AI検索は「読める土台」が先|AI用Webアクセシビリティという考え方
AI検索でどう引用されるか、という話の前に、もっと手前の問題があります。そもそも、そのページはAIに正しく読めているのか。
私たちは、この「AIが誤解なくページを読み取れる状態」を、便宜上「AI用Webアクセシビリティ」と呼んでいます。業界で定着した正式な用語ではなく、社内で使っている呼び方です(以下では「AIアクセシビリティ」と表記します)。
AIアクセシビリティは、検索順位を上げるための施策ではありません。AIが正しく理解できる状態を作るための基礎設計だと考えています。そしてこの下地は、文章を書く人ではなく、作る側の仕事です。
「読める下地」と「選ばれる編集」は別のもの
AI検索の話題は、たいてい「どう書けば引用されるか」に集まります。ただ、その前提として、AIがそのページを正しく解釈できていなければ、そもそも土俵に乗りません。
整理すると、二段構えになります。まず、AIが誤解なく読み取れる状態を作る。これがAIアクセシビリティです。その上で、引用されやすい書き方をする。こちらがAEO/GEOと呼ばれる編集の領域です。用語そのものの違いはAIO・GEO・LLMO・生成AI SEOの違いとは?で整理しました。
順番が大事だと考えています。読める下地がないまま、引用されやすい書き方だけを追いかけても、効きにくい。逆に基礎が整っていれば、その後の編集が素直に効いてきます。
人のためのアクセシビリティと、AIのためのアクセシビリティ
Web制作でいうアクセシビリティは、もともと人のためのものです。視覚や聴覚、操作に制約がある人でも、同じ情報にたどり着けるようにする。国際的な指針としてWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)があります。
面白いのは、人のためにやってきたことの多くが、AIにもそのまま効くことです。見出しで文書の構造を正しく示す、画像に代替テキストを付ける、意味に沿ったHTMLタグを使う——これらは、支援技術が読み上げるための配慮であると同時に、機械がページの意味を読み取るための手がかりでもあります。
違いもあります。人は文脈や見た目から意味を補完できます。一方、検索エンジンやAIがWebページを取得・解釈する際には、本文だけでなく、HTMLの構造やリンク、構造化データなども手がかりになります。
たとえば、見た目だけ大きくした文字は、人には見出しに見えます。しかしHTML上では単なる太字であれば、機械には見出しとして伝わりません。人向けの配慮を前提にしつつ、機械に伝わる形で書かれているか、という視点が要ります。
読める基礎を作る、5つの実装
では具体的に何をするのか。制作の現場でやっていることを挙げます。
- 文書構造に沿って見出し階層を設計する(見た目の装飾だけで見出しを作らない)
- 意味に沿ったHTMLで書く(ヘッダー、ナビゲーション、本文、補足を、それぞれの要素として明示する)
- 構造化データ(現在はJSON-LDが一般的)で、ページの意味を機械に明示する
- 画像の代替テキストや、リンクのアンカーテキストを、内容が分かる言葉にする
- クローラーがアクセスできる状態を保つ(不要なブロックをしていないか、重要な情報がスクリプト依存になっていないか)
どれも派手ではありません。ただ、この基礎がないままAIO施策を積んでも、足元が抜けたままになります。
構造化データは、後から足すものではない
構造化データは、ページの意味を機械に明示するための記述です。構造化データとはでも整理していますが、文章の飾りではなく、設計の一部だと捉えています。設計の一部なら、作る段階で入れるのが自然です。ENVY DESIGNでは標準実装です。
制作会社がAIOに関わる意味も、ここにあると感じています。文章だけを整えても、下地の実装が伴わなければ、AIには伝わりきらない。作る側だからこそ、基礎から手を入れられます。
人以外のアクセスを疑った、深夜4時の記録
下地の話が抽象的にならないように、私たちがこの問題を意識するきっかけになった記録を一つ挙げます。
ある月、GA4のDirect(直接流入)が予測を大きく超えて増えました。調べてみると、55セッションのうち30セッションが、午前4時台の1時間に集中していました(【調査データ】自社GA4。詳細はGA4のDirect急増はAIに読まれているサインかもしれない)。人が深夜に一斉にアクセスした、と考えるより、機械的なアクセスと見るほうが自然な分布でした。
