ホームページ制作の見積もりが金額も項目もバラバラで比較できない
「複数の制作会社から見積もりを取ったが、金額が3倍以上違って判断できない」「項目の書き方も会社ごとにバラバラで、横に並べて比べられない」「高すぎても発注できないし、安すぎても不安になる」――ホームページ制作の相見積もりで、こうした戸惑いはとてもよく起こります。
結論から言うと、ホームページ制作の見積もりは、金額そのものではなく「その金額に何が含まれているか」で比べると、違いが見えてきます。同じ「ホームページ制作」という言葉でも、作り方によって中身がまったく違うため、金額だけを横に並べても比較になりません。
本ページでは、なぜ制作会社によって金額がこれほど違うのか、その価格差は何から生まれているのか、そして見積もりをどう読めばいいのかを、制作会社の立場から正直にご紹介します。
同じ「ホームページ制作」でも、金額が3倍以上違うことがあります
ホームページ制作の見積もりを複数社から取ると、金額が3倍以上違うことは珍しくありません。価格の差がありすぎて、何を基準に選べばいいか分からなくなる。これはよく聞くお悩みです。
判断が難しいのは、金額の幅が大きいだけでなく、見積もりの書き方も会社ごとに違うからです。「一式◯◯円」とだけ書かれた見積もりもあれば、項目ごとに細かく分かれた見積もりもあります。これでは、横に並べても何と何を比べていいのか分かりません。
そして多くの方が、「高すぎても発注できないが、安すぎても怖い」という状態になります。この感覚は正しいものです。金額の高い安いには、理由があるからです。
そもそも料金をサイトで公開している会社は多くありません。BtoBサイト800件の料金公開率の調査では、Web制作会社で100サイト中35サイトでした。
価格差は、何の違いから生まれるのか
同じ「ホームページ制作」で金額が大きく変わるのは、作り方そのものが違うからです。主な違いを挙げます。
テンプレートか、ゼロからの設計か
テンプレートを使う場合は、すでに出来上がった枠に、画像やテキストを差し替えていく作業になります。家でいえば、既存の間取りを活かして内装を変えるようなものです。
一方、ゼロから設計する場合は、土台から作るため、目的や特徴に合わせて自由に形を決められます。その代わり、当然ながら手間も費用もかかります。
原稿や写真を、誰が用意するか
原稿や写真をお客様に用意していただく場合、取材・ライティング・撮影そのものの費用は抑えられます。
一方、制作側で取材や撮影まで行う場合は、ディレクター、インタビュアー、ライター、カメラマンなど、数名のプロが関わります。撮影後の写真のレタッチや、ライティングにも日数がかかります。それだけの専門家が動いて、よいものを作ろうとするから、費用が上がります。発注先選定の基本的な考え方は、中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21のような公的な情報源で確認しておくのも一つの方法です。
作って終わりか、運用まで伴走するか
「とりあえずあればいい」サイトと、「会社の営業として動かす」サイトでは、作り方もその後もまったく違います。
あればいいだけなら、作って納品して終わり(簡単な保守は必要ですが)で済みます。仕事を受注するためのサイトなら、公開後も継続的に手を加えていくことになります。完成品を納品する仕事なのか、公開後も改善を続ける仕事なのか。この違いが、金額にも制作体制にも表れます。
修正回数や保守の範囲
修正回数に制限を設けている会社もあれば、無制限で対応する会社もあります。たとえばENVY DESIGNでは、制作中の修正回数に明確な上限を設けず、必要な調整を行いながら進めています。保守も、WordPressか静的サイトかで内容が変わりますし、万が一のときに優先して対応してもらえるかどうかでも変わります。こうした「見積もりに表れにくい部分」も、金額の差に含まれています。
金額に含まれているのは、作業だけではありません
見積もりの金額には、目に見える作業以外のものも含まれています。
- 何が含まれるか(設計、原稿、撮影、運用、保守など)
- 何を作るかを整理する時間や、必要な判断を一緒に行う時間
- 公開後に相談できる体制
- 制作会社のブランド力や知名度
- 企業としての安心料(倒産リスクの低さ、対応の確実さ)
つまり、「制作費=作業費」ではありません。要件を整理し、必要な判断を一緒に行い、公開後に相談できる体制まで含めて、金額を見ることになります。
同じ金額でも、有名な会社のブランド料が乗っている場合もあれば、純粋に手間のかかる作り方をしているから高い場合もあります。逆に安い場合も、テンプレートで効率化しているのか、含まれるものを削っているのかで意味が変わります。
正直に言えば、制作会社を経営している私でも、他社の見積もりを並べて選ぶのは、かなり難しいことだと思います。それくらい、ホームページ制作の見積もりは中身が見えにくいものです。
安さだけで選ぶと、何が起きるか
予算が限られている方や、「どこに頼んでも成果物は大きく変わらない」と考えている方は、いちばん安いところに頼む傾向があります。
それ自体が間違いというわけではありません。企業のフェーズによっては、最低限のサイトで十分な場合もあります。たとえば、AIツールや簡易的な作成サービスを使って、まずは「とりあえずある」状態を作るだけで十分な段階もあります。
ただし、人が設計からこだわって作るサイトとは、まったく別物だということは知っておいた方がいいです。安いサイトには、運用のことが考えられていなかったり、後から手を加えにくかったりする制約があることが多くあります。「とりあえずあればいい」のか「会社の営業として使いたい」のか。そこが決まると、選ぶ価格帯も見えてきます。
ENVY DESIGNの観察:私たちは、なるべく細かく分けて出しています
比較しにくさの原因は、多くの場合、見積書の粒度にあります。「ホームページ制作一式 ◯◯万円」と書かれていると、金額の中身が見えません。会社ごとに含まれる範囲が違うのに、その違いが書面に現れないためです。
私たちは、この点を意識して、料金に含まれるものと、別途費用になるものを、あらかじめ分けて示すようにしています。自社サイトの料金ページでも、同じ形で公開しています。
たとえば10ページ前後のコーポレートサイトであれば、参考価格は60万円から(税抜)、制作期間の目安は約2か月としています。この金額に含まれるものを6項目、別途費用になるものを6項目に分けて明示しています。
- 含まれるもの:進行管理・ディレクション/サイト設計・ワイヤーフレーム/オリジナルデザイン/コーディングとスマホ対応/基本的なSEO・AI検索への対応/お問い合わせフォーム
- 別途費用になるもの:CMSの導入・更新機能/原稿作成/写真撮影/ロゴ制作/多言語対応/追加ページや特殊な機能
この12項目のどこまでが見積書に書かれているかを見れば、金額の差がどこから来ているかを追えます。参考までに、Web幹事が公開している自社経由の発注金額データでは、コーポレートサイト制作費の中央値は50.0万円、平均は95.6万円とされています(同サイト経由の発注に限った集計で、業界全体の統計ではありません)。同じ「コーポレートサイト制作」でも、含まれる範囲によってこれだけ幅が出るということです。
分けて出す理由は2つあります。1つは、後から「これは含まれていなかった」という話にならないようにするため。もう1つは、依頼する側が他社の見積書と比べられるようにするためです。項目が分かれていれば、どの会社の見積書と並べても、抜けている部分が見つけやすくなります。
相見積もりがなくても、1社の見積もりは読めます
ここまでは複数社の見積もりを比べる話でしたが、相見積もりを取らない、あるいは1社しか見積もりがないという状況も多いと思います。その場合でも、金額の大小だけでは高い・安いは決められません。同じ100万円でも、含まれる作業範囲や公開後の対応が違えば、その価値は変わるためです。
1社の見積もりを単体で読むときは、次の3点を見てください。
- 作業範囲:デザインだけか、設計・文章・写真・公開作業まで含むか
- 追加費用の有無:見積もりに含まれない作業や、後から発生しやすい費用があるか
- 公開後の対応:納品して終わりか、運用や改善の相談ができるか
この3点が見積書に書かれていなければ、遠慮なく質問してください。質問にきちんと答えてくれるかどうかも、その会社を判断する材料になります。見積書の項目の読み方は、ホームページ制作の見積書の見方で詳しく解説しています。
ENVY DESIGNの観察:まとまった項目で出ている見積もりは、分解を頼めます
私たちの実務では、他社の見積もりそのものの妥当性を尋ねられることはあまりありません。ただ、ご相談の中で「他社はこうでした」と条件や金額を比較される場面はあります。一社の観察であり、母数の少ない一例として読んでください。
そうした場面で見かける見積もりは、「デザイン費」「構築費」「設計費」のように、工程ごとにまとまった項目で出ていることが多いと感じています。この形は間違いではありませんが、ページ数や具体的な作業との対応が読めないため、発注側からは「この金額が何に対するものか」を判断しづらくなります。
その場合は、「デザイン費にはページ何枚分が含まれていますか」「構築費に原稿の流し込みや公開作業は入っていますか」と、項目を作業単位に分解してもらうよう頼んでみてください。分解に応じてもらえれば、含まれる範囲が見え、上の3点で判断できるようになります。
最終的に大切なのは、その見積もりが自社の目的に合っているかです。集客を重視したいのに見た目だけのサイトでは、安くても目的を果たせません。名刺代わりのシンプルなサイトで十分なのに、高機能なものを提案されていれば、過剰投資になります。金額の高い安いではなく、目的に対して過不足がないかで見てください。
見積もりを比較するときに見ること
金額を横に並べる前に、次の点を各社に確認すると、比較できるようになります。
- テンプレートか、ゼロからの設計か
- 原稿・写真は自社で用意するのか、制作側で用意するのか
- 公開して終わりか、公開後の運用も含まれるのか
- 修正回数や保守の範囲はどうなっているか
- 何が含まれていて、何が含まれていないのか
これらをそろえて初めて、金額が同じ土俵に乗ります。安く見える見積もりに何が含まれていないか、高い見積もりが何にお金をかけているかが見えれば、判断ができるようになります。
見積もりが比較しにくいときは、各社に同じ質問をしてみてください。「原稿作成は含まれていますか」「写真撮影は含まれていますか」「公開後の修正や保守はどこまで含まれますか」「テンプレート利用ですか、オリジナル設計ですか」といった条件をそろえて尋ねると、金額の違いが見えやすくなります。金額そのものだけを見るのではなく、前提条件をそろえることが、比較できるようになる近道です。
最後に、ENVY DESIGNの立場も正直にお伝えします。制作会社には、ENVY DESIGNより高いところも、安いところもあります。ただ、中小企業にとっては、安さだけでも高級感だけでもなく、「必要なところにきちんと手をかける、ちょうどいいライン」が大切だと考えています。ENVY DESIGNは、そのバランスを重視したホームページ制作を行っています。
見積もりの前提となる「何をどこまで依頼するか」の整理については、「中小企業のホームページ制作」で費用の考え方も含めて解説しています。
よくある質問
見積もりは、金額が安い方を選べばいいですか?
金額だけで選ぶのはおすすめしません。安い見積もりには、原稿・写真の用意や、公開後の運用、修正対応などが含まれていないことがあります。何が含まれているかをそろえて比べることで、本当に安いのかが分かります。
なぜ会社によって、こんなに金額が違うのですか?
作り方が違うためです。テンプレートを使うか、ゼロから設計するか。原稿や写真を誰が用意するか。公開後の運用まで含むか。これらによって、かかる手間も人数も変わるため、金額に大きな差が出ます。
高い見積もりは、ぼったくりということですか?
必ずしもそうではありません。手間のかかる作り方をしている場合や、取材・撮影・運用まで含まれている場合は、相応の費用になります。一方で、ブランド力や知名度が金額に乗っていることもあります。何にお金がかかっているかを確認すると、判断しやすくなります。
とりあえず安く作って、後から作り直すのはありですか?
企業のフェーズによっては、ありです。まずは最低限のサイトで十分、という段階もあります。ただし、後から本格的に作り直す場合、最初の費用が無駄になることもあるため、今後の使い方を見据えて判断することをおすすめします。
他社の見積もりを見てもらうことはできますか?
はい、可能です。金額の高い安いだけで判断するのではなく、何が含まれていて、何が含まれていないのかを一緒に整理できます。必要に応じて、比較しやすいように項目を分解して確認します。
1社しか見積もりを取っていません。妥当か判断できますか?
判断できます。作業範囲、追加費用の有無、公開後の対応の3点が見積書に書かれているか、書かれていなければ質問して確認してください。項目が「デザイン費」「構築費」のようにまとまっている場合は、ページ数や作業単位に分解してもらうと、含まれる範囲が見えます。そのうえで、自社の目的に対して過不足がないかで判断します。
見積もりの比較に迷っている段階でも、ご相談いただけます
複数社の見積もりを前に、どう判断すればいいか分からない、という段階でも、相談から始めて問題ありません。
ENVY DESIGNでは、お客様の目的やフェーズを伺いながら、どんな作り方が合うのか、どこにお金をかけるかを一緒に整理します。他社の見積もりについて、何が含まれているのかを読み解くお手伝いもできます。
「見積もりの違いが分からない」という段階でも、まずは現在の状況のままご相談ください。
判断に迷う場合は、大手と中小の制作会社の違いもあわせてご覧ください。