提案してください」
と制作会社に伝えるための文書です。
システム開発などでは、複数の事業者に同じ条件で提案を依頼するために、詳細な要件をまとめたRFPが使われます。
IPA(情報処理推進機構)が公開している「情報システム・モデル取引・契約書」でも、発注側と受注側が要件を整理し、契約前に認識を合わせる工程が重要なプロセスとして扱われています。
ただし、中小規模のホームページ制作で必要なのは、その簡易版と考えて構いません。
制作会社がRFPで知りたいことを大きく分けると、次の3つです。
何のために作るのか
- 目的
- 現在の課題
- 公開後のゴール
どのくらいの規模で作るのか
- ページ数
- ページ構成
- 必要な機能
いくらで、いつまでに作るのか
- 予算
- 希望納期
- 公開時期
この3つが分かれば、書式はWordでもPDFでも、箇条書きのメールでも構いません。
制作会社が判断するための情報が揃っていれば、それ自体がRFPとして機能します。
反対に、この3つの情報が少ないほど、制作会社側で仮定しなければならない条件が増え、見積もりや提案の精度も下がります。
制作会社が本当に見ている10項目
制作会社がRFPを受け取ったときに確認する項目を、10個に整理しました。
上から順に埋めていけば、そのまま提案依頼書として使えます。
| # | 項目 | 制作会社が知りたいこと | 書き方の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 制作の目的・背景 | なぜ今作るのか。現在何が課題なのか | 2〜3行。「問い合わせが月◯件で頭打ち」など数字があれば添える |
| 2 | 達成したいゴール | 公開後に何が起きれば成功なのか | 主目的を1つ決める。「資料請求を増やす」「採用応募を増やす」など |
| 3 | 想定ターゲット | 誰に見せるサイトなのか | 業種・役職・検討段階まで書く |
| 4 | 想定ページ構成 | どの程度の規模になるのか | トップ/サービス/事例/会社概要/お問い合わせなどを箇条書き |
| 5 | 必要な機能 | フォーム・CMS・検索・多言語など何が必要か | 特に「自社で更新したい箇所」を明記する |
| 6 | 予算の目安 | どの規模の提案が現実的なのか | 「100万〜150万円」「上限200万円」など幅でよい |
| 7 | 希望納期・公開日 | スケジュールが現実的か | 「◯月の展示会まで」など理由も添える |
| 8 | 現行サイトの情報 | 移行や改善の前提条件 | URL、CMS、GA4、サーバー・ドメインの管理状況など |
| 9 | 用意できる素材 | 原稿・写真・ロゴを誰が準備するか | 自社で用意/制作会社へ依頼/未定を明記 |
| 10 | 選定の進め方 | 何社で比較し、どう決めるのか | 提案締切、決定時期、比較するポイントを書く |
この10項目の中でも、見積もり金額に直接影響するのが、
- 想定ページ構成
- 必要な機能
の2つです。
そして、どこまでを提案に含めるかを判断するうえで重要なのが、
- 予算の目安
です。
この3つが分かるだけでも、制作会社が出せる見積もりや提案の精度は大きく変わります。
見積書を受け取った後に確認するポイントについては、ホームページ制作の見積書の見方|比較時に確認すべき5つのポイントでまとめています。
予算は「言わない方が安くなる」わけではありません
RFPで抜けやすい項目の一つが、予算です。
「予算を伝えると、その上限いっぱいの見積もりを出されるのではないか」
と考え、あえて書かないケースもあります。
ただ、制作会社の側から見ると、予算が分からなければ、どの規模の提案をするべきか判断できません。
同じ「コーポレートサイトを作りたい」という依頼でも、
- 50万円
- 300万円
- 1,000万円
では、できることも提案の内容も変わります。
予算が分からない場合、制作会社は一定の条件を仮定して見積もるか、複数の価格帯を提示することになります。
それよりも、
「100万〜150万円程度を想定している」
「上限は200万円。できれば150万円前後に収めたい」
と伝えた方が、その範囲で何を優先するべきかを提案してもらえます。
金額を1円単位で確定させる必要はありません。
予算の幅を伝え、その範囲でできること・できないことを提案してもらう。
これが、発注側にとっても比較しやすい進め方です。
ENVY DESIGNの料金ページでは、ページ数などから概算を確認できるシミュレーターも用意しています。予算の桁を決める際の参考としてご利用ください。
RFPで細かく決めなくてもよい項目
Web上にあるRFPのテンプレートには、システム開発向けの項目まで含まれているものがあります。
ホームページ制作では、発注側に特別な指定がなければ、次の項目まで細かく決める必要はありません。
サーバーOS・開発言語などの詳細な技術要件
自社のセキュリティ規定やサーバー環境の指定がある場合は必要です。
一方、特に指定がない中小規模のサイトであれば、使用する技術まで発注側が先に決める必要はありません。
必要な要件を伝え、実現方法は制作会社から提案してもらう方が自然です。
配色コードやフォント名まで指定したデザイン指示
「#003366を使う」「このフォントを使用する」といった細かな指定は、ブランドガイドラインがある場合を除けば必須ではありません。
それよりも、
- このサイトの落ち着いた印象が好き
- このサイトの事例の見せ方が分かりやすい
- このサイトほど派手にはしたくない
といった参考サイトを2〜3件示す方が、意図が伝わります。
SEOで「○○というキーワードで1位にする」という指定
狙いたい検索テーマや、問い合わせにつながりそうな検索語を書くこと自体は問題ありません。
ただし、
「○○というキーワードで必ず1位にする」
という条件にすることはおすすめしません。
検索順位は制作会社だけでコントロールできるものではなく、順位そのものを保証することもできないためです。
検索から問い合わせを増やしたいのであれば、
- どのサービスを伸ばしたいか
- どの地域から問い合わせを増やしたいか
- 現在どの検索語からアクセスがあるか
といった情報をRFPに書く方が、SEOの提案につながります。
提案書のページ数や書式
大規模な入札案件などを除けば、
「提案書はPowerPoint30ページ以上」
「指定フォーマットにすべて記入」
といった細かな指定は必須ではありません。
必要以上に提出物を増やすと、制作会社側の提案コストが上がり、案件規模によっては参加を見送る会社が出る可能性もあります。
RFPで書き方に注意したい項目
目的をすべて同列に並べる
たとえば、
- 問い合わせを増やしたい
- 採用も強化したい
- ブランディングもしたい
という3つが同じ優先順位で書かれていると、制作会社は何を主軸にサイトを設計するべきか判断しにくくなります。
目的が複数あること自体は問題ありません。
その場合は、
主目的:問い合わせの増加
副目的:採用情報の強化
のように、優先順位を付けることをおすすめします。
機能を「あった方がよさそう」で並べる
会員機能、多言語、サイト内検索、チャットボットなどを「とりあえず」並べると、見積もりは大きくなります。
その結果、本来重要だったコンテンツ制作や写真撮影などに使える予算が減ることもあります。
機能は、
- 今すぐ必要
- 1年以内に必要
- 将来検討
の3段階程度に分けて書くと、制作会社も段階的な提案をしやすくなります。
ENVY DESIGNに届くRFPでは、予算が抜けていることが多いです
ここからは、ENVY DESIGNの実務で実際に感じている傾向です。
私たちは2012年の創業から500件以上のホームページ制作に関わってきました。以下は案件を集計した統計ではありませんが、提案や見積もりを行ってきた制作会社側から見た実務上の観察として紹介します。
RFPという形で届く案件は少数です
お問い合わせ時点で、RFPや提案依頼書と呼べる文書が添付されている案件は多くありません。
実際には、
- 問い合わせフォームの自由記述
- メール本文
- 既存サイトのURL
- 打ち合わせでのヒアリング
から案件が始まるケースが大半です。
RFPがないこと自体は、まったく問題ありません。
足りない情報は、制作会社側がヒアリングで整理すればよいからです。
RFPで特に確認が必要になるのは予算です
目的やサイト構成は丁寧に書かれているのに、予算だけ記載されていないケースがあります。
その場合、私たちも提案前に予算感を確認します。
予算が分からないまま提案を進めると、
「200万円の提案をしたら、発注側は80万円を想定していた」
といった大きなズレが起こる可能性があるからです。
正確な金額でなくても構いません。
「100万円台」
「200万円以内」
といった桁だけでも分かると、提案の精度は上がります。
想定ページ構成があると、見積もりは早くなります
一方で、見積もりを作りやすいのが、想定ページ構成のあるRFPです。
たとえば、
- トップ
- 事業紹介×3
- 導入事例
- 会社概要
- 採用
- お問い合わせ
といった箇条書きがあるだけでも、サイト全体の規模を把握できます。
最終的なページ構成を決めるのは制作会社でも構いません。
RFP段階では、たたき台で十分です。
「完成したサイトマップ」ではなく「規模を判断できるたたき台」があることが重要です。
RFPの完成度と、プロジェクトの進みやすさは必ずしも比例しません
私たちの経験では、RFPが立派だからプロジェクトが必ずスムーズに進む、というわけでもありません。
書式は簡素でも、
- 予算
- 想定ページ構成
- 公開日の理由
が明確な案件は、その後の判断も進めやすい傾向があります。
文書をきれいに整えることよりも、制作会社が判断するための材料を先に共有することの方が重要だと考えています。
RFPの書き方でよくある失敗と直し方
失敗1:現行サイトの不満だけが書かれている
「デザインが古い」
「見づらい」
「スマートフォンで使いにくい」
といった不満だけが書かれているRFPがあります。
もちろん、これらはリニューアルする理由になります。
ただし、それだけでは新しいサイトを何のために作るのかが分かりません。
たとえば、
現行サイトは古く、スマートフォンから問い合わせしにくい。リニューアル後は、Web経由の問い合わせを現在より増やしたい。
と1行加えるだけでも、制作会社は設計の方向を判断しやすくなります。
失敗2:競合サイトを「そのまま作ってほしい」の見本にする
参考サイトとして競合他社を挙げること自体は問題ありません。
ただ、
「この会社と同じようなサイトにしてください」
だけでは、模倣に近い提案になりやすくなります。
参考サイトを伝える場合は、
- 事例の見せ方が分かりやすい
- 情報量がちょうどよい
- 写真の雰囲気が好き
- 色味はもっと落ち着かせたい
など、どこを参考にしたいのかまで書くことをおすすめします。
失敗3:原稿と写真を「用意できる」と書いてしまう
RFPでは「原稿は自社で作成」となっていても、制作が始まると通常業務が忙しく、原稿作成が止まってしまうことがあります。
原稿や写真については、
- 自社で用意できる
- 制作会社に依頼したい
- まだ判断できない
の3択程度で書く方が現実的です。
「未定」であれば、制作会社は最初からライティングや撮影を含んだ見積もりを提示できます。
依頼前に準備しておくものについては、ホームページ制作を依頼する前に必要な素材・準備物は?でもまとめています。
失敗4:複数社に違う条件で送っている
相見積もりをする場合、RFPの大きな役割の一つが「同じ条件で比較すること」です。
A社には予算を伝える。
B社には伝えない。
C社にはページ構成を渡していない。
この状態では、各社が前提としている条件が違うため、届いた見積もり金額だけを比べることができません。
複数社に依頼する場合は、基本となる条件を揃えて伝えることをおすすめします。
見積もりの条件が揃わない場合については、制作会社の見積もりが比較できない(金額も項目もバラバラで判断できない)でも解説しています。
そのまま使えるRFP記入テンプレート
以下をコピーし、括弧の中を埋めてください。
分からない項目は「未定」「要相談」と書いて構いません。
空欄のままにするよりも、未定であることが分かる方が、制作会社側も打ち合わせで確認する項目を整理できます。
1. 制作の目的・背景
(現在の課題を2〜3行で)
例:問い合わせが月10件前後で横ばいになっている。現行サイトは公開から8年経過しており、スマートフォンで見づらいページもある。
2. 達成したいゴール
(主目的を1つ。副目的があれば優先順位を付ける)
例:公開後1年でWeb経由の資料請求を現在の1.5倍にしたい。
3. 想定ターゲット
(誰が、どのような状況でサイトを見るのか)
例:製造業の購買担当者・情報システム担当者。複数社を比較検討している段階で検索から訪問する。
4. 想定ページ構成
(たたき台で構いません)
例:
- トップページ
- 事業紹介
- サービスA
- サービスB
- サービスC
- 導入事例
- 会社概要
- 採用情報
- お知らせ
- お問い合わせ
5. 必要な機能
(今すぐ必要/1年以内/将来検討に分ける)
例:
今すぐ必要
- お問い合わせフォーム
- 導入事例を自社で更新できる機能
1年以内
- 採用情報の更新機能
将来検討
- 多言語化
6. 予算の目安
(幅で構いません)
例:120万〜180万円程度。
保守費用は別途、月3万円程度までを想定。
7. 希望納期・公開日
(できれば理由も記載)
例:○月○日に展示会へ出展するため、その1か月前までに公開したい。
8. 現行サイトの情報
- URL:
- 現行CMS:
- サーバーの契約者:
- ドメインの契約者:
- GA4:あり/なし/不明
- 月間アクセス数:およそ○○セッション/不明
9. 用意できる素材
原稿
自社で作成/制作会社へ依頼/未定
写真
既存写真あり/撮影希望/未定
ロゴ
データあり/なし
10. 選定の進め方
- 提案を依頼する会社数:
- 提案締切:
- 制作会社決定予定日:
- 重視するポイント:
例:3社へ相談予定。○月末までに提案を受け、費用・提案内容・公開後の運用しやすさを比較して決定する。
この10項目が埋まれば、制作会社はヒアリングを行い、具体的な要件定義へ進みやすくなります。
ENVY DESIGNのホームページ制作でも、この段階から内容を整理し、要件定義・戦略設計へ進めています。
よくある質問
RFPがないと、制作会社に見積もりを依頼できませんか?
依頼できます。
中小規模のホームページ制作では、RFPを作らず、問い合わせやヒアリングから始まる案件も珍しくありません。
ただし、
- 制作の目的
- 想定ページ数・規模
- 予算
の3点だけでも先に共有しておくと、初回の打ち合わせから具体的な話を進めやすくなります。
予算を伝えると、見積もりを上限に合わせられませんか?
そうした懸念を持つ方もいます。
ただし、予算をまったく伝えない場合、制作会社もどの規模の提案をするべきか判断できません。
「100万〜150万円程度」
「上限200万円」
といった幅を伝え、
その金額で何ができるのかを提案してもらう
という進め方をおすすめします。
RFPは何社に送ればいいですか?
案件規模や選定方法によりますが、中小規模のホームページ制作であれば、まず2〜3社程度で比較する方法があります。
社数を増やすほど選択肢は増えますが、その分、打ち合わせや提案確認の負担も増えます。
重要なのは社数よりも、各社へできるだけ同じ条件を伝えることです。
想定ページ構成は発注側で決めなければいけませんか?
決める必要はありません。
RFP段階では、たたき台で十分です。
「トップ、サービス、会社概要、事例、お問い合わせで10ページ前後」
といった規模感だけでも、見積もりの精度は上がります。
最終的なページ構成は、目的やターゲットを踏まえて制作会社から提案してもらえます。
RFPを送ってから見積もりが出るまでどのくらいかかりますか?
制作会社や案件規模によって異なります。
比較的小規模なホームページ制作で、必要な条件が整理されていれば、ヒアリング後数日〜2週間程度が一つの目安です。
一方、
- 予算が未定
- ページ構成が未定
- システム要件の確認が必要
といった場合は、見積もり前の確認に時間がかかります。
依頼時に「いつまでに見積もりが必要か」を伝えておくとスムーズです。
RFPに書いた内容は、契約後に変更できますか?
変更は可能です。
ただし、契約後にページ数や機能が増えれば、追加費用や納期変更が発生する場合があります。
そのためRFPの段階から、
- 今回必須
- できれば入れたい
- 将来検討
を分けておくと、後から変更するときにも判断しやすくなります。
RFPが書けていない段階でもご相談いただけます
「10項目のうち半分しか埋まらない」
「そもそも何ページ必要なのか分からない」
「予算の桁が決められない」
という段階でも問題ありません。
ENVY DESIGNでは、初回のヒアリングで現在の状況や目的を確認し、この10項目を一緒に整理するところから始めています。
書類を完成させてから相談する必要はありません。
まずは、現在決まっていること・決まっていないことをそのままお聞かせください。