これがAIに読まれた証拠だ、と言いたいわけではありません。AIクローラー以外の要因で発生する可能性もありますし、確かめる手立ても限られています。ただ、この記録をきっかけに、サイトの読み手は人だけではないかもしれない、と考えるようになりました。読み手に機械が含まれる可能性があるなら、機械にも読める形で書いておく意味はあります。
基礎の上に、選ばれる編集を積む
下地が整ったら、その上で「引用されやすい書き方」に進みます。結論を先に置く、根拠と数字を添える、その会社にしか書けない具体を入れる——このあたりは独自性とは「コピペしたら嘘になる情報」で整理しました。
サイト全体を一つの知識ベースとして束ねる設計や、用語を一か所で定義して結ぶ運用も、機械にとっての読みやすさに関わってきます。この考え方はWikipediaの構造だけ借りる|「偏った百科事典」を作っている、バラバラな知識を束ねる「結び目」で書いています。
そして、そもそもAIに会社が正しく認識されているかという問題は「良い会社」と「AIに存在する会社」は違うで扱いました。
まとめ
AI検索で選ばれたいなら、その前に読まれる必要があります。AIアクセシビリティは、AIに誤解なく読み取らせるための基礎であり、見出し階層、意味に沿ったHTML、構造化データ、代替テキスト、クローラーが到達できる状態といった、地味な実装の積み重ねです。
そして、これは書く人だけでは完結しません。作る側が下地を用意して初めて、書いた内容が機械に届きます。ENVY DESIGNが構造化データを標準実装にしているのも、その理由からです。
自社サイトがAIに正しく読めているか確認したい方は、AIO・GEO対策サービスや相談してみるからお気軽にどうぞ。
よくある質問(FAQ)
AIアクセシビリティ(AI用Webアクセシビリティ)とは何ですか?
AIがページの内容を誤解なく読み取れるようにするための情報設計です。見出し階層、意味に沿ったHTML、構造化データ、代替テキスト、クローラーが到達できる状態などが含まれます。引用されやすい書き方(AEO/GEO)の前提となる基礎設計にあたります。なお、これは私たちが社内で使っている呼び方で、業界の正式な用語ではありません。
人向けのアクセシビリティ対応をしていれば、AI対策にもなりますか?
かなりの部分が重なります。見出しの構造、代替テキスト、意味に沿ったHTMLは、支援技術にとっても機械にとっても手がかりになります。ただし、人は見た目から意味を補えます。検索エンジンやAIの情報取得システムは、表示された文章だけでなく、HTML構造やリンク、構造化データなども手がかりにします。見た目だけ見出しに見える装飾は、機械には伝わらない点に注意が必要です。
構造化データは必ず入れるべきですか?
必須というより、設計の一部だと考えています。ENVY DESIGNでは構造化マークアップを標準実装にしており、後から追加するオプションではなく、作る段階で入れるものと位置づけています。ページの意味を機械に明示する記述なので、早い段階で入れるほど無理がありません。
AIに読まれているかどうかは、どうすれば分かりますか?
アクセスログの分布から推測できる場合があります。私たちの場合は、Direct流入が予測を超えて増え、その多くが深夜の特定の1時間に集中していました。人の行動としては不自然な分布に見えましたが、これだけでAIによるアクセスと断定はできません。ほかの要因の可能性もあります。確実な判定手段は限られており、痕跡から可能性を疑う、という程度にとどまります。
出典
- W3C「Web Content Accessibility Guidelines (WCAG)」 https://www.w3.org/WAI/standards-guidelines/wcag/
- Google検索セントラル「構造化データの仕組み」 https://developers.google.com/search/docs/appearance/structured-data/intro-structured-data
- Google検索セントラル「Google クローラーの概要」 https://developers.google.com/search/docs/crawling-indexing/overview-google-crawlers
- Schema.org https://schema.org/
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