ページを増やし続けた結果、ホームページが整理できなくなっている
「新しいページを追加したいが、もうどこに入れればいいか分からない」「メニューが増え続けて、自分たちでも全体を把握できていない」――事業を続けてきた会社のホームページで、とてもよく起きていることです。
サイトは建物に似ています。必要になるたびに増築を重ねると、一つひとつの工事は正しくても、いつの間にか動線が複雑になり、どこに何があるか分からない構造になっていきます。ENVY DESIGNがこれまで関わってきた500件以上のWeb制作でも、こうした「増築を重ねたサイト」のご相談は珍しくありません。
問題は、ページが多いこと自体ではありません。全体の地図がないまま増え続けることです。本ページでは、サイトが整理できなくなる典型的なパターン、その構造的な原因、そして「残す・まとめる・整理する」をどう判断していくかの進め方をご紹介します。
このページでわかること
このページでは、「ページを増やし続けた結果、ホームページが整理できなくなっている」という状況について、よくある原因と、整理を進めるための考え方をまとめます。
いま現在サイトの構造に課題を感じている方にも、「リニューアルすべきか、整理で済むのか」の判断に迷っている方にも、参考にしていただける内容です。
症状の確認
まずは現在の状況を整理することから始まります。「ごちゃごちゃしている」と一言で言っても、起きていることには複数のパターンがあります。
よくある症状のパターン
- 新しいページを「どこに入れるか」で毎回迷う
- ナビゲーションメニューの項目が増え続けている
- 事業部やサービスごとに、ページの情報量やデザインがバラバラ
- 古いキャンペーンページやお知らせが残ったままになっている
- サイト全体を把握している人が、社内に誰もいない
- 「リニューアルすべきか、整理で済むのか」の判断がつかない
確認方法
まず、サイトの全ページのURLを書き出してみてください。CMSのページ一覧やサイトマップから取得できます。それぞれに「最後に更新した日」「どの部署の管轄か」を添えると、誰にも把握されていない領域が見えてきます。全体像を書き出した時点で、「思っていたよりページが多い」「このページは何のためにあるのか分からない」という発見があるはずです。
ENVY DESIGNがよく見かける3つのパターン
これまで関わってきた案件で、サイトが整理できなくなるパターンにはいくつかの典型があります。よく見かける順にご紹介します。
パターンA:事業・サービスの追加のたびに、ページを足し続けてきた
よくある症状
- 新サービスのたびにメニューやトップページに項目を足してきた
- ページを足すこと自体は毎回正しい判断だったのに、全体が複雑になった
- ユーザーにどの順番で見てほしいか、設計が存在しない
- トップページが「全部入り」になり、何の会社か逆に伝わりにくくなった
取り組みの優先順位
- 全ページのURLを書き出し、サイトの地図を作る
- ユーザーが知りたい順番と、自社が見せたい順番を分けて考える
- 「足す場所」を考える前に、全体の構造を見直す
- トップページの役割を「全部を見せる」から「入口を案内する」に変える
一つひとつのページ追加は合理的な判断です。問題は、追加の判断はその都度できるのに、全体を見直す機会が運用の中に存在しないことです。
パターンB:ページの粒度やデザインが、管轄ごとにバラバラ
よくある症状
- 事業部ごとにサービスページを作っており、作りが統一されていない
- ある事業のページはリリース直後のまま薄い内容で止まっている一方、別の事業は10ページを超える構成になっている
- ページごとにデザインのテイストが違い、同じ会社のサイトに見えない
- 情報量の差が、そのまま「力の入れ方の差」に見えてしまっている
取り組みの優先順位
- サービスページの「型」(構成と情報量の基準)を決める
- 薄いページは型に合わせて拡充し、過剰なページは分割や統合を検討する
- デザインのトーンを揃える(全面リニューアルでなくても、見出しや配色の統一から始められる)
- 新しいページは必ず型に沿って作るルールにする
ユーザーから見れば、どのページも同じ会社のサイトです。ページごとに密度やデザインが違うと、比較も理解もしづらくなり、情報量の少ない事業は実態より小さく見えてしまいます。
パターンC:全体を把握している人が、誰もいなくなった
よくある症状
- 担当者の異動・退職、外注先の変遷で、経緯を知る人がいない
- 「なぜこのページがあるのか」誰も説明できないページが残っている
- 消してよいのか判断できず、とりあえず全部残している
- サイトの構成図やページ一覧が存在しない、あっても更新されていない
取り組みの優先順位
- 現時点のページ一覧を作り、管轄と更新状況を棚卸しする
- 「消せるか判断できる人」を各領域で決める
- 判断がつかないページは、アクセス状況を確認して材料にする
- 構成図・ページ一覧を「作って終わり」ではなく更新し続ける運用にする
経緯が分からないページは、消す判断も残す判断もできません。まず「誰が判断できるか」を決めることが、整理の出発点になります。
これらのパターンは単独ではなく、複合して起きることも少なくありません。
サイトが整理できなくなる構造的な原因
ページを増やし続けた結果として整理できなくなる背景には、いくつかの共通する構造があります。
1. 「足す」判断はその都度できるが、「全体を見直す」機会がない
新サービスのページを作る、お知らせを追加する。こうした「足す」判断は日常業務の中で自然に行われます。一方で、サイト全体の構造を見直す機会は、意識して作らない限り発生しません。足す機会だけがあり、引く機会がない。この非対称が、増築を重ねた構造を生みます。
2. ページを作る基準・型が決まっていない
「どんな構成で、どれくらいの情報量で作るか」の基準がないと、作る人・作る時期・依頼する外注先によってページの品質がバラつきます。事業部ごとに粒度やデザインが違う状態は、ほとんどの場合、型の不在から生まれています。
3. 「消す・まとめる」判断の責任者がいない
ページを作る責任者はいても、消す責任者がいる会社はまれです。誰も判断できないページは「とりあえず残す」ことになり、サイトは増える一方になります。
4. サイトの地図(ページ一覧)が存在しない
全ページを一覧できる資料がないと、全体像を誰も把握できません。把握できないものは整理できません。地図がないまま増築を続けている状態が、「ごちゃごちゃ」の正体です。
「もったいない」が、分かりにくさを生むことがある
整理の話をすると、必ず出てくるのが「せっかく作ったページを消すのはもったいない」という気持ちです。制作には費用も手間もかかっているので、自然な感覚だと思います。
ただ、実務でページの統合や削除を提案してきた経験から言えるのは、「このページがあることで、逆に分かりにくくなっている」ことがある、ということです。
- 似た内容のページが2つあると、ユーザーはどちらを見ればいいか迷う
- 古い情報のページが残っていると、最新情報の信頼性まで下がって見える
- 選択肢が多いほど、ユーザーは選べなくなる
ページを消すことは、損失ではありません。統合や整理は、ユーザーにとっての分かりやすさへの投資です。実際、ENVY DESIGNの実務でも、ページの統合や削除はよく行っている作業のひとつです。
実務で行っている整理の進め方
サイトの整理について、ENVY DESIGNが実務で行っている進め方をご紹介します。
1. 全ページの棚卸し
まず、サイトにあるページをすべて書き出して見える化します。ENVY DESIGNでも、自社サイト(約190ページ)のURL一覧を作って管理しています。全体が見えて初めて、「残す・まとめる・整理する」の判断が可能になります。
2. ユーザーへの分かりやすさを軸に、一緒に判断する
整理の判断軸は、管理のしやすさではなく、ユーザーにとっての分かりやすさに置きます。「このページは、誰が、どんな場面で見るのか」を一つずつ確認しながら、打ち合わせの中でお客様と一緒に決めていく進め方です。サイトの内容を一番分かっているのはお客様自身です。そのため、ENVY DESIGNが一方的に仕分けるのではなく、判断材料を整理しながら対話で進めます。
3. ページの「型」を揃える
サービスページの構成・情報量の基準を決め、粒度を揃えます。薄いページの拡充、過剰なページの分割・統合、デザイントーンの統一などです。型が決まると、その後の新規ページも迷わず作れるようになります。
4. 統合・削除時の技術的な処理
ページを統合・削除する際は、URLの転送設定(リダイレクト)など、検索エンジンからの評価を引き継ぐための技術的な処理が必要です。この処理を省くと、せっかくの整理がアクセス減少につながることがあるため、整理と技術処理はセットで行います。
リニューアルが必要か、整理で済むか
「ごちゃごちゃしているから、全部作り直すしかない」と考える必要はありません。実際には、構造の整理と部分的な改修で十分に改善するケースも多くあります。
順序としては、まず全ページの棚卸しをして全体像を見える化し、その上で「整理で済む範囲」と「作り直しが必要な範囲」を切り分けるのが現実的です。整理してみて初めて、リニューアルの要否や範囲が見えてきます。
なお、リニューアルのタイミングや判断基準については、別記事のホームページの耐用年数で詳しく整理しています。
よくある質問
Q. ページ数は何ページくらいが適正ですか?
一律の適正値はありません。事業内容やユーザーの知りたい情報の量によって変わります。重要なのはページ数そのものではなく、全体の構造が把握されているか、各ページの役割が明確かどうかです。少なくても分かりにくいサイトはあり、多くても整理されたサイトはあります。
Q. ページを消すとSEOに悪影響はありませんか?
適切な処理を行えば、悪影響を抑えながら整理できます。むしろ、内容の薄いページや重複したページを整理することで、サイト全体の分かりやすさや評価の改善につながる場合もあります。ただし、URLの転送設定などの技術的な処理を省くと評価を失うことがあるため、整理は技術処理とセットで行う必要があります。
Q. 整理とリニューアル、どちらを先に相談すべきですか?
まず現状の整理から相談されることをおすすめします。全ページの棚卸しをして全体像が見えると、リニューアルが必要な範囲と整理で済む範囲を切り分けられます。最初から「全部作り直す」前提で進めるより、結果的に費用も期間も抑えられる場合があります。
Q. 全部作り直さないとダメですか?
必ずしも作り直す必要はありません。構造の整理、ページの統合・拡充、デザイントーンの統一など、部分的な改修で改善できるケースも多くあります。現状のサイトの状態によって最適な方法は変わるため、まずは現状を一緒に確認するところから始めるのが現実的です。
サイトの全体像が分からないままでも、ご相談いただけます
ホームページの整理は、現状がごちゃごちゃした状態のままで相談を始めて問題ありません。
どこから手をつければいいか分からない、ページ一覧も構成図もない、という状態がむしろ普通です。ENVY DESIGNでは、全ページの棚卸しから、残す・まとめる・整理するの判断、技術的な処理までを、お客様と一緒に進めています。
「整理してから相談しよう」と考える必要はありません。まずは現在の状態のままご相談ください。