ホームページは内製と外注のどちらで作るべきか|費用・時間・品質・管理で比較
ホームページを作ろうと考えたとき、最初に出てくる分かれ道が「自社で作るか、制作会社に頼むか」です。ノーコードツールやAIの登場で、自社で作ること自体は以前よりずっと現実的になりました。一方で、作ったあとに困って相談に来られる方がいるのも事実です。
この記事では、内製と外注の違いを、費用・時間・品質・公開後の管理の4つの面から整理します。私たちは外注を受ける側の制作会社ですが、内製で十分なケースもあると考えています。そのケースを先に書きます。
この記事の結論
- 内製と外注の一番の違いは、費用を「お金」で払うか「社内の時間」で払うかです
- 開業直後でまず名刺代わりのサイトがあればよい場合や、予算が限られている場合は、内製で十分なことがあります
- 内製の限界は、作るときではなく、担当者が替わったとき、機能を足したくなったとき、他社と見比べたときに表に出やすいです
- 「作るのは外注、日々の更新は社内」という間の形もあり、実際にはこの形が多く選ばれています
- 迷ったときは、どちらが優れているかではなく、「誰が、いつまで、面倒を見続けられるか」で決めると判断しやすくなります
それぞれの定義
内製
自社の社員や経営者自身が、ホームページを作ることです。WixやSTUDIOなどのノーコードツール、WordPressの既製テーマ、最近ではAIに指示を出してページを作る方法などが使われます。費用は主にツールの利用料、サーバー・ドメイン代、有料テンプレートや素材などです。制作会社やフリーランスへの制作費が発生しないことが、外注との大きな違いです。
外注
ホームページ制作会社やフリーランスに、制作を依頼することです。どこまで任せるかは契約によって変わり、設計から原稿、デザイン、実装、公開後の保守までを任せる形もあれば、デザインと実装だけを頼む形もあります。外注先の選び方は、フリーランスと制作会社のどちらに依頼するかで整理しています。
その間にある形
内製か外注かは、二者択一ではありません。間にはいくつかの形があります。
- 作るのは外注し、公開後のお知らせやブログの更新は社内で行う
- 設計とデザインだけ外注し、実装はノーコードツールで社内が行う
- まず内製で立ち上げ、事業が軌道に乗ってから外注で作り直す
一番の違いは、費用を「お金」で払うか「時間」で払うか
内製は、費用が見えにくい
内製は安く見えます。外部への支払いが少ないためです。ただし、作る人の時間は使われています。ツールの使い方を調べる時間、構成を考える時間、文章を書く時間、うまく表示されない箇所を直す時間です。
この時間は請求書として届かないため、費用として意識されにくくなります。本業の合間に進める場合、公開までの期間が読めなくなることもあります。
外注は、費用が見える代わりに、任せる範囲を決める必要がある
外注は、見積書という形で費用が先に見えます。制作期間についても、契約や制作スケジュールの中で目安を決めて進めるのが一般的です。
その代わり、何をどこまで任せるのかを発注側が決めなければなりません。
原稿は誰が書くのか、写真は誰が用意するのか、公開後の更新は誰が行うのか。ここが曖昧なまま進むと、追加費用や認識のずれにつながります。
外注しても、自社のことを説明する作業はなくなりません。事業の内容やお客様のことを一番知っているのは発注側だからです。
比較表で整理すると
| 観点 | 内製 | 外注 |
|---|---|---|
| 外部への支払い | 少ない。ツール利用料・サーバー代など | 制作費がかかる |
| 社内の時間 | 多くかかる。見えにくい | 打ち合わせ・確認・素材の準備にかかる |
| 公開までの期間 | 担当者の空き時間次第で読みにくい | スケジュールを事前に立てやすい |
| 見た目・設計の質 | 担当者の経験とツールの範囲に左右される | 依頼先の力量に左右される |
| 機能の追加 | ツールの範囲内であれば自分でできる | 都度の依頼または保守契約の範囲で対応 |
| 日々の更新 | すぐに自分でできる | 更新の仕組みを入れれば社内でできる。入れなければ依頼が必要 |
| 担当者が替わったとき | 作り方を知る人がいなくなる可能性がある | 引き継ぎや保守を依頼できる。依頼先との関係が切れると同じ問題が起きる |
| セキュリティ・バックアップ | 社内で担う | 契約の範囲による |
表のとおり、どちらにも弱い面があります。外注すれば管理の問題がすべて解消するわけではありません。依頼先と連絡が取れなくなれば、内製で担当者が辞めたときと同じ状態になります。
内製で十分なケース
次のような場合は、内製で始めて問題ないと考えられます。
- 開業直後で、まずは名刺代わりに会社の情報が載っていればよい
- 予算が限られていて、今は本業の設備や人にお金を使いたい
- 社内に作れる人がいて、その人が当面のあいだ続けて担当できる
- 載せる情報が少なく、頻繁に変わらない
- ホームページからの問い合わせを、今の時点では主な集客の手段にしていない
事業の形がまだ固まっていない時期に、費用をかけて作り込んでも、半年後に内容が合わなくなることがあります。この段階では、早く出して、事業に合わせて直していけることのほうが価値になります。
内製の限界が出やすいところ
内製の限界は、作っている最中よりも、公開してしばらく経ってから表に出ることが多いです。
作った人がいなくなったとき
担当者の退職や異動で、ログイン情報や作り方を知る人がいなくなることがあります。ツールの契約が個人のメールアドレスに紐づいている場合は、引き継ぎそのものが難しくなります。
機能を足したくなったとき
予約、会員機能、多言語、複雑なフォームなど、事業の成長にあわせて必要になる機能が、使っているツールやテーマの範囲を超えることがあります。道具の選び方は、WordPressとノーコードの違いで比較しています。
同業他社と見比べたとき
自分では整えたつもりでも、同業他社のサイトと並べると見劣りして感じられることがあります。配色、余白、写真の質、文章の量など、原因が一か所ではないため、どこを直せばよいのかが特定しにくい部分です。
管理を社内で担い続けるとき
内製の場合、ソフトウェアの更新やバックアップも社内の仕事になります。IPAの中小企業の情報セキュリティ対策ガイドラインは、OSやソフトウェアを最新の状態に保つことや、バックアップを取ることを基本的な対策として挙げています。
作ることより、続けることのほうに手間がかかるという点は、始める前に見込んでおきたいところです。
すでに自社で作って運用していて、限界を感じている場合は、自分で作ったホームページに限界を感じているときの整理の仕方をご覧ください。
外注が向くケース
次のような場合は、外注を検討する価値があります。
- ホームページを、問い合わせや採用の主な入口として使いたい
- 社内に作れる人がいない、または担当者の時間を本業に使いたい
- 取引先や金融機関、求職者に見られることを前提に、デザインや情報の見せ方まで整えたい
- 予約や多言語など、ツールの標準機能では足りない要件がある
- 検索からの流入を、設計の段階から考えたい
外注にも限界があります
外注すれば安心、というわけでもありません。
- 費用がかかる。事業の規模に対して過大な投資になることがある
- 任せきりにすると、どの会社にも当てはまる内容のサイトになりやすい
- 更新の仕組みを入れていないと、小さな修正のたびに依頼と費用が発生する
- 依頼先との関係が切れると、内製で担当者が辞めたときと同じ状態になる
とくに3つめは、契約の前に確認しておきたい点です。公開後に自社で更新できる範囲については、公開後に自分たちで更新できるようにする方法でご案内しています。
制作だけを頼むのか、保守まで頼むのかの違いは、制作のみと保守・運用ありの比較にまとめています。
どちらで作るべきか——判断のための5つの質問
1. ホームページに、何を期待していますか?
会社が実在することを示せればよいのか、問い合わせや採用につなげたいのか。前者であれば内製で足りることが多く、後者であれば設計の段階から外部の力を借りる意味が出てきます。
2. 作る人は、1年後も担当できますか?
内製でいちばん大きなリスクは、作った人がいなくなることです。1年後、3年後に同じ人が見続けられるか、引き継げる形で記録を残せるかを考えます。
3. 使える時間は、どのくらいありますか?
制作に使える時間を、週に何時間取れるかで見積もってみます。本業の合間で進める場合、公開までに数か月かかることもあります。その期間、ホームページがない状態で困らないかもあわせて考えます。
4. 必要な機能は、ツールの範囲で足りますか?
今必要な機能だけでなく、1〜2年のうちに必要になりそうな機能も挙げてみます。あとから全面的に作り直すことになる可能性もあるため、将来必要になりそうな機能まで確認しておくと判断しやすくなります。
5. 公開後の更新と管理は、誰が行いますか?
作ることと、続けることは別の仕事です。お知らせの更新、ソフトウェアの更新、バックアップを誰が担うのかを決めます。ここが決まっていないと、内製でも外注でも、公開後に止まりやすくなります。
ENVY DESIGNの立場
私たちは外注を受ける側の制作会社です。そのうえで、ご相談の場で「今は自社で作るほうがよいと思います」とお伝えすることがあります。開業直後で、まず名刺代わりのサイトがあればよい場合と、予算が限られている場合です。
この段階で制作費をかけるより、事業が動き出してから、載せる内容が見えた時点で作るほうが、結果としてよいサイトになることが多いと考えています。
【実務観察】自社で作ったサイトからのご相談で、きっかけとして多いのは次の3つです。
- 作った担当者が辞めて、誰も触れなくなった
- 同業他社と比べて、見た目が見劣りすると感じるようになった
- 予約や多言語など、必要な機能が足りなくなった
いずれも、作った時点では問題になっていなかったものです。あくまで私たちが関わった範囲での観察で、母数は多くありません。
【実務観察】私たち自身も、AIに指示を出してページを作る方法を試しています。形になるまでの速さには利点があると感じました。一方で、細部を思いどおりに調整する段階で時間がかかりました。最後の詰めほど回数が必要になる、という感触です。
社内で使うものや試作には十分使えますが、対外的に公開するサイトでは、文章、表示、導線、細部のデザインなどを人が確認して仕上げる工程は、現時点では必要だと考えています。
私たちがお引き受けする案件で多いのは、「作るのは外注、日々の更新は社内」という形です。WordPressでお知らせや実績を社内で更新できるようにしてお渡ししています。
ただし、更新できる仕組みがあっても、社内で更新が止まってしまうことはあります。その場合の考え方は、WordPressにしたのに社内で更新が止まっているときの対処に書いています。
制作費の目安は料金ページでご案内しています。
まとめ
内製と外注は、どちらが優れているかという話ではありません。費用をお金で払うか時間で払うか、公開後の面倒を誰が見続けるか、という違いです。
開業直後や予算が限られている時期は、内製で早く出すことに価値があります。
ホームページを問い合わせや採用の入口として本格的に使いたい、担当者の交代が見えている、必要な機能が内製の範囲を超えてきた。こうした変化が出たときが、今の体制を続けるか、外部の力を借りるかを見直すタイミングです。
よくある質問
ホームページを内製すると、費用はどのくらいで済みますか?
外部への支払いは、ツールの利用料とサーバー・ドメイン代が中心になります。ただし、作る人の時間も費用です。本業の時間をどのくらい使うことになるかもあわせて見積もると、外注との比較がしやすくなります。
最初は内製で作り、あとから外注で作り直すことはできますか?
できます。実際にその順番で進める会社は少なくありません。作り直すときに、今のサイトの文章や写真、ドメインを引き継げるようにしておくと移行が楽になります。
ドメインやツールの契約は、個人ではなく会社の名義とメールアドレスで行っておくことをおすすめします。
AIを使えば、制作会社に頼まなくても作れますか?
形にするところまでは、以前よりずっと早くできるようになっています。一方で、細部の調整や、公開後の管理、何を載せるかの設計は、引き続き人が考える部分です。詳しくはAIでホームページは作れるのかというご質問でお答えしています。
外注した場合でも、公開後の更新は自社でできますか?
更新の仕組み(CMS)を入れておけば、お知らせやブログ、実績などは社内で更新できます。どこまでを社内で更新できるようにするかは、制作の段階で決めておく項目です。
内製か外注か、決めきれない場合はどうすればよいですか?
判断のための5つの質問のうち、「作る人は1年後も担当できるか」と「公開後の管理は誰が行うか」の2つから考えると整理しやすくなります。この2つに答えが出ない場合は、内製で始めても、外注しても、公開後に止まる可能性があります。
出典
関連ページ
